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雷鳴の猫王と勇者達の旅路〜猫の獣人に転生した中二病、勇者達を魔王の元まで導かん〜  作者: 一筋の雷光
組織結成編

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08 魔力の謎

 朝からアンナにお世話をされるというご褒美を満喫した僕は、ルンルンで森にトレーニングをしに来た。


 日課のトレーニングをしようと森を歩いていると、戦っているような音がした。


「誰が戦っているんだろう?」


 興味が出た僕は、音の鳴った方に向かった。


 音のした所に行くと、ユキネとツカサが村の子たちと特訓をしていた。


「あれ? ユキネ達じゃん。村にいないと思ったらこんな森の奥でしてたんだね」


「はい。魔法を教えるとなると周りが開けていないと危ないですから」


「近接戦も周りに気をつけないとだからな」


 二人共しっかり者だな。


「そうだ、狐の獣人ってエルフに次いで2番目に魔法とかに詳しいんだよね?」


「はい、そうですよ」


「じゃあさユキネ。僕も魔力のことで教わりたいことがあるんだけどいいかな?」


「えぇ構いませんよ」


「ここだと邪魔になるから離れたところで話そうか」


「わかりました。皆さん少し待っててくださいね」


「はーい」


 ユキネに魔法を教えてもらっていた子供達は、元気良く返事をした。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 僕とユキネは、元いた場所から少し離れた木の下で話すことにした。


「えっとね。教えてほしいことは自分の魔素の属性が何なのかわからない人と分かる人の違いを教えて下さい」


 僕は、今まで謎だったことを遂にユキネに質問した。


「それはですね。魔力の違いですよ」


「魔力?」


「はい。ライム様は普通だと思っているかもしれませんが魔力、すなわち想像力が強くないと、普通は大気中を漂っている魔素を感じることさえ難しいんです。それと同じ原理で、想像力が強くないと自分の魔素が何属性なのかを知ることができないのです」


 つまり、僕は厨二病だから常に色んなことを想像しているから想像力が鍛えられて、魔力が他の人より多かったから自分が何属性なのかをしれたのか。

 というか、今も体中を駆け巡っている魔力って想像力の具現化したもののことだったんだな。


「ありがとう。疑問に思ってたことが片付いたよ」


「それは良かったです」


「それとライム様。私の方からも質問していいでしょうか?」


「うん、全然良いよ」


 僕がそう答えると、ユキネは恐る恐る質問してきた。


「あのーライム様って、もしかして自分以外の人の魔素が見えてます?」


 えっどういうことだろうユキネ達には見えないのかな?


「うん、見えてるよ」


 僕がそう答えると、ユキネは動揺しながら言った。


「本当ですかライム様! まさか、こんな近くに魔力覚醒者が居たなんて……。つまり、ライム様は勇者になれる?」


 僕が勇者。え、どういうこと?


 僕が放心状態になっていると、理解できていないとわかったユキネが説明してくれた。


「知らないんですか、ライム様。他者の魔素が見えると言うのは、すなわち魔力が覚醒しているということなんですよ!」


「魔力の覚醒?」


「はい。ご存知だとは思いますが、魔素はその人が持つ魂の重さにより貯められる量が決まっています。つまり、魔素を貯めている場所は魂なので、魂を認識できないと他人の魔素が見えないんです」


 ユキネは少し早口になりながら話しを続けた。


「ですが、魔力の覚醒が起きると、魔素と魔力の繋がりに魂も入ることで、魂を認識できるようになるんです。そうすると、普通は見えない魂が見えるようになり他人の魔素と魂も見えるようになるそうです」


 知らないことばっかだ。


「それで、魔力の覚醒ができるとなんで勇者なんだ?」


「それは、魔力の覚醒をして相手の魂を認識できる様になると、魂に攻撃ができるからですよ。ちなみに、魂に攻撃されると普通に攻撃されたときの100倍は痛いし辛いらしいです」


 へぇーそうなんだ。

 つまり、僕は無意識に今まで戦った奴らのことを苦しめていたのか。


「なるほどね。でも魔力の覚醒ってどうやったらできるの? 勇者になれるんだから簡単には覚醒できないんでしょ?」


「いい質問ですね。魔力の覚醒は己の魂と魔力が一致し、大気中の魔素を自由に扱えるレベルになる事。その成長に、体もついてこれるようになるとできます」


「そうなんだ。でもそれだと、覚醒の仕方を知っている狐の獣人とエルフなら覚醒ができたんじゃないの?」


 ライムは、軽い口調で質問をした。


「いえ……、それができないのです」


 ユキネは、少し重い表情で答えた。


「なんで?」


「魔力の覚醒には、魔素と魔力を自由に操れるだけでなく、体もついてこられないと覚醒ができないのです。そして、私達狐の獣人とエルフは魔力や魔素、魔法の扱いに特化した種族なので、体が追いつかずに覚醒ができないのです」


「それなら、他の種族に覚醒の仕方を教えればいいんじゃないの?」


「それはできません。他の種族に安易に教えると、世界のパワーバランスが悪い方向へ傾く可能性がありますから」


 まぁそりゃあそうか。魔族じゃなくて、人間とかにも悪意を持っている奴なんて山ほどいるだろうし。


「あっ、後それと……」


 ユキネは、顔を下に向けているライムを見て、何か言いたげに呟いた。


「何だ?」


 ライムは顔を上げてユキネの顔に視線を向けた。


「噂によれば、魔力の覚醒を極めると、自身の魂に秘めている想い。私達が『魂の特性』と呼ぶものを魔法に付与できるらしいので、お時間があればそれも試してみてはいかがでしょうか?」


 え? まじか。それが本当なら僕の魔法に付く追加効果はヤバイことになりそうだな。


「へぇ~、そんな事もできるのか。うん、分かった。やってみるよ」


「色々教えてくれてありがとう。ユキネ」


 僕はそう言いながら、ユキネにニコッと笑いかけた。


「いえ、ライム様ならいつでも呼んでもらっても構いませんよ」


 話し終わった僕たちはその場で別れ、ユキネは皆の特訓をしに皆のもとに戻り、僕はトレーニングをするためにより遠くまで走って行った。

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