断罪は……親でした。
断罪が……。親でした。
ざわざわする会場の扉が開いて、騎士達と共に4人の男女が入って来た。
いや、入って来たと言うより引き摺られて来た、と言った方が正しい。
4人とも煌びやかな衣装を着ているのに、罪人の様に縄で縛られ、猿轡までされている。
アレキサンドラは、彼らが誰か知らないが、アドリアーナやデュランは冷たい笑みを浮かべ、顔見知りの4人の情けない姿を見ていた。
「こいつらが誰か知らぬ者も居るだろうが、気にする事はない」
「父さん」
「父様」
「父上」
「母上」
もやしっ子の3人やアーロン殿下達の声が、彼らが誰かを会場内の貴族達に教えた。
「発言は許可していない」
陛下の厳しい一言で、5人の青年達は騎士に押さえつけられ、床に跪かされた。
罪人の様に扱われるのは
アーロンとイーサンの母親でドルエステ陛下の側妃エローナ。
デレクの父親で、この国の宰相でもあるダラス・フォス伯爵。
トーマスの父親の教皇マーカス。
そしてナオリスの父親、商人オリアスの4人。
名前が分かってアレキサンドラはちょっと遠い目をした。
こいつら、軍や騎士団の活動に対して反対ばかりしてる輩だ。
反対するなら代替案くらい出せって。
「さて、何処から行く?」
「身分の下のものからが順当ですね」
ドルエステ陛下とウィンチェスト公爵が、妙に楽しげに書類を見ている。
「サッと終わらせましょう」
ウィンチェスト公爵がパラリ、と書類を捲り、ちらっとナオリスの父親に視線を向けた。
見られた方は、分かりやすいくらいビクッ、と飛び跳ねる。
人間も飛べるんですね。
誤字の報告ありがとうございます。
添削が甘いな、自分。




