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消えゆくもの ※王子主軸

たった、4ヶ月。


全てが崩壊するまで、たった4ヶ月だった。

あるいは、よく4ヶ月ももったと思うべきだろうか。


まだ予知の災害はひとつも来ていないにも関わらず、国は疲弊しきっていた。


王都から離れた森の砦でも、凋落ぶりは察することができた。


食糧や雑貨など、砦への供給が10日に一度あり、その日を兵士たちは心待ちにしていたのだが、どんどん内容が貧しくなっていく。干し肉や塩漬けの魚なんてしばらくお目にかかっていない。


次々消えていく。


肉、魚、甘い物、煙草、手紙、新聞、それから――


「全部あの王子サマのせいだろ。アレを囮にしちまえばいい」


ユースレスに聞こえるように悪態をつく若い技師も。


「辺境に帰りたい。せっかく嫁をもらったのに愛想尽かされちまう」


そう不貞腐れていた辺境の騎士も。


「しっかり食えよ。食わないと身体を壊してしまうからな」


世話を焼いてくれた壮年の班長も。


「今はアンタも仲間だ!でも出番はまだまだ先!後方でどーんと構えておいてくれ!」


肩を叩いてくれた傷だらけの兵士も。


――みんな、消えた。


そして最後に消えたのが、ユースレス自身の足と辺境伯だった。


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