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02 絶望を晴らす雷鳴

 神の気まぐれで転生できる事になった僕。

 次に目にした光景は、転生先のフサフサの毛並みをした若い黒猫獣人の母と父が嬉しそうにしている姿だった。


 ガチで猫じゃん。


 そう思っていると、今までに感じたことのない不思議な感覚が体中を巡っていることに気づいた。


 魔力だ!


 どうやら神の言っていたことは、嘘じゃないらしい。


 僕は飛び上がりそうになったが、赤ん坊の姿では母親の腕からは離れられない。


 夢の転生ライフは少しお預けみたいだ。


 落ち着いた頃、もう一度あたりを見渡すと、文字はわからないが、雰囲気で魔法書やこの世界を知る事ができそうな本があることが分かった。


 どうやら母は脳筋獣人ではないらしい。


 この世界を知りやすくなった。


「あーと」


「あなた、この子が喋ったわ!」


 僕が言葉を話すと、母さんは興奮気味に父さんの手を握っていた。


「あぁこの子は天才だ」


 父さんは、穏やかな笑顔を浮かべている。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 月日が流れ、ハイハイができるようになった。


 早速外にでてみよう。


 両親が朝ごはんを作っている隙に外に出た。


 今まで窓越しでしか見れなかった景色だ。


「凄え~、最高じゃん」


 思わず声が出た。


 僕の目の前には見渡す限りの自然、そして周りを歩く猫の獣人達。


 どうやら、ここには猫の獣人だけが住んでいるみたいだ。茶トラや白猫など様々な種類の猫の獣人が街を歩いていた。

 眼に映る光景すべてが、僕の鼓動を高鳴らせた。


「こら! ライム。勝手に外に出ちゃだめでしょ」


 これからのことを考えていると、慌ててお母さんが出てきて家に連れ戻された。


 外の景色を見て、ますますこれからが楽しみになった僕はこの世界について調べまくった。


 それから数カ月後。


 家にあった本は殆ど見ただろう。文字や言葉は赤ちゃんの体だからか物覚えが早く直ぐに覚えれた。


 どうやら、この世界は1000年前に魔王が勇者を倒して以来、勇者が現れておらず、誰も魔王に太刀打ちできないらしい。

 だが、流石に老いには勝てないらしく、息子に継がせるつもりで、その息子を倒すために色々な所で冒険者が旅をしているらしい。


 まぁ主人公からラスボスを横取りしたい僕的には、魔王の息子には長生きして欲しいけどね。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 5歳になった頃、僕はほぼ完璧に魔力を扱えるようになった。

 魔力の扱いだけ見れば、この村の獣人には負けないと思う。


 とある日の朝、いつものように修行をするために森に向かっていると、木にもたれかかって座っている同い年ぐらいの女の子に会った。


 黒髪黒目でボブヘアの猫の獣人だ。


 僕は話すこともないし、その場を離れようとしたが少し考えるとあることに気づいた。


「これって幼馴染みを作れるチャンスじゃないか?」


 前世から幼馴染みの関係に憧れていた僕は、思わず女の子に声を掛けた。


「あ、どうも初めまして僕はライムです」


「っ! ……」


 いきなり話しかけてしまったせいか、女の子の耳と尻尾がピクッと動き、無言で俯いてしまった。


 どうしよー、僕コミュ障なのにお願いだからなにか喋って!


 僕は内心焦りまくっていた。

 転生しても性格がガラッと変わる訳では無いらしい。


 僕が平静を装いながら内心焦っていると。


「あの貴方はなぜここに?」


 喋ってくれた。

 嫌われているわけではないと思いたい。


「僕は修行をしに来たんだ。君は?」


 僕は、この年で出せる最大限のイケボで爽やかに話した。


「私の名前はアンナ。気分転換をしに来たのよ。私の父は村長だから私も覚えないといけないことが多いの」


「ふぅ~ん、大変なんだね」


 アンナと話していると、村の方から悲鳴が聞こえてきた。


『キャー魔王軍よ!!』


『ウォー!!』


『グルルッ!』


『大人の獣人は全て殺せ!!』


 どうやら魔物達が村を攻めに来たらしい。

 村の景色は赤く染まり、炎が木々を灰へと変えていた。


 僕達はいきなりの悲鳴で耳がピクついてしまう。


 ハァー。人間の時もいきなり大きな音がしたら反応したりしたけど、この耳だと余計に反応しちゃうな。

 慣れるまで時間がかかりそうだ。


『戦えるものは儂に続け!』


 僕達が村に走って戻っている途中、村長が叫ぶ声が聞こえてきた。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 僕たちが村に着いた頃には、戦いは既に終わっていた。


 魔物達の圧勝だ。


 家は焼け落ち、地面に大量の血が滴り落ちている。


「なにが起きたんだ!」


「みなさん無事ですか!」


 アンナの頬には、冷や汗が伝っている。


「子供はひとり残らず捕らえろ!」


 魔物達のリーダーらしき悪魔が命じると、魔物たちが家の影などに隠れていた子供達を連れ去り始めた。


 その光景を見ていたアンナは前に出て。


「なぜこんなことをするのですか?」


 と手を震えながら悪魔に尋ねた。


 すごい精神力だと感心していると悪魔が答えた。


「大人は抵抗されると邪魔なだけだが、子供はまだ弱いからな簡単に戦力にできる」


 悪魔は、冷たい笑顔を浮かべて嗤った。


 要するに魔王軍の強化をするために来たらしい。


 それを聞いたアンナは怒り、毛は逆立ち、鬼の形相で悪魔に向かって走り出した。


「アァァァア、よくも!! 全員殺してやる!!!」


 まだ戦闘経験もろくに無い子供の体なので、魔力も上手く扱いきれていない。

 怒色に染まった黒い瞳は、悪魔以外を視界に入れていない。


 ただの感情任せの特攻……、自殺と一緒だ。

 このままだとアンナは殺される。

 せっかく幼馴染みになれそうなのに。


 そう思った僕は、今まで隠していた力を使うことに決めた。


 僕が魔力を込めると、周りに雷が漂い始めた。


 空気が一変した。


 魔物達は静まり、その場に居る者全員がライムを見た。

 雷が漂っているせいか、空気が乱れている。


 手加減はしない、躊躇なんて論外。

 ただ、眼前の敵を殲滅するのみ。


「落ちろ無数の雷よ……。『雷撃之機関銃(雷撃ガトリング)』」


 僕が魔力を発動すると、上空には暗雲立ち込め、次第に空から無数の雷が落ち、魔物達を一掃した。


 初めて無数の雷を制御できたことに嬉しくなっていると、子どもたちが親を失ったことで泣きじゃくっていた。


 どうやってみんなを元気づけよう。


 そうだ。


「君たち僕の仲間になって魔王軍と魔王を倒さないか?」


 僕が提案すると、子どもたちは頷いた。


「よし、じゃあ組織の名前を決めよう」


 ノリノリで考えていると、アンナが。


「何故楽しそうなの!」


 と怒りながら言ってきた。


 確かに、僕も親を無くしてるのにはしゃぎすぎたのかもしれない。


 反省しないと。


「ごめん。みんなを元気づけようとしていただけなんだ」


 申し訳無さそうに言うと、アンナは、


「ごめんなさい」


 と頭を下げた。


 ふぅー、なんとか誤魔化せた。


 安心していると、見るからにクールでイケメンなウルフカットの黒髪をした黒い瞳の猫獣人の男の子が。


「それで組織の名前はどうするんです?」


 と聞いてきた。


 僕は悩んだ。


 この選択は後々の僕の中二病活動に大きく関わってくる重要すぎるイベントだ。


 何故なら、組織の名は登場した時や、僕達の噂を人々が話す時に使われる組織の顔だからだ。


「よし決めた! 僕らの組織名は、『サンダーパラダイス』だ!!」


 僕は意気揚々と言い放った。

サンダーパラダイスの由来は、主人公が雷魔法に全振りなので主人公の楽園という意味です。

 

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ラスボス乗っ取りを計画する頭領がいる組織とは思えないほど真っ白なネーミング…
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