そしてとうとう決戦の舞台へ
やっと決戦の舞台にたどり着きました。
周りの騒がしさや、私達の婚約の事でバタバタしてたらあっという間に年も押し迫って、明日は新年を祝う、学園内の舞踏会。
お父様がニコニコ笑いながら、やっと私がアーロン殿下の婚約者候補から外れた、と教えてくれました。
長かった。
「今日の舞踏会には親も参加できるから、会場で待っているよ」
「イクリス様からのドレス、本当に似合ってるわよ」
「独占欲丸出しだな」
お父様、お母様、お兄様が本当に嬉しそうに笑ってます。
ええ、私もこのドレスが届いた時、驚きましたよ。
薄い紫から黒へのグラデーションも美しい、マーメイドラインのドレス。
袖や裾のレースは、精緻で淡いブルー。
どう見ても私とイクリス様の色しかない。
イクリス様の衣装も……。
銀と青に差し色が紫。
アウアウ……。物凄くサマになってるのが、更に悔しいけど、素敵です。
私達はイクリス様の馬車で会場の学園内にあるホールに向かいます。
イクリス様のエスコートで、すでに賑わっているホールに入ると、アドリアーナ様やイズミル様達が既にいらっしゃって、なにやら話し込んでます。
「アドリアーナ様」
「アレキサンドラ。良く似合っているわ。ちょっと……大分、ね」
アドリアーナ様の仰りたい事は、良く分かってます。
でも、アドリアーナ様のドレスも白から緑へのグラデーションが美しく、金糸の刺繍がたっぷり施されていらっしゃいますね。
そのお色……。うん、聞くな、と目で言われてますね。
「アレキサンドラ嬢、久しいな」
ウィンチェスト公爵様もいらしてて、威厳たっぷりのお姿です。
「ウィンチェスト公爵閣下。お久しぶりでございます」
カーテシーをすると、いつもの優しい笑顔で頷いて下さいました。
「素晴らしいパートナーだな。アレキサンドラ嬢もりっぱな大人になった」
イクリス様を見ながら頷かれてます。
「では、そろそろ行ってくるか」
「お父様、頼みましたわ」
アドリアーナ様が物凄く良い笑顔でウィンチェスト公爵閣下を送り出してますが、ご挨拶ってそんなに大変なんですね。
断罪、になるのか?




