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白の眼の大剣

「その大剣には特殊な素材が使われている。雅人が首にかけている飾りと同じ白の眼だ。今は少量しか使ってないから重みはあるけど、白の眼を詰め込んだ武器なら羽のように軽くなるだろう」


「凄い…!この状態でも重いとは感じないよ」


「白の眼は白虎様の体から出た力が結晶となったと言われている。だから白虎様の近くにいる巫女様の護衛をするならもってこいだな」


「でもそんな凄い白の眼は貴重じゃないのか?」


「確かにな。でも不思議なことにここ2、3日白の眼が採れ放題なんだ。さっきも白の眼を採ってきたばかりなんでな。俺が本気出せば明日の夕方には完成出来る」


「本当に!?」


「ああ、カルイの友達なんだ。優先しない理由がない」


「流石父ちゃん!ねぇ、オレもその作業見ててもいい?」


「大人しくしてるならな」




カルイはお父さんの言葉にガッツポーズをする。


まさか早く作ってもらえるとは思わなかった。


俺も嬉しくて心の中で飛び跳ねる。


隣で話を聞いていた息子さんも嬉しそうに喜んでくれた。




「そう言えば、カルイ。そっちの用事は何だったの?美姫ちゃんは一緒じゃないけど…連れて来た方が良いかな?」


「あっ、えっと……やっぱり今は内緒!」


「え?」


「明日わかるから楽しみにしててくれ!」


「わかった…」




カルイは企むように笑うとお父さんと一緒に奥の部屋へ入って行った。


俺は首を傾げながらも息子さんと一緒に家を出る。




「まるでカルイに兄貴が出来たみたいだね」


「カルイは一人っ子なの?」


「いや、実は…」




俺がカルイについて聞くと息子さんは俺の耳に口を近づけて小声で話した。




「元々、姉貴が居たんだ。結構歳の離れたな。でも神隠しにあったらしくてな」


「か、神隠し?」


「巫女様の力を使っても行方知らずだ。事件から2年ほど経ってるけど手がかりも見つかりはしない。だから神隠しにあったと言われてる」


「そっか…」




俺は衝撃の事実に振り返ってカルイの家を見る。


あの笑顔の裏には辛い事があったのだ。


俺は自然と眉が下がってしまう。


息子さんはそんな俺を見て背中を叩いた。




「雅人達が代わりになれとは言わない。あいつの姉貴はあの子だけだからな。でも時々甘やかしてやってくれ。あいつは少し大人ぶってるところがあるからな!」


「うん。俺に出来る事なら何でもやるよ。カルイは俺と美姫ちゃんの恩人だから」


「とりあえずはこれで完了だな!後はそれぞれの完成を待つだけだ」


「色々とありがとう。迷わずに済んだから助かったよ」


「この村の掟は助け合いだからな。困ったら何でも言ってくれ」


「うん!」




息子さんは俺の頭をクシャクシャと撫でるとおばあちゃんが居る自分の家へと帰って行った。


また村人に助けられたなと俺はしみじみ思う。


何か恩返しがしたい。


今度美姫ちゃんとも話し合ってみよう。


俺は借りている家へ帰ろうと歩き出した。


帰ったら水汲みをしなければ。


少しでも筋肉を付けたいから、井戸を往復で行こう。


俺はそんな事を考えながら村の中央まで歩くと家と家の隙間から見える森の影に美姫ちゃんの姿が見えた。


誰かと話しているようだ。


もしかしたら飛び出して行ったおばあちゃんの孫かもしれない。


俺は気になって森の方へ方向を変えて歩き始めた。


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