ちょっと待って、どう言うこと?
ヒロインが大変な事になってます。
入学式から1ヶ月程経った。
アレキサンドラは相変わらず王子達とは接触せず、アドリアーナ達と過ごしていた。
今日もアドリアーナやイズミルと士官学校に遊びに行くつもりで学園の敷地の端を歩いていると、低木の隅に蹲る様に泣く女子生徒の姿が見えた。
走り寄ると、彼女の姿が酷いことになって、アレキサンドラ達は顔を青褪める。
何度も殴られたのか、頬は赤く腫れ制服は泥に塗れ破れている。
何よりアレキサンドラを驚かせたのは彼女の髪の色。
入学式の時、窓から見た、ヒロインの髪の色。
「貴女、大丈夫?」
アドリアーナが声を掛けると、漸く顔を上げアレキサンドラを見た途端、激しく泣き出した。
「手当が必要だし話を聞きたい。学園内では拙いな」
イズミルが自分の上着を彼女の頭から被せ、周りを見る。
「イクリスに話し、場所を借りましょう」
彼女を支えるアレキサンドラを見ながら、アドリアーナが即座に行動を決め、女2人が彼女を支えながら士官学校に向かった。
イクリスは一瞬、驚きの表情を見せたが、ある程度状況を把握したのか、何も言わずにアレキサンドラ達を医務室に連れていった。
アレキサンドラちゃん、軽くパニックです。