三者三様の感情
うん。王子達が気持ち悪い。
やっと、やっと見つけた。
ウィンチェスト公爵令嬢が邪魔でよく見えないが、あれは図書館で見た銀髪の子。
蒼い瞳がなんて美しいんだ。
儚げで、触れたら消えてしまいそうだ。
彼女が候補なら、即婚約したのに。
あの女以外の候補者には会ったが、全員違う。
ならば爵位が低いから、候補者になれなかったのだろうか、それともこれ程の美貌なら、既に婚約者が居てもおかしくない。
何処のどいつだ。この私から彼女を奪って……。
それなら彼女の婚約者を調べないとな。
でも、愛を囁く為にもまずは彼女の名前を聞かないと。
この人集りをすり抜けて、は少々難しいかも。
ああ、顔を伏せないでくれ。
愛しい君は誰なんだい?
なんて美しい子。
兄上の婚約者候補にも居なかった子だ。
歳が近いのに兄上の婚約者候補に上がっていないとなると、爵位が低いのか?
でも、僕は次男だから少々爵位が低くても問題無い。
いや、もう婚約者が居るのかもしれない。
でも、王族の僕が望めばそれも解消出来る筈。彼女の親だって僕の方を選ぶだろう。
グフフ、お父様にお願いして、彼女を手に入れよう。
なんか、背中がゾワゾワする。
「貴女、大丈夫?顔が青いわ」
アドリアーナ様が心配そうな顔で覗き込んでいるけど、ちょっと無理。
もやしっ子の目が気持ち悪い。
アレキサンドラちゃん、すまん。