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口の悪い方々は気を使わない。

アドリアーナ様とイズミル様は口が悪くなってます。

「わたくしの婚約が決まりましたわ」

「何処の物好きだ」


学園の廊下をスタスタ歩くアドリアーナの言葉に、イズミルがニヤニヤ笑いながら憎まれ口を叩く。


此処はうるさく騒ぐアホは居ない。だから、かなり際どい話もできた。


「父の方から報告したところ、アッサリと」


誰とは言わず、経緯を説明すれば、イズミルも頷く。

ウィンチェスト公爵家はその地位の高さや、重要な役職から筆頭公爵、つまり貴族のトップだ。


ウィンチェスト家のアドリアーナは、第一王子の婚約者候補になっていなかったが、本来ならもっとも有力な候補者になっていた筈だ。


「リンデラ国王陛下は、ずっと観察していたんだな」

「ええ、とても思慮深い方です」

「そして、幼かったアレキサンドラの価値を、恐ろしいほど理解してもいる」


本人は変わり者だと言うが、彼女の知識はどの王国も、喉から手が出るほど欲しい。


今のところ大きな戦争は無いが、小競り合いは何処でも起きている。

騎士団だけで無く、国軍の士気や武力を保ちつつ国民に金食い虫の軍の存在を有意義だと示し続ける事は難しい。


軍が優秀であると、他国への牽制になり、災害復旧に汗を流せば国民は軍に感謝する。


今では当たり前になったが、今まで考えたこともない軍のあり方を彼女は示した。


「それにアホの親もアホだったので」

「はっ?」

「訓練がてら調べさせたら……。彼らが優秀すぎて、見過ごせなくなりました」


騎士団に新しく創設された部署の隊員をウィンチェスト家の配下が鍛えていることは知っているが、何をした?

次は大人達のターンかな?

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