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雷鳴の猫王と勇者達の旅路〜猫の獣人に転生した中二病、勇者達を魔王の元まで導かん〜  作者: 一筋の雷光
黒雷編

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19 ヘル砂漠に到着

 街を出た僕たちは、魔将軍の一人『炎竜 ヘルグラン』と戦うために南西の方角に向かっていた。


「ねぇディストラ」


「はい何でしょう?」


「ヘルグランって奴が居るダンジョンは、どんな所に居るんだ?」


「ヘルグランの居るダンジョンは、この大陸の南西方面にあるヘル砂漠にあります」


「へぇー、ヘル砂漠って言うんだ。てかなんでディストラが地名を知ってるんだ? 僕も知らなかったのに」


 とは言ったものの、僕って結構この星の地名に詳しくないっぽいからな。ディストラが普通なのかもしれん。


「それは、私がダンジョンの警備をしてた時に、冒険者が落とした世界地図を見たからですよ」


 やっぱディストラって有能だな。


「てか、ライトニング様こそ知らなかったんですね」


「うん」


 ホノカ達と見た地図にはラスファートから南の地名は書いてなかったからな。


 まぁ、あの地図はホノカが集めた情報をホノカが手書きしたものだから。ホノカがラスファートの人達から聞き出せなかった地名は、書いてなかったんだよな。

 まぁ僕が一ヶ月の期限を付けたから、混沌の大森林の近辺の調査に絞ったんだろうけど。


「てか砂漠かぁ。僕暑いの嫌いなんだよなぁ」


「これから暑いどころではない敵と戦うんですから頑張ってください」


 僕が嘆いていると、ディストラが励ましてくれた。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「ここがヘル砂漠かぁー」


 僕は街から出て3時間ぐらい掛けて、ヘル砂漠に着いた。


「ほぼ瞬間移動に近い僕が、結構休みながらとは言え3時間掛かるのは遠いほうだからな。全然近くないじゃんか! ディストラ!」


「すみません。僕も地図でしか見たことがないから、距離感がわからなかったんですよ」


「それならしゃあねぇか」


 数分後。僕達はヘル砂漠で魔物達に追われていた。


「暑っちぃー」


「もっと早く走って下さい。ライトニング様」


「うるさいなぁ。人の影の中でらくしやがって」


 僕は襲いかかってきた魔物を斬った。


「グキャァ」


「おぉー斬れ味抜群だな」


「ソフィアの作る魔道具は、その人の魔素100%で作るので、他の人が持つとおもちゃになりますが、本人が持つと、その人自身の強さに比例して強くなるんですよ」


「へぇーやっぱお前のお姉ちゃん凄いな」


「姉じゃありませんって」


「ハハッ」


 ディストラは少し怒った口調をしていた。


「なので、ライトニング様が強くなればなるほどその剣も強くなりますよ」


「それは楽しみだな」


 魔物たちとの鬼ごっこを楽しんでいると、いつの間にかダンジョンに着いていた。


「ふぅー追ってきてたやつは全員倒したな」


「そのようですね。ですが、ダンジョンの中にも魔物は居ますし、罠もありますので気をつけて進んでくださいね」


「わかってるって、気をつけてるのにそんな頻繁に罠にかかるわけ無いじゃん」


 そう言って、僕は意気揚々とダンジョンに入った。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「うわぁー、これ火炎放射器か……。って、アチッ! 熱いってコノヤロー!」


 僕が火炎放射器を殴ると機械が止まった。


「ふぅー止まったか」


「だから忠告したのに……」


 ディストラは憐れみの表情で僕を見てきた。


「うるさいなぁ。僕だって掛かりたくて罠に掛かってるんじゃないし、罠に掛かるのだってダンジョン攻略の醍醐味だろ?」


「はぁー」


 僕はそれからも罠に掛かったが何とかヘルグランの居る最下層にたどり着いた。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「これがヘルグランかぁ。でっけぇー」


 そこには、封印されてもなお熱を放出している小さな島ぐらいの(ドラゴン)が居た。


「それでは、これからヘルグランの封印を解きますので魔力で身体強化をして体を守ってくださいね」


「そうしないと、ヘルグランの炎で灰すら残らなくなりますから」


「えっ待ってくれ。僕10歳になってからずっと雷属性の魔法で常に身体強化をしてるけど、どうやって雷魔法で体を守ればいいの?」


「はぁー、ライトニング様ってなんでこういう所は鈍いんですかね」


「どういうこと?」


「たとえライトニング様が雷魔法しか使えないとしても、魔素を使うことを中心にするのではなく、魔力中心で身体強化をすれば、属性魔素関係なしに体を守れますよ」


 なっ! 盲点だった。確かに前世で読んだ漫画でも主人公達は属性魔法を使わずに身体強化をしていたな。


 つまり、わざわざ雷魔法で筋肉を刺激して身体強化をするというややこしい方法を使わなくても、頭でイメージするだけで足を早くできたり力を強くしたり出来たのか。


「いやー盲点だったよ。思い出させてくれてありがとうなディストラ」


「本当にライトニング様は誰でもわかるような事をよく見落としますよね」


「そうなんだよ。直したいんだけどね。取り敢えずやってみるよ……。こんな感じかな?」


 おぉー、雷魔法で強化するよりも自由に体をいじれるな。


「どうですか?」


「雷魔法で強化するよりも簡単だし、魔素の消費量も少ないからいい感じだよ」


「ライトニング様って、今まで難しい方法で身体強化をしてたんですね」


「そうだな。僕も驚きだよ」


「でも、今までのやり方も合わせたらもっと身体強化が出来るし、難しい方に慣れてて良かったよ」


「また強くなっちゃいましたね」


 ディストラは自分の事のように嬉しそうに話していた。


「うん。ディストラも頑張らないと置いてっちゃうからな」


「置いていかれないように頑張ります」 


 そして僕も魔力で身体強化をしたので、ヘルグランの炎を耐えれるようになった。


「それでは行きますよ」


「あぁ、準備万端だぜ」


 僕がそう言うと、ディストラはヘルグランの封印を解いた。


「グキャァ!!」


 封印を解かれたヘルグランは雄叫びを上げた。


「これがヘルグランの姿か、やっぱドラゴンはかっこいいな」


 そんな事を言っていると、ヘルグランが魔力を開放してダンジョンを壊し始めた。


「そんなことを言ってる場合じゃないですよ。速くしないとこのダンジョンの下敷きになりますよ!」


「あぁ、わかってる」


 僕達はすぐさまダンジョンの外に逃げた。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「うわぁー、ダンジョンが全部溶かされたな」


 ヘルグランが眠っていたダンジョンはヘルグランが全身から放つ熱で溶かされ、砂漠をゆっくりと歩く姿は、まさに災いそのものの様な恐ろしい雰囲気を放っていた。


「そうですね。急いで倒さないとここら一体も溶かし尽くされてしまいます」


「まじか、ヤバ過ぎだろ! なら最初っから本気で行くぞディストラ」


「はい」


 僕は、ディストラからヘルグランの強さを大体聞いていたので、共闘をすることに決めていた。


「いやー、これは一人で戦う相手じゃないな」


「そうでしょ?」


「それに、私はライトニング様と初めて共闘出来るのが嬉しいです」


「僕も楽しみだよ」


「それじゃあ行くぞ!」


 ライムは、殺気に満ちた表情でヘルグランを睨んだ。


「はい! 私はライトニング様に合わせますので、ライトニング様は暴れて下さい!」


 ディストラは、やる気に満ちた表情で拳を握っていた。

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