大好きなチェリーばあや ※聖女主軸
イルミテラはシーツにくるまったまま、息を止めた。
向こうにいるのは、ばあや。
わたくしの大好きなばあや。
「あらあら、まだ眠いんですか?お嬢様は本当にいくつになっても手がかかる」
「あたしの娘はしっかり者ですよ。全然会いに帰れないですけどね。あたしがいないとお嬢様が不安がると言って、旦那様が休みをくださらないから。そんなに怖がりなら留学などしなければいいのに」
「いやだ、いやだ。きれいな恰好で、汚れひとつないほっぺで、おんなじ歳なのに生まれる場所が違えばこうも違う」
「お嬢様のせいで、娘夫婦は骨と皮になって、木の根かじって飢えて死ぬんですよ。あたしは、はっきり広場で見たんだ。あんなに一生懸命働いてるのに。聖女様が来てからやっと楽できるようになったのに」
「そうそう、お嬢様。先ほど旦那様がお帰りになられましたよ。国外逃亡のご準備はばっちりだそうで。すぐに出かけましょう。お隣に並べて差し上げましょうね」
なにか重い物が投げ置かれ、ゆらっとベッドのスプリングが弾む。
シーツ越しに見える、真っ赤に濡れた丸い物。これがお父様?これが?
「いってらっしゃいませ、お嬢様。ばあやも後から参ります」
ひやりと頭のてっぺんが冷たくなった。
次の瞬間、シーツごとイルミテラは炎に包まれた。
その部屋の火勢が最も強く、消し止められたのは翌朝。
ちょうど会議の終盤頃だったという。
ここまでお読み頂いてありがとうございます!m(__)m
「ざまあ」のつもりが、パニックホラーみたいな感じになってしまいました……(´;ω;`)
なので(?)、今更で恐縮ですが、念のためR15制限を付けさせて頂きました。申し訳ございません。
また「ざまあってこれで合ってるのかな?」「女神が原因の部分もあるし人間が気の毒かな?」と思い始めてきた作者。
方針転換その2!
急にハッピーエンドにしたくなったので、ここから入れる保険を探します!
「こ、ここから~?」と思われた読者様、もしよかったら続きも見てくださいませ!あ、全然そんな大したオチではないです……すみません……(;´・ω・)




