76 集う7人のロイヤルティーナイト
ライムが神授之権能を手にした数分後。
神々の星オルドにある一面陸の無い海域。
そこでは、創造神ゼイトと魂神アニマが上空に浮かぶ小さな島で言い争いをしていた。
「ちょっと! 何か私の神授之権能が復活してるんですけど。あの力はディアブロ君だけの物なんだよ! ゼイト、あんたまた余計な真似をしたわね!!」
アニマは神聖さを感じる真っ白な長い髪を揺らしながらゼイトに指を指して怒り、何の汚れもない澄み切った美しい白い瞳で睨んでいる。
「違うわ! 妾は何もしとらん。そもそも、スキルは魔法、魂之特性は魂の特性と言う別用語として広め、それ以上の力は今後一切復活させないって神々全員で話し合ったじゃろ?」
ゼイトはアニマの言葉に少しキレ気味にそう返した。
「でも、実際にライム君が私の神授之権能を手にしてるみたいだし、さっきの話だと究極之魂まで手にしたみたいじゃない」
アニマはため息を吐きながらやれやれと左手を上げてそう言った。
「本当にあんたどうすんの? これじゃあ世界のバランスが崩壊して、また世界が一つ消えるわよ? 前やったみたいに、早く混沌の世界から消しなさい」
アニマがそう言うと、ゼイトは少しの間黙り込んだ。
「世界のバランスが崩壊する、ねぇ……。だったらもういっその事、究極之魂と神授之権能開放しちゃおうか」
「ハァ〜! あんた正気! ディアブロ君達が居た時代に究極之魂と神授之権能を私達以外に与える実験をしたら、神の意に反する者、それこそディアブロ君達みたいに神でも制御出来ない者が現れるから力を取り上げたんでしょ」
アニマは早口でゼイトを責めた。
「分かってる分かってる。でも、別にもう制御しなくても良いんじゃないか?」
ゼイトの言葉に、アニマは少しの間黙り込んでいた。
「……確かに、あの頃は私達神全員が今の邪神の思想に染まってた。けど、今は混沌の世界をコントロールしたいと思っている者は殆ど居ない。何なら邪神達に対抗する術を与えるのも神の責務と言えるのかな?」
「でもさ、今の時代の魂之特性、混沌の世界で言う魂の特性だって、魔王の一族に抗う唯一の手段として勇者の素質がある者にしか渡さない筈だったのに」
「いや、究極之魂や神授之権能だって魂に攻撃できる。全てを復活させる以上、勇者の素質と言う言葉に縛られる必要は無いじゃろ」
「そうなのかなぁ?」
アニマは顎を右手に置き、考えながらそう話した。
「そうなのじゃ。だから、もうぱぱっとやってしまうぞ。力を与える人物は魂の特性で大体決まってるからの」
ゼイトはそう言いながら、ポンポンと手のひらから魔力の玉を出して混沌の世界に送った。
「なっ! 神授之権能は神そのものの力だから、神達に許可を取らないとでしょ!?」
アニマは、焦りながらそう言った。
「えぇ〜、どうせやらないと混沌の世界が終わるんじゃ、そんな事わざわざやってられん。後で妾が皆に説得をするから安心せい」
ゼイトはニコっと笑って、そのまま作業を続けた。
「ハァ〜。もうどうなっても知らないんだから!」
アニマはそう言いながら何処かへと飛んでいった。
こうして、混沌の世界に神授之権能等が再び出現することになったが、それはまだ少し先の話し。
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目を覚ますと、気を失っていた僕達3人はベッドの上に居た。
窓の外は、空が夕焼け色に染まっている。
目を覚ました僕達3人の周りには、ゼーレ達とブラントとリタが神妙な面持ちを浮かべている。
辺りを見渡すと、書類が大量に置かれている机の前に、おっとりとした雰囲気の白髪ショートにオレンジ目の白衣を着た美女が座っていた。
背中には小さな黒い羽が生えており、後ろには先の尖った黒く細い尻尾も生えている。
外見の特徴と、日中も普通に過ごしていることから、多分このお姉さんはサキュバスだろう。
そしてその隣には、青髪青目で筋骨隆々で、鬼の様な黒い角が一本生えている男が椅子に座っていた。
男の方はオーガかな?
旅をしている時に出会わなかったから、この世界には知能ある魔物は悪魔だけかと思ってたが、獣人同様に故郷からはあまり出ない種族なだけだったのか。
てか、知能ある魔物でも一応は魔王軍の配下だろ? 実質鎖国状態のこの国だからって普通にいて大丈夫なのか?
「あっ! 皆んな、テンヤ達が起きたよ!」
僕がそんな事を考えていると、皆んなと話をしていたリタが僕が起きたのに気づき大声でそう言った。
「医務室で大きい声を出すなリタ」
「むぅ〜」
ブラントに注意をされたリタは不満そうにほっぺたを膨らませていた。
「あらあら、少しは見逃してあげましょうよ。元気なのがリタちゃんの取り柄なのだから」
白髪ショートのお姉さんは、頬杖をつきながらニコっと笑った。
「ふん、ハンナはリタを甘やかしすぎだ」
「あら、私はリタちゃんだけを甘やかしているつもりはないわよ」
ハンナはそう言いながら、ブラントの頭に手を近づけた。
「っ! 撫でようとするな!」
ブラントは、自身の頭に触れかけていたハンナの手をはたいてそう言った。
「あら、またツンデレ? もう可愛いんだから」
「ハハッ! そこら辺にしてやれよハンナ」
青髪の男は、ブラントの背中を叩いて笑っている。
「うっ! マックス。お前もスキンシップ激しすぎんだよ」
ブラントはマックスに距離を取りながらそう言った。
「あっあのー、ゼーレ。ここはどこなんだ?」
「あぁー、ここはさっきまで居たビルにある病院の一室だよ。それより、もう体は大丈夫なのか?」
「うん。もう大丈夫。レイラもありがとうな」
「貴方が急に倒れたから、本当に心配したんだからね」
僕達が各々話し合っていると、病室を開ける音がした。
「フォ、フォ、若いもんは元気があって良いのぉ〜」
扉の方を見ると、腰が曲がった体色が緑色の老人とおそらく知能のある筋骨隆々でがっしりとした体形をした金髪青目のオーク。
そして、白とオレンジのパーカーを着たオレンジ色の髪と瞳をした色白の可愛らしい女の子が入ってきていた。
っ! あの爺さん体の色が緑だし、もしかしてゴブリンじゃないか! ゴブリンなのに老人特有の何か凄えオーラを感じる。
「ハハッ、シュランさん、謙遜は辞めてくださいよ。貴方も十分元気なんですから」
オークの男は優しく笑いながらそう話した。
「ガンマ。お主はちと元気すぎじゃがな」
シュランがそう言うと、ガンマの後ろからオレンジ髪の女の子が出てきて話し始めた。
「そうです。シュランさんは頼もしいおじいさんです」
「おぉー、メグちゃんにまでそう言われると、頑張らないわけにはいかんな。さて、それはさておき、テンヤ様達と客人がご無事そうで安心いたしました」
シュランがそう言いながらお辞儀をすると、他の2人も合わせてお辞儀をした。
「うん、ありがとう。少しめまいがしただけだからそんな気にすることじゃないよ」
「いえ、テンヤ様達はこの島でミア様についでお偉い方なのですから、ミア様にお使えする私達も貴方様方のことは心配なのです」
「ガンマもありがとう。でも、来てもらって早々悪いんだけど、俺とアカネ、それからライムで天の世界で話したいから誰も入らないように見張りを頼みたいんだけど」
「そうでしたか、了解しました。私共がきちんと見張りをしておきます」
「うん、ありがとう皆んな」
「じゃあ行こうか。アカネ、ライム」
テンヤはそう言いながらベッドから降りた。
「うん」
アカネもテンヤに続きベッドから降りて服のシワを整えていた。
「オッケー。あっそうだ悪いけどゼーレ達はこの国の観光とかしといてくれる?」
僕も近くの机に置いてあった自分のリュックを背負ってベッドから降りてそうゼーレ達に話した。
「ハァ〜、いつものことだから良いけど。あまり遅くなるなよ。ほれ、これがホテルまでの地図。ハンナさんが書いてくれたんだよ」
そう言ってゼーレは僕に地図を渡してくれた。
「へぇ~、ありがとうございますハンナさん」
「そんなにかしこまらなくても良いのよ」
ハンナさんはニコっと笑いながらそう言ってくれた。
こうして、僕達勇者パーティーは、ミアの配下であるロイヤルティーナイト全員と出会い、僕はテンヤ達と共に天の世界へとエレベーターで上がっていったのだった。




