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■の雫②
落ちる。
光り輝く絶望が、今、一滴の雫となってミライたちに向かって落ちていく。
黒い雲の下光り輝くそれは、攻撃でさえなければ美しいものだった。
思わず見惚れてしまうほどに。
落ちる時間はほんの数秒、どうするかを必死に考える。
はじき返すか──いや、衝撃を加えただけで爆発するだろう。ならば
受け止めるか──いや、受け止めても時間差で爆発する。ならば
斬るか──いいや、流石にそれは無謀すぎる。
様々な案が浮かんでは消えていく、だがどれも現実的ではない。
自然災害に挑むようなものだ、何もかもが足りていない。
「終わりだな」
ふと隣の冒険者が武器を仕舞う。
まだ戦いは終わってないと言おうとした瞬間、街の中心より飛んできた誰かが、雫を周りの空気まとめて消し飛ばした。
先ほどと姿が変わっているが、間違いない。
「リンさん・・・!」
「おまたせ」
この街の最強が、現れた。