対城兵器②
竜の一撃を防ぎ、油断していた冒険者たちの中には違和感を持つものがいた。彼らは長い冒険者としての活動の中で運悪く脅威度Aの任務で街の結界を見た者たちだった。
おかしい─と誰かが言った。不安はゆっくりと伝染していく。
「結界は本来、3日はAランクの魔物の攻撃に耐えられるように計算して作られている。それが一撃で消し飛んだ。もし、次がきたら、多分ここは消し飛ぶだろう」
その「もし」は残念ながらすでに来てしまっていた。
再び周囲の魔素が急激に減っていく。魔術に自信のある人だけが防御魔術を前方に展開する。
収束していくエネルギーが太陽のように光り輝く。
光はその圧倒的な火力を持って街を吹き飛ばすはずだった。
ありえないことが起きた。不可能が裏返った。奇跡が起きた。
街の結界が、再度展開され攻撃を防いだ。
「ありえない」誰かがそういった。
だが、これで反撃に移れる。私は巨体な男に竜のところまで投げ飛ばしてもらった。
男はしぶしぶと言った様子だったがすでに作戦は決まっていた。
まず、私が到着と同時に渡されたアイテムで冒険者をここまで転移させる。
距離が離れている以上一直線に突っ込めば成すすべなくやられるだろう。なのでその場にいた身軽な私に飛ばされる役が決まった。
転移した冒険者たちはそれぞれで竜を攻撃していた。
攻撃は効いておりあと少しでやれる。そう確信した時、竜は逃げるように空へと飛んだ。