悪足掻きにもなりませんでした。
アレキサンドラの心情とアーロンの悪足掻き
現実に比べると、ゲームって薄っぺらいのね。
それなのに、ゲームの中に転生してやれ悪役令嬢だの、断罪エンドなどと大慌てしていた自分の、なんて小さい事。
ゲームでは取り巻きは居たけど、助けてくれる友人が居なかった悪役令嬢は自分のせいで断罪されたけど、現実の私には、頼もしい家族や友人達が居て怖い事なんて無い。
ちょっと……、うんにゃ、かなり火力が強い家族や友達だけどね。
多分、ミアさんもそこに気が付いたから、アドリアーナ様の侍女になる事を決めたんだろう。
ヒロインだから、なんて頭がお花畑で舞い上がって断罪に手を貸していたら間違いなく潰された、と思う。
陛下の告発内容……。
ゲームには出来ないよね。
恋愛を重視する乙女ゲームには重すぎる内容だもん。
本当にぼんやりそんな事を考えていたら、床の方から叫び声が上がった。
「ならば、取り返すチャンスを。アレキサンドラを婚約者として、いえ妻として愛し国の為に働きます」
アーロン殿下、違ったアーロン様の悪足掻きに私は唖然としてしまったけど、アドリアーナ様達は冷ややかに見ている。
ドルエステ陛下が、そんな薄っぺらい言葉で宣言された事を撤回なんてしないのに。
「冬だと言うのに、羽虫がいる様だ」
まっ、ドルエステ陛下はアーロン様自体を完全に無視されたけど。
虫だけに?
悪足掻きにもならないって発言力なさ過ぎる。




