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愛の告白

イルミテラは、例の隣国に留学しており、あの憧れの国の空気を軽やかに纏っていた。


しかも、彼女はユースレスの従妹であり、初恋の相手。


向こうのアカデミーを卒業し、ようやく帰国したところだった。


「そういえば、わたくしがいない間に婚約なさっていたんですね」


王宮の庭園でお茶を飲みながら、隣国の話を楽しくしていたのに、ディアとの婚約に話題が移ると口が重くなった。


「うん、まあ……仕方なく」


「仕方なく?……では、お相手が好きではないということですか?」


「当たり前だろ。あんな平民女、聖女じゃなかったら同じ空気を吸うのもご免だ」


イルミテラは黙り込み、やがて覚悟を決めたように口を開いた。


「わたくしがどうして留学していたかご存知ですか?将来貴方のお役に立つためです。わたくしに聖女の力はありませんが、貴方を――ユースを支える後ろ盾にはなれます」


ユースレスは弾かれたように、イルミテラを見た。


いつも冷静沈着で、貴族の令嬢らしく感情を表に出さないイルミテラの頬が林檎のように赤かった。その可愛らしいこと。


女神さまが特別丹精込めたとしか思えない美貌、新雪の髪に紫水晶の双眸、冷たい水も汚い泥も知らない綺麗な手、しなやかでほっそりとした肢体。


再会した初恋の乙女は、ユースレスを支えるために異国で頑張って、やっと帰ってきたのだ。


この告白に答えない奴なんて、男じゃない。


ユースレスは何も言わず、イルミテラを抱き締めた。


ふたりの愛は、これまでの時間を埋めるように燃え上がった。誰にも止められなかった。


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