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王様がいらっしゃった。

大物登場。準備は万端です。

会場に集う人達が一斉に頭を下げてお二人をお迎えします。


「顔を上げよ。全く、良き知らせがあるから来たのに。まぁ良い。デュラン、ウィンチェスト公爵令嬢、此方に」


陛下の満足げな笑顔に、舞踏会の出席者達は自然と口元が綻んでますね。


衣装のベースは黒ですが、金糸の刺繍と翡翠色のチーフとカフスのデュラン殿下とアドリアーナ様が揃うと


「留学を終え、戻られたデュラン殿下と娘、アドリアーナの婚約が整ったことを宣言する」


ウィンチェスト公爵閣下が高らかにお二人の婚約を宣言されてます。

拍手の中、陛下の側に移動されるお二人ともお互いの色を纏い、お似合いです。


「それに併せ、アーロン殿下の婚約者候補は、全て白紙になった事も報告する」


長かった。これで正式に私はアーロン殿下と縁が切れました。

つい、隣に立つイクリス様を見ると、イクリス様も嬉しそうに頷かれてます。


「もう一組婚約が整った若者達がいる」


会場内がざわざわし始めている中、ウィンチェスト公爵が笑みを浮かべ、陛下に挨拶をする。


「ノーエ辺境伯令息イクリス。令嬢と共に此方へ」


ドルエステ陛下の声が、ざわついていた会場内を鎮める。


「行きましょう」


イクリス様にエスコートされ、私も陛下の側に移動しました。

さぁ舞台の始まりです。

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