希望はここに
ガタゴトと揺れる荷馬車の上で目を覚ます。ぽかぽかとした天気につい二度寝しようとしたが、なんとか理性で眠気を飛ばす。手綱を握っている金髪の男は私が起きたのにまだ気が付いていないのか鼻歌を歌っていた。
「あの~」
私は声をかける。男は振り返ると起きたことに少し驚いた様子だったがすぐに満足そうに笑顔になった。
鼻歌から少し若い人だとは思っていたがちゃんと顔を見るとかなりの若さ、そして美顔だった。
「おおー、やっと目が覚めたんかー。心配したんやで?目の前にぎょうさん可愛らしい女の子倒れとって。
そのまま放置も目覚め悪いさかい、こうして嬢ちゃんのこと荷台に乗せて運んどったんやけど、方向ちごとったらえらいすまんのぉ」
「い、いえ。こちらこそ助けて頂きありがとうございました。」
いい人ではあるのだろう。しかし、目元が細目なのとエセ関西弁なせいでうさん臭さが倍増した。
聞けば次の街で領主にブツを届けるのだとか。私がブツって何ですかと聞いたら知らないほうがいいと言われ、胡散臭さが増した。
読んでいただいてありがとうございます。
以前一話だけ書いたのですが一度に大量に書くには時間がなさすぎると理解したため小出しでいこうと思います。