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【完結】片想い転生〜振られた次の日に2人で死んだので、異世界で恋を成就させます〜  作者: 雪村
異世界 〜離れないから、貴方も離れないで〜 雅人side
63/65

新しい朝

一気に更新して申し訳ありません!

10万文字達成するまでもう少しお付き合いください!

「雅人起きて」


「ん…後5分だけちょうだい」


「時計が無いから5分とかわからないし」


「うーん…」


「布団剥がすよ!」


「ダメ…」


「何?漏らしたの?」


「ち、違うよ!!」


「目覚めた?」


「あ…」



美姫ちゃんと会話しているうちに俺はいつの間にか体を起こしていたようだ。


美姫ちゃんはすかさず俺の掛け布団を剥ぎ取って横に置く。



「カルイくん待たせたらダメでしょ。早く行こ」


「はーい」



そうだった。


昨日俺は息子さんの家で狩りの基本をおばあちゃん教わっている時に、カルイから魚取りのお誘いを受けたんだ。


ちょうど俺の様子を見に来た美姫ちゃんも誘われて3人で朝一で魚を取りに行く約束をした。


俺は慌てて起き上がって台所の流しで顔を洗おうとバケツを見ると既に水が入っている。



「美姫ちゃんが汲んできたの?」


「うん」


「言ってくれれば俺がやるのに…!」


「雅人ばかり任せられないから。たまには私もやるよ」


「重かったよね?」


「全然」


「……」


「早く顔洗いなよ。家の前でカルイくんソワソワしているよ」


「はい」



俺は何も言えずに黙って顔を洗う。


この世界に来て少しは体力や筋肉がついたとは思っていたけど……理想には程遠い。


俺は手拭いで顔を拭くとそのまま立てかけてあった白の眼の大剣を背負った。



「行こっか」


「準備早いね」


「顔洗うだけだからね。前居た世界よりもめっちゃ早くなったと思わない?」


「わかる。持ち物とか化粧とかそういう準備が無いからね」


「美姫ちゃんは化粧しなくても可愛いよ」


「……本当さ…付き合った途端にそう言うことすんなり言うようになったよね…」 


「今まで、ちゃんと言えなかったからさ」


「おーーい!まだかーー!番いになる準備でもしてんのか?」


「か、カルイ!?」



玄関が勢いよく開いたと思えばカルイが頬を膨らませていた。


相当待ちくたびれたようだ。


俺と美姫ちゃんは顔を少し赤くしながら靴を履いてカルイと外に出る。



「ったく。最近2人の仲が良すぎて困るよ!」


「仲が良いのは前からだ」


「絶対違う!なんかこう……距離が近くなってる!」


「カルイくん、あまり大きな声で言わないで」



美姫ちゃんは周りをキョロキョロと見ながら小さな声で恥ずかしそうに言う。


村人達はそんな俺達3人を微笑ましそうに見ていた。


朝日が昇って少し経った時間だけど、村はもう賑やかに包まれている。


俺達はそのまま村の長い階段を降りて川へと喋りながら歩いて行った。



ーーーーーー



「雅人!そっちに行ったぞ!」


「任せ……うわ!」


「雅人!?」


「ハハッ!びしょ濡れだな!」



魚の急な方向転換に俺は川底に膝をついた。


そんな様子をカルイは大笑いして美姫ちゃんは心配そうな顔で覗き込む。


俺が美姫ちゃんが伸ばしてくれた手を握って立ち上がれば水がびっしょりと服を濡らしていた。



「帰ったら着替えないとね。アキロさんから貰った服があるから」


「また、あいつの世話になるのか…」


「本当に雅人はアキロの兄ちゃんが苦手なんだな。まぁ、あの人結構変わってるからオレもよくわからねぇことが多いんだけどな!」


「あいつはライバルなんだよ…」


「らいば?それもあっちの世界の言葉なのか?」


「ライバルって言うのは競い合う相手みたいな意味なの。勝手に雅人がアキロさんに対して言ってるだけなんだけど」


「オレと雅人、美姫はらいばるか?」


「俺達はライバルなんかじゃないよ。仲の良い友達」


「へへっ!そっか!」


「とりあえず休憩しないか?ずっと魚追いかけっぱなしで少し疲れた」


「私はいいよ」


「しゃあないな〜。んじゃあそこで休もうぜ!」



俺達は川から上がってすぐ側にある草むらに腰を下ろす。


ふかふかとした草が暖かくて濡れた俺を乾かしてくれそうだった。


カルイは大の字に寝てグルグルと左右を回り草の感触に笑っている。


俺も真似して白の眼の大剣を置くと大の字に草むらに飛び込んだ。



「ここの草凄くあったかいな」


「お日様の力だ!」


「なら私も」



美姫ちゃんも同じように寝転ぶ。


カルイと美姫ちゃんに挟まれながら俺達は川のように横になった。



「にしてもちゃんと俺と美姫ちゃんが村から出たのって初めてじゃない?」


「確かにそうだね。家から出るとしても森と村の往復だし」


「これからは沢山出かけよう!オレが色んなところ案内してやるよ!」


「それは楽しみだ」


「うん。沢山の景色が見れるといいね」



俺と美姫ちゃんはこれから新たに見るであろう初めてに期待を膨らませる。


前の世界とは真逆のこの場所だからこそ感じ取れることが多いはずだ。


するとカルイは俺の服の裾を引っ張ってこっちを見る。



「この世界はビャッコ以外にも他の地方があるんだ」


「確かゲンブ、セイリュウ、スザクだったよな?」


「そうだ。オレ、最近思うことがあってさ。父ちゃんの武器屋を継ぐ前にこの世界を見て回ろうと思って」


「旅するってこと?」


「ああ。そして沢山の人と物に出会って、いつか姉ちゃんにこの世界のことを沢山聞かせてやるんだ。姉ちゃんは物知りだけど、この世界の事についてはあまりよく知らないみたいだったから」


「…そっか。良いと思う」


「私も応援するよ」


「雅人と美姫は何かやりたい事はあるのか?」


「俺?」


「私は……」


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