ホウキ星を神回避するには
「うーむ、どうしよう……」
正直、ホウキ星の軌道を逸らすのは簡単なこと。
指でピーン!ってすればいいだけ。
でも、自分が手を出せば、きっとまた同じ結末になる。このホウキ星の衝突を変更したせいで気候変動が起きて、結局この後も細かい災害が頻発したのだ。
「お願い~!みんなで……みんなでなんとか乗り切って~!」
ディアマンティアナにはホウキ星がどこに落ちてくるか、いつ落ちてくるか、詳しいことはなんにも分からない。なんか夕方に野原みたいなとこに落っこちてた気がする。そんな程度の記憶しか残っていない。
「ああ~……ちゃんと覚えておけばよかった~……ワンチャン同じ予知夢見れるかもしれないし寝てみようか……もうちょっとお酒飲んだら眠れそうだけど……でも、ホウキ星の予知夢見れなかったら寝損だし……」
しばし悩んで、ひらめいた。
「そうだ!ホウキ星が落ちてくることだけ、誰かに教えてあげたらいいじゃん!天の国では数分でも、下界では何年も時間があるもの!みんなで逃げれば全然間に合う!」
ところが。
「いいアイデアだと思ったのに!知ってる人が全然いな~い!」
今は、ディアマンティアナが国を見つけたばかりのタイミング。
ユースレスやイルミテラが誕生するのは200年以上後のことだ。
「そっか~まだみんな生まれてないんだ……。じゃあ、とりあえず一番偉い人……王様に天啓送ってみようか。教会の祭主様をムシして、いきなり王様に天啓したらルール違反かな。でも祭主様に天啓しても、王様が賛成してくれないとダメだし。いっそ国民全員に一斉送信……う~ん、大パニックになっちゃうよ~」
ディアマンティアナは頭を抱えた。
誰に天啓を送れば、一番効果があるんだろう。
「わたしがエライ人に直接言うから、カドが立つんだよね!なんか、こう……ちょうどいい立場の……王様にも進言できて、教会からも一目置かれてる人!そーゆー人を挟んで『女神様から天啓がありました』って伝言してもらったらいいんじゃない?そんで、間違いなく女神からのメッセージだって分かる証拠の印とかあれば……ん?」
ディアマンティアナはハッと顔を上げた。
酎ハイのおかげかもしれない。今日はとっても冴えている!
「こーゆーときの聖女じゃない!!??」




