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雷鳴の猫王と勇者達の旅路〜猫の獣人に転生した中二病、勇者達を魔王の元まで導かん〜  作者: 一筋の雷光
凛然編

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23 勇者パーティー旅に出る

 月日は流れ、ライムがゼーレと出会ってから1年半。

 ライムとゼーレ、そしてディストラは、ライムとゼーレが18歳になり、旅立つその時まで特訓を続けていた。


 特訓の内容は、ライム達は魔法については既にある程度上達していたので、ライムが前の世界で学んだ武術を中心に特訓をしている。

 勿論、ライムは実力を隠している。


 今は、ライムがゼーレに剣術を教えている。


「ふん」


「よっ」


 お互いの力強い声と剣と剣がぶつかり合う音が森に響く。


「剣筋だいぶきれいになってきたなゼーレ」


「ライムのおかげだよ」


 ライムは戦いながらゼーレに話しかけた。

 この頃には、ほぼ1年半同棲して同じ生活をしている為、だいぶ2人の仲は縮まり、冗談や相手を馬鹿にしたりするぐらいの仲にまでなっていた。


「それで、そろそろ旅立つ予定の日だけど、どんなパーティーを作るか決めたのか?」


 僕はゼーレに魔王を倒すパーティーの編成をどうするのか聞いた。


「そうだな。とりあえず僕もライムも、オールラウンダーなところがあるから、ひとまず後方支援担当はほしいよな」


「確かに、僕達は二人共近接戦が好きだもんな」


「それと、僕も出来るには出来るんですけど、僕らにバフを付与してくれる人がほしいしね」


「そうだな」


 そんな話をしている内に、僕達は日課の修行を終えた。


 修行を終えて、ゼーレは帰る準備をしていた。


「まぁ仲間は、旅をしながら集めればいいから、焦る必要はないからな」 


「うんわかってるよ。それでライムはいつも通りこれから一人で特訓をするのか?」


「うん。それじゃあね」


 僕はそう言って、遠くの雪山まで走っていった。


「本当に獣人って体力バカだよな」


 ゼーレは呆れた表情でライムを見ながら、タオルで汗を拭いていた。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 僕は、村から見えない雪山に移動し特訓を続けていた。


「「いーち、にぃー、さーん、しー」」


 僕とディストラは、僕が前世からやっている特訓を少しやり方を変えて、今でも基礎体力や筋肉をつけるために日課として取り組んでいる。


 僕が前世からやっている特訓はシンプルで体中に重りを巻き付け、靴や鞄もできるだけ重たくして日常生活や筋トレをするというもの。

 だが、この世界には体に巻く重りなどがなかったので、布に石を詰めたものを作ろうとしたが、村の布は貴重なため使うことが出来なかった。


 なので、小さい頃はちょうどいいサイズの岩を見つけて重り代わりにしていたが、魔力で身体強化が出来ると知ってからは、身体強化の応用で一時的に体を重くし、負荷をかける方法を使って筋トレなどをしている。 


「イメージすれば負荷の調整が簡単にできるから、岩よりも負荷をかけられるし、何より背中が痛くならないからな。ディストラには感謝してるよ」


「私もこんな負荷のかけ方があったとは思わなかったので感謝してますよ」


 その日も僕たちは深夜まで特訓をした。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 僕とディストラは特訓を終え、ゼーレの家に帰った。


「ただいまぁー」


「おかえりなさい。今日も遅かったな」


 家に帰ると、ゼーレが夜ご飯を作っていた。


「もうすぐで出来るから、お風呂に入ってきて」


「うん。いつもありがとう」


 お風呂から出た僕は、ゼーレが用意してくれたご飯を食べていた。


「温まるなぁ」


「そういえばなんですけど、ライムって絶対に僕より強いですよね」


「ウッ!」


 いきなりの言葉に僕は飲んでいたスープを吹きかけた。


「いっいやーソンナコトナイヨォ。確かに力は強いかもしれないけど、総合的に見たらやっぱりゼーレの方が強いよ」


「そうですかね? だって武術も間合いの管理の仕方も僕はライムから教わったんですよ」


「まぁ、そんぐらいは獣人だったら普通だって」


「そうなんですか」


 ふぅー危なかったぁ。


 僕が実力を隠していることや、サンダーパラダイスの皆んなやディストラ以外にはライトニングのことはライトニングとしての活動のために絶対にバレたくないからな。


 ご飯を食べ終わった僕達は、疲れていたのですぐに寝室に行き眠った。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 翌日、遂に僕達の旅立ちの日だ。


 村の広場には、僕達を見送るために村の人達全員が集まっていた。


「ゼーレ。死ぬんじゃないよ」


「ライム君も頑張ってね」


 村の人達と喋っていると、ゼーレのお父さんとお母さんがやって来た。


「ゼーレ、気をつけてね」


 ゼーレのお母さんは、寂しそうにゼーレの頭を撫でた。


「ライム。お前、ゼーレのことを頼んだぞ! そのリュックも大事に使ってくれ!」


 ゼーレのお父さんが大声で喋った。


「はい! 頼まれました!」


 そう元気よく返事をしたライムは、背中に前までの古いリュックとは違い、新品の大きな革製リュックを背負っていた。


「それじゃあいってらっしゃーい」


「行ってきまーす」


「またなぁー」


 そうして、僕達は遂に魔王を倒す旅に出たのだった。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 少し歩いた僕は、ゼーレに行き先を決めてもらうために質問した。


「それで、これからどこに行く?」


「そうだな、とりあえず旅をしている強いエルフが居ると噂されている近くの森に行くか。まぁそこに行くためには、山をいくつか超えないといけないから、そんなに急ぐ必要は無いよ」


「おう、分かった」


 今は秋だけど、この辺りは秋でも普通に雪が降るからな。気を付けとかないと。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 僕達は少し進み、山の麓に到着した。


「これからここを登るのかぁ」


「山の頂上付近はもっと寒いから、気をつけような」


「まぁでも、豪雪地帯であるここらへんの山には、たくさん小屋が設置されてるから、そこで休みながらゆっくり行こうぜ」


「それが良さそうだな」


 まぁ僕は全部無視してきたんだけど、ゼーレと一緒だとそうもいかないからな。


 そして僕たちは雪山を登り始めた。


「やっぱり山は一段と冷えるな。村の人達がマフラーとか手袋とかをプレゼントしてくれて助かったぜ」


「そうだな。無かったらだいぶやばかった」


 ゼーレがふと頭を上げると、少し上に小屋が見えた。


「おっ! 小屋じゃん。だいぶ歩いたし、あそこで休憩にするか」


「そうしよう」




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 僕たちは震えながら山小屋に入った。


「わっ! びっくりした」


 中に入ると、一人の金髪ロングエルフが寝ていた。


 僕達は女の人が寝ている所に入るのは、寝込みを襲っているみたいになると思ったので小屋を後にしようかとも思ったが、僕たちも命の危機を感じていたので入ることにした。


「まさか、こいつが旅をしているエルフか?」


 僕がそう言うと、ゼーレも口を開けた。


「いや、聞いていた特徴と違うから、別のエルフだと思うぞ」


 まぁ別に故郷をあまり出ない獣人だって旅に出るやつが居るんだから、長寿のエルフが旅をするのも不思議じゃないか。


 僕たちはひとまず小屋にあった暖炉に、火をつけることにした。


「よし、ひとまず小屋を暖かくするか」


「そうするか」


 僕は暖炉に火を付けるために木材を探した。


「なっ、無いだと!」


 なんと、小屋の木材が無かったのだ。


「おいおい、まさか暖炉には微かに木材のカスがあるから、まさかこのエルフが使い切ったのか!」


「どうするんだ? このままだと凍え死んじゃうぞ」


 僕達が騒いでいると、いきなり窓が空いた。


「何だ!」


 僕が窓の方を見ると、一瞬ケモミミが見えた。


 ケモミミってまさか!


 次の瞬間、遠くから炎の矢が飛んできた。

 矢は暖炉に突撃し、暖炉に火を付けた。


「う〜ん、なんのおとー」


 いきなりのことで戸惑っていると、音でエルフが起きた。


「なぁゼーレ、お前はこのエルフの相手をしててくれ、僕は火の矢を撃った奴を探してくる」


 僕は窓を開けた犯人を追うためにゼーレにお願いをした。


「ちょっと、置いてかないで〜」


 厄介事を押し付けたのもあっているが、僕は炎を打った犯人に目星がついていたのだ。


「おいディストラ起きてるか?」


「起きてますよ」


「よし、なら一応ゼーレの護衛をしてくれ」


「了解しました」


 ディストラは僕の影から出て小屋の影に入った。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「ハァハァ寒っむ。てかあいつ僕と同じぐらい速いな。てことはやっぱり炎の矢を飛ばした奴って」


 僕は何とか逃げるやつを追いかけ、少し離れた小屋に着いた。


 小屋に入ると、黒いコートに身を包んだ獣人が十数人居て、真ん中には人間の女の子が居た。


 僕が小屋の中に入ると、人間の女の子が話し始めた。


「やっぱり凄いな、ライトニング様は」


「僕のことをライトニングと呼ぶ人間ということは、やっぱりホノカだったか」


 僕がそう言うと、ホノカがフードを取った。


「会いたかったぜ、ライトニング」


 ホノカ達の目は潤んでいた。


「僕も皆んなに会いたかったよ。久しぶりだね」


 ライムは爽やかな笑顔でホノカ達との再会を喜んだ。

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