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贈り物

美姫ちゃんの近くへ辿り着くと俺の存在に気づいて微笑む。


俺も片手をあげて美姫ちゃんへ駆け寄った。




「雅人クン?」


「げっ…」




森の近くに来ると美姫ちゃんが喋っていた人物に声をかけられる。


チャラ男ことアキロだった。


何を話していたかはわからないけど、美姫ちゃんはしゃがんでいる。


それに対してアキロは立って話しているので俺は心配になって美姫ちゃんの側へ行く。


するとそこには小さく縮こまった男の子がいた。




「良かった。見つけられたんだ」


「うん。すぐに追いかけて行ったからね」 


「話を聞けば村長のばあちゃんに怖い話されたんだろ?俺も餌食になった事あるぜ」


「そうなんですね」


「美姫チャン、別に敬語使わなくたっていいのに…」




意外と冷たくアキロをあしらう美姫ちゃんに俺は少しホッとしてしまった。


俺も男の子の近くに行ってしゃがんで目線を合わせる。


男の子はまだ恐怖心を持ってるらしくて座っている膝に顔を埋めた。




「大丈夫だよ。おばあちゃんも反省してるみたいだから。お父さんがおばあちゃんの事叱っていたから安心して」


「……」


「雅人、やっぱり怖いみたいでさっきから話さないし動かないの…」


「どんだけ怖い話されたんだ…?」




俺は優しく男の子の頭を撫でるけど、顔は伏せたままだった。


そんな中痺れを切らしたアキロはめんどくさそうに頭を掻く。




「とりあえず、家へ返そうぜ?雅人クン抱っこ出来る?」


「えっ、俺?」


「俺は美姫チャンに用があるんだよね〜」


「……」


「何?」


「いや…」

  



俺はどうしたら良いかわからずに自分まで俯いてしまう。


美姫ちゃんも黙り込んだままだった。


アキロはそんな様子に苛立って足を貧乏ゆすりし始める。


そんな時、俺の目には首飾りが映った。


白の眼は白く輝いて光っている。


俺は貰った首飾りを取ると、目の前で座り込む男の子にかけてあげた。




「え…」


「これあげるよ。知ってる?白の眼は白虎様の力が宿ってるんだって。まぁ、俺もさっき知ったんだけどね。これがあれば怖い奴らは寄ってこないよ」


「で、でも…」


「俺はこれから強くならなきゃいけないんだ。首飾りだけに魔除けを頼ってたら誰も守れない。だからこれを預かってて欲しいんだけど……」


「……おばあちゃんに怒られる…」


「俺からあげるから気にしなくていいよ。心配ならおばあちゃんにも言ってあげるから」


「…うん」




男の子はやっと顔を上げてくれて頷く。


俺は手を差し出だすと手を握って立ち上がってくれた。




「帰ろっか」


「帰る」


「私も一緒に行くよ」


「えっ、美姫チャン?」


「話は後でお願いします。私が追いかけて来たので、最後まで見守らないと」


「そ、そう…」




アキロは苦虫を食らったような顔つきで腕を組む。


俺はその様子に少しスッキリとした気持ちになりながらおばあちゃん達が居る家に歩いて行った。


勿論、アキロは置いといて。




「美姫ちゃん、雅人くん、ありがとう…」


「「どういたしまして」」




男の子は俺達を見て笑うと繋いでない片方の手で美姫ちゃんの手を握った。


美姫ちゃんも笑顔になって握り返す。


何だか親子みたいな並びだ。


真ん中に男の子。そして両端に俺と美姫ちゃん。


また余計な考えが浮かんでしまったけど、本音を言うとほっこりとして今は幸せな感情に浸っていたかった。


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