私の近況と王子達の苛立ち
アレキサンドラちゃんはのんびり学生生活を始めました。
その後も、のらりくらりとお父様が婚約の話をはぐらかしてくれたお陰で、貴族学園に入学しても私は第一王子殿下、アーロン様の婚約者にならないまま、候補の1人に留まっている。
学園に入学してすぐ、ウィンチェスト公爵令嬢のアドリアーナ様や隣国ユフラティス帝国の皇太子イズミル様と親しくなり、学園の隣にある士官学校によく遊びに行っているせいか、第一王子殿下のアーロン様や第二王子殿下のイーサン様とは顔を合わせて居ない。
学年が違うし、王族と頻繁に顔を合わせる程王家と親しい訳じゃないから気にもしていなかった。
「話に聞けば、軍事卿の娘は熊の様な女だ。そんな女が私の妃?馬鹿も休み休み言え」
リンデラ王国の第一王子であるアーロンは、また執事から渡された釣り書きを見もしないで床に投げ捨てた。
「ですが、王家も騎士団を纏める軍事卿との縁は持っておきたいと」
「それならイーサンにすれば良いだろう」
「冗談。熊みたいな女、ごめんだね」
双子の王子達は床の釣り書きを部屋の隅に蹴り飛ばし、苛々しながら執事を睨んだ。
側妃から生まれたとは言え、2人はれっきとした王子。
立太子はしていないが、王位継承権では上位にいる。
国の為の政略結婚も必要な立場だと言うのに、自分達の立場をまるっきり理解していなかった。
執事は何も言わずに、蹴り飛ばされていた釣り書きを拾い、王子達の部屋を出た。
「熊の様な女なんて冗談じゃない」
婚約者候補が軍事卿の娘、だと知っていても彼らは彼女の名前も顔も知らない。
ただ、噂だけで彼女を毛嫌いした。
双子の王子達は王族としてどうなのよ。