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憂鬱

目が覚めたらベッドの上だった。




「ああ、昨日…」




俺は嫌な現実を思い出してしまって、両手で頭を抱える。


美姫ちゃんの言葉が全て記憶されて脳内でこだましていた。


確か昨日は振られた後、夕飯も食べずに部屋に戻って寝てしまって…。


そしたら今は何時だ?


俺はスマホを手探りで探して自分の目の前に持って来る。


ロック画面を開くと時刻は午前10時30と表示されていた。


寝過ぎだ。


俺はボーッとする頭を掻いてベッドから降りると、部屋を出てお風呂場へと向かう。


とりあえずシャワーだけ浴びておこうと思った。




「雅人、体調大丈夫?」


「んー、うん」


「お肉食べれそう?」


「肉?」


「今日美姫ちゃん家とバーベキューする予定忘れたの?ほら、ちゃっちゃとお風呂入ってお父さん達の準備手伝ってあげて!」




階段を降りているとリビングから出てきたお母さんにお風呂場に押し込まれる。


俺は聞きたいことがあるのにピシャリと扉を閉められた。




「はぁ!?バーベキューなんて聞いてねぇよ!」


「あんたが適当に流したんでしょ?1週間前には言ってました!」




お母さんの声は段々と遠くなっていく。


俺は混乱してその場にしゃがんでしまった。




「う、嘘だろ…」




1週間前と言えば美姫ちゃんへの告白を決めた頃だ。


という事は告白の言葉やシチュエーションを考えている時に言われたのだろうか。


俺は思い出そうと何度も頭の中の引き出しを開けるが、全く出てこない。




「いや、思い出したって意味ねぇーよ」




1人で自分にツッコミをすると急いで立ち上がり、服を乱暴に脱いで洗濯機の中に入れる。


そのまますぐにシャワーを頭から浴びた。


最初に冷水が出て震えるが、そのうち温かくなって来て俺は頭と体を洗い始めた。


体は正常に動いていても、脳内は焦りと困惑で満たされて思考が鈍る。


まさか振られた次の日に家族含めて会うなんて思ってなかった。


ちゃんと話を聞いていたら昨日告白なんてしなかったのに。


1週間前の俺にイラついて頭を洗う力を強めた。




「あーどうしよう…」




シャワーで流れていく泡のように全て無かったことにして欲しい。


しかしどうにもならないから困っているんだよな…。


俺はこれからのバーベキューが憂鬱な気分になってしまった。


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