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雷鳴の猫王と勇者達の旅路〜猫の獣人に転生した中二病、勇者達を魔王の元まで導かん〜  作者: 一筋の雷光
黒雷編

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17 創造のソフィア

 ダンジョン最下層にて、ダンジョンの一番奥にあるソフィアの居そうな扉の前についた僕は、お腹が空いてフラフラになっていた。


「ハァハァ、流石にこんな深いとは思ってなかったし、このダンジョン罠ばっかで魔物が居ないから食べるものがなくて死にそうだ」


「私もかなり限界です」


 ディストラもライムの影の中でお腹を鳴らしていた。


「ソフィアはどうやって、飢えをしのいでるんだ」


「わかりませんよ」


「そっか。とりあえず中に入ってなにか食べれるものがあるなら貰おう」


「そうしましょう」


 フラフラの状態で扉を開けるといきなり大きな声がした。


「ようこそおいで下さいました。私ソフィアが歓迎いたしますよ!」


 何だ、もっとおとなしいのを想像してたんだけどな。


 扉の先には小さな部屋があり、中からソフィアらしき背の小さな悪魔の女の子が出てきた。

 雪の様な白髪に青メッシュが入ったロングヘア、そして水色に澄んだ綺麗な瞳。

 真っ白なヨレヨレのシャツは、サイズが全く合っていない為、彼シャツの様にブカブカサイズ感になっている。


「君がソフィアかい?」


「そうだよ。僕は天才のソフィアだよ」


 ソフィアは、両手を腰につけ、自慢気にそう話した。


「創造のソフィアだろ?」


「アハハ。君、ノリが良いね」


 ソフィアは腹を抱えて笑いながらそう言った。


「それはどうも……。それはそうと、食料と水をくれないか?」


「良いよ。君達には楽しませてもらったし特別にあげるよ」


「君達って……まさか!」


「うん、気づいてるよ。てかこのダンジョンにはところどころに監視カメラをつけてるから。君達の罠に掛かってる姿もバッチリ見てたんだよね」


 監視カメラ? そんなのこの世界にあったか?


「ということで、誰にも言わないから出ておいでよ。ディストラ」


 ソフィアがそう言うと影に隠れていたディストラが出てきた。


「ふっ、ディストラの名も聞いていたのか」


「うん、君たちの関係性もなんとなくわかってるよ。良かったねディストラ、友達が出来て」


「なんか、ディストラのお姉さんみたいだな」


 僕がそう言うと、食い気味にソフィアが詰め寄ってきた。


「そうなの。だから友達ができないディストラのことが心配だったの。君、ライトニングだよね」


「そうですけど……」


「ライトニング君、ディストラと友達になってくれて本当にありがとう。お礼にお姉さんが何でもしてあげるよ」


 ソフィアは、僕を誘惑するように服の胸の部分を少し着崩した。

 ただソフィアは胸があまり無いので、服の隙間からお腹まで見えてしまっていた。


「いえいえ、お礼なんて別に良いですよ」


 ライトニングは、ソフィアの胸から視線を逸らした。


「てか、ディストラにお姉さんが居たんだな。だからこのダンジョンを僕に勧めたのか」


「いえ、私に姉弟は居ませんよ。ソフィアが勝手に言ってるだけです」


 あっそうなんだ。


「もう、つれないなぁ」


「でも、二人の関係性は姉弟みたいだと思うよ」


「やっぱ、ライトニング君もそう思うよね」


 僕らの話を聞いたディストラはからかわれていると思ったのか話をさえぎってきた。


「それよりソフィア……」


「ソフィアお姉ちゃんでしょ」


「あーもうわかったよ。ソフィアお姉ちゃん」


「どうしたの?」


 ソフィアは、満面の笑みをディストラに向けた。


「話を聞いてたならわかってると思うんだけど、ライトニング専用の剣を作って欲しいんだけど」


「うん良いよ。最近誰も来なくて、そろそろなんか作らないとおかしくなりそうだったんだよね。それじゃあ早速だけど。ライトニング君、魔素をもらえるかな?」


「いいけど、どんな武器にしてほしいとか言わなくて良いの?」


 ライトニングは、腕まくりをしながら質問した。


「それなら大丈夫。今までのライトニング君を見させてもらってイメージは出来てるから」


 流石は天才のソフィア様だ。


 僕はソフィアと手をつなぎソフィアに魔素を流した。


「よし。それじゃあ、早速ライトニング君専用の剣を作るんだけど完成までに1週間掛かるから出来上がるまでここに泊まっていきな」


「泊まるってどこに?」


 僕がそう言うと、ソフィアは隠し扉を開けもう一つの部屋に僕たちを案内した。


「おぉー、結構広いな」


「そりゃあこっちは居住スペースだからね。広めに作ってるんだよ。ご飯は机に置いてあるから勝手に食べてね」


「ありがとうソフィア。でも、ご飯は美味しそうだけど、どうやって用意したんだ?」


「それは偶にエレベーターで外に出て罠を仕掛けてるんだよ」


 ソフィアはさもそれが当然の如く話した。


「エレベーターがあるんかい!」


「うんあるよ。だから帰りはそれを使って帰って良いよ」


 とりあえず、僕らは用意されていたご飯を食べた。


「うん美味しい。ソフィアって料理もできるんだな」


「えっへん凄いでしょ」


 ソフィアは胸に右手を当て、ニヤニヤしながらそう言った。


 「はい、凄いです」


 ソフィアの作った料理を平らげた僕たちは、1週間何をして過ごすかを考えていた。


「食料と水はいっぱいあるみたいだし、完成までの1週間はここで筋トレでもして過ごすか」


「それが良さそうですね」




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 ソフィアの部屋に泊まってから1週間が経った。


 ディストラは何度も怒られ、今ではソフィアさんのことを普通にソフィアお姉ちゃんと呼ぶようになっていた。


「ソフィアさん。怒るとめちゃくちゃ怖かったなぁ」


 ここ1週間の思い出を思い返しているとソフィアさんの声が聞こえてきた。


「よしライトニング君、剣が完成したよ! 二人共おいで!」


 ソフィアさんの所に行くと黒基調で仕上げられた剣があった。


「わぁー、かっけぇー」


「かっこいいでしょ。ライトニング君の好みに合わせたからね」


「ありがとうございますソフィアさん」


「えへへ、どういたしまして」


 ソフィアは、少し照れくさそうに頭を掻いた。


「それで、早速外に行くの?」


 ソフィアさんは少し寂しそうにしながら聞いてきた。


「すいませんソフィアさん。僕たちいかないといけない所があるんです」


「そっかなら仕方ないね。エレベーターはここから出て右の方にあるから……」


 扉を開けながら寂しそうに話すソフィアは、ライトニング達の眼にも少し可愛く映った。


「ソフィアさんお世話になりました」


「こちらこそ賑やかで楽しかったよ。これからもディストラのことをよろしくね」


「はい、それではまたお会いしましょうね」


「うん、ディストラもまたね」


「またな。ソフィアお姉ちゃん……」


 ソフィアと別れた僕らは、エレベーターに向かっていた。


「ソフィアさんいい人だったな」


「悪魔ですけどね」


「そうだったな」


「えっとこれが上に行くボタンだな」


 僕がエレベーターのボタンを押すといきなり地面が無くなった。


「えっ何だ?」


 僕は落とし穴に落ちた。


「痛ってぇー」


「ライトニング様大丈夫ですか? ソフィアの奴やりやがったな」


 少しするとソフィアがやって来た。


「あはは、やっぱり君面白いね」


「ソフィアさん。これはえぐいって」


「ごめんね。ついイタズラしたくなっちゃった」


「正解のボタンは、この緊急ボタンだよ」


「初見殺しすぎるだろ」


 僕らはソフィアに引き釣り出してもらい穴を塞いでもらった。


「今度こそ行きますね。ソフィアさん」


「うん、いつでも待ってるからね。今度はエレベーターを使ってもいいし」


「それは助かるよ」


「ディストラもまたね」


「またな。それと今度はイタズラを仕掛けるなよ」


「えぇどうしよっかなぁ」


 ソフィアは、両腕を頭の後ろに回して口笛を吹きながらそう言った


「ソフィアお姉ちゃんは本当にどうしょうもないな」


「まぁまぁ、楽しいし良いじゃんか」


「ライトニング様は、楽観的すぎるんですよ」


「そうか?」


「そうですよ。ここに来るまでの罠も楽しんでましたし」


「まぁ実際楽しかったしな」


 僕がそう言うと、ディストラは呆れた表情を浮かべていた。


「それじゃあそろそろ行きますね」


「うん、呼び止めてごめんなさいね」


「呼び止め方が強引すぎですけどね」


 ディストラは、少し怒りながらソフィアに向かってそう言った。


「あはは、ごめんって……。それでは、さようなら。ソフィアさん、今までありがとうございました」

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