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二度目の告白

男の子が座り込んでいた民家の裏に戻るとアキロは木に背中を預けて貧乏ゆすりをしていた。


明らかに不機嫌なのがわかる。


美姫ちゃんがそろりと近づくと顔を上げて手を振った。




「美姫チャン!……と雅人クン」




しかし俺が居ることに気付くと笑顔は消えて手もゆっくり下がる。




「大丈夫。話の邪魔はしない」


「アキロ、さん?雅人は気にしなくていいから」


「いや、でもねぇ…」




俺に対して見る目は帰って欲しいの目だ。


それは想定内なので動じずにスルーする。


美姫ちゃんはアキロの話を聞こうとするけど、俺が居ることで話を出来なくなったアキロは口をモゴモゴさせて本題には移らなかった。


きっと口説く予定だったのだろう。


それも俺の中ではわかりきっている。


なにせアキロは漫画に出てくるような王道のチャラ男なのだ。


本当に漫画通りで面白くなってしまうほどに。


今、俺とアキロの状態を表現すればきっと俺の手の上でアキロが歩き回っている状態だろう。




(このまま解散になれ…!)




そう思っていた。




「雅人クンは美姫チャンのこと好きなの?」


「え?」




そんな矢先、爆弾発言が俺に飛び落ちる。


隣にいる美姫ちゃんは目を大きく開けて勢いよく俺の顔を見た。




「だってずっと一緒に居るじゃん?それって誰にも取られたくないからってこと?」


「いや、ちが…」


「違うなら今2人きりにしてくれない?」


「……」


「アキロさん…!」


「美姫チャン、ごめんね。少しだけ待ってて。これだけはハッキリしたいんだ」




アキロの言葉で優位だと思っていた俺の位置が変わり始める。


逆に俺がモゴモゴと口を動かす側になってしまった。




「俺は…」




今、本心を言ったらどうなるんだろう。


美姫ちゃんは受け入れてくれるのか。


でもこの世界に来てまだ2日目。


そんな短期間で俺のことを恋愛的な目で見てくれているわけがない。


それに今想いを伝えたら……




『お前が人間なら、1人を守り通せ』




先程言われたことがまたフラッシュバックするように脳内で流される。


お爺さんの言葉通りなら巫女様の護衛が失格になる。


でも、これはあくまでお爺さんの意見だ。


別に2人同時に守っても良いじゃないか。


自分に素直になる方がよっぽど心が楽だ。


……しかし俺は守れるか?


2人を。


同時に。




「雅人クン?黙っていてはわからないぜ?」




アキロは急かすように話す。


美姫ちゃんも俺と同じように黙り込んだままだった。


俺は少し震える口を小さく開けて、虫のような声で話す。


それは勝手に出た意思とは別の言葉だった。




「好きだよ…」


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