対城兵器
私はわずかに開いた門の隙間から戦場を見ていた。
門番さんの圧倒的な速さの隕石、それは直撃した魔物達を跡形もなく消し飛ばし、衝撃で飛んだ石礫がさらに広範囲の魔物を巻き込んだ。門番さんいわく、「疲れるので一日一回しか打たないがこの程度うちの師匠なら説教」だそうだ。
確かに直撃した地面も少しへこんだ程度で魔物以外にダメージはあまりなかったように見える。
そう。ドラゴンはこの程度など軽傷でしかなかった。
そして今の一撃が頭にきたのかそれとも封印から覚めて朦朧としていた意識が覚醒したのか、私と目が合った。
ヤバい攻撃が来る。それは直感に近いものだった。
「とんでもない攻撃がくる!みんな逃げて!」
「おい!それはどれぐらいの規模だ!?」
門の向こうにいる冒険者たちに叫ぶ。すぐに歴戦の猛者であろう顔に傷のある戦士が問う。
私は過去に見た防御魔術を思い浮かべ首を横に振り答える。
「防御魔術じゃ多分耐えられない!」
「よし、全員退避だ!門の中へ!」
──ふと。違和感に誰もが気づいた。いつもならあるはずのものがない。冒険者も私も、必死になって頭をフル回転させてなくなったものを理解した。
冒険者も気づいているがパニックにならず急いで門の中へと逃げるのは経験値の違いというやつだろうか。
無くなったもの、それは周囲の魔素だった。ドラゴンの口のから溢れるほどの光が輝きを放っていた。
竜の息吹とも言えるその極太の光線は瞬時に街に直撃した。だが、過去の記録から人類は生き残る術を手に入れていた。
街をドーム状に包む結界が街に当たる直前展開、見事攻撃を防いで消えていった。
冒険者たちが流石ギルドの結界と褒めている中、肝心のギルドの結界発生装置管理室では緊迫した状態が続いていた。
「バカな、あの結界はA以上の魔物の攻撃なら3日は耐えれる仕様だったはず!それをたった一撃で・・・」
魔力を元にした結界発生装置のエネルギー残量はゼロを示していた。
「次は、耐えられないぞ・・・」
男は拳を握りしめて必死にできることを模索する。その男の首には、妻と子供の三人が写ったペンダントがあった。