43 世界創造神話
僕はフライム達と共にゲートに入り、神と天使の世界『オリード』に到着した。
どうやら、僕達はオリードを一望できる時計塔の上にワープしたらしい。
「うわっ! やっば!」
僕はゲートから出るなり、目の前に広がる景色に絶句した。
眼の前には、建物や道が全て白色で、街から少し離れた所に花畑等がある美しい世界が広がっていた。
「ふふーん、凄い景色でしょ」
「うん、やべぇよ」
「まぁ景色に見惚れるのも良いけど、一応ここにも君を狙う神がいる訳だから、さっさとあのデカい神殿に行くよ」
「りょーかーい」
ライムは軽い足取りで時計塔の端まで歩いていった。
「ちょっと、その言葉遣いを他の神にしても、余は助けないからね」
時計塔の真ん前には、見るからに偉い人が居るだろう、この星を見渡せるように建てられている神々しい宮殿と言ったほうが良いような建物があった。
僕達は時計塔から降り、神殿を目指して街を歩いていた。
「流石は神の世界だな。皆んな強そうだし、立ち振る舞いから今まであった奴らとは違うってのがわかるな。まぁ、僕には到底届かないがな」
「アハハ、本当に君は面白いね。でも本当に気をつけなよ、いつ殺されるかわからないんだから」
フライムは、乾いた笑いと共に不吉なことを言った。
「おっ、あの像は何なんだ? 神の中でも偉いやつなのか?」
少し歩いていると、広場のような所に出て、その中央に翁と女の子の姿に彫られている2体の石像があった。
「うん、そうだよ」
『別世界之丸天井』
フライムは、何故かドームを展開した。
「むか〜し昔、まだ宇宙も世界も何一つ無かった時代、原初の宇宙とも呼ばれている虚無の世界に突如生まれた神々と宇宙達の母、創造神ゼイト樣……」
「えっ、何か始まったんだけど?」
眼の前にはマリンが用意していた、プロジェクターのようなもので映し出されている宇宙のような景色が広がっている。
「ライム樣、申し訳御座いません。聞いてあげて下さい」
レイは、申し訳無さそうに言って来た。
「ゼイト樣はまず、虚無の世界にあった一ミリにも満たない真空のエネルギーを糧にビッグバンを起こし、"無"から神と天使の世界オリードを作られた」
フライムは、ライムが戸惑っているのを気にせず話しを進めていた。
「そしてそこからは、同じ方法で君の前居た星、地球のある世界や、魔力が最初に出現した世界である幻想世界、そして全ての世界の魂が安らかに眠る場所、天国のある世界。その反対の、魂が裁きを受ける地獄がある世界。この他にも数多の世界をお作りになられました」
なっ! ビックバンの元である宇宙のタネが無から産まれたのって、ゼイト様がオリードから"無"に向けて、魔法を撃ったからだったのか。
グヘヘ、宇宙の謎を一つ知っちまったぜ。
ライムが悪い顔をしているのも気に留めず、フライムは話しを続けた。
「こうして、自身に科せられた宿命を果たしたゼイト樣は、自身の代わりに世界全てを統治する存在、最高神ヘルト様を初めとする神々や天使達を創造されたのです……。はい、これが我々神に伝わる世界創造神話です」
「つまり、女の人の方は創造を司る神ゼイト樣で、男の人の方はゼイト樣から生まれた唯一の神にして全ての神の頂点に立つ、ヘルト樣ってことか?」
フライムが魔法を解除し、ライム達は再びオリードの空間へと戻った。
「うん」
「はへぇ~、そりゃあ神も石像にして大事にする訳だ」
ライムは尊敬の眼差しで石像を見上げていた。
そうして、ライム達は再び神殿を目指し歩きだすのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「おい、貴様はもしやライムじゃないか?」
少し歩くと、赤髪でガタイの良い神に話しかけられた。
「なっ! 貴方は!」
フライムの顔は真っ青になっていた。
「ん? 知り合いなの? てか見るからに筋肉バカだな」
僕がフライムの方を見ると、突然みぞおちに今まで感じたことのない衝撃が走った。
「へ?」
僕は、完全に油断しきっていた為、受け身もろくにできずに建物の壁を何枚も突き破って、最後には神殿の壁に激突し、吐きそうになった。
「うっ! がはっ!」
どうやら、僕は魔力で身体強化をしているのにも関わらず、それを破壊する威力で吹き飛ばされたのだ。
痛いのは痛いが、目立った外傷は無い。
ただ、殴られた時の衝撃で全身の骨が何本か折れ、上手く立つことが出来なかった。
僕が飛ばされてから5秒程経つと、フライム達が空間魔法でワープして来た。
「ライム生きてる!? レイ、マリン、今すぐ天使の魔法で直してあげて!」
「はい!」
「了解です!」
レイとマリンは、急いでライムに駆け寄って治癒魔法をかけた。
「もう! ホンット邪神は嫌い!!」
物凄い衝撃音と共に、さっきの神が飛んできた。
『別世界之壁!』
フライムは空間魔法で壁を作り、邪神の攻撃を防いだ。
「ふっ、やはりお前と俺の相性は最高だな」
「余からしたら、最悪だけどね」
僕を殴った邪神が魔力を拳に込め始めると、ドームにヒビが入り始めた。
「おらっ!」
そして、ドームが壊れた。
「死ねぇ!! 理に反する者よ!!!」
神が拳を構え、魔力を込め始めた。
その魔力は森羅万象全てを破壊する、深淵の闇そのもののような邪悪に満ちた魔力だった。
邪神の拳が僕に当たる寸前、オリード全てを飲み込む程の白い光を帯びた魔力が神殿から発せられた。
「なっ! この光はまさか! くそっ、あのジジイふざけやがって!」
白い光がオリード全てを照らし、邪神は遠くへと飛んでいった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
数秒後。
光は収まり、僕の体は完璧に治っていた。
僕が自分の体の状態を確認していると、神殿の最上階から誰かがゆっくり空を飛んで降りてきた。
「申し訳ない少年。その治療は儂からの些細な謝罪の証じゃ」
降りてきたのは、綺麗な白い短髪に水色の瞳をしていて、右手には木製の杖を持っている高身長で年老いた神、最高神ヘルトだった。
フライムが出てから強さのインフレが激しすぎますが、ちゃんと主人公最強の作品です。
後、中二病要素もこれからどんどん増やしていきます。




