やっと通じ合えた?
次の日
また満員電車。
オレは、相変わらず真絵を守り続けた。
しかし、真絵…
たまに瞳がウルウルしだす。
どんだけその男好きだったんだよ…。
真絵をふった男だれだよ…。
電車を降りた後思い切って聞いてみる事に
した。
「なー、真絵」
「ん…?何?」
「真絵が好きなやつって…その、言いたくな
かったらいいんだけど、せめてクラスとか
教えてもらえたらなぁ…なんて」
「なんで?」
「いや…なんとなく…?的な」
「なんとなく…か。二組だよ。」
「えっ⁈オレのクラス⁉︎」
「うん。一応」
はぁー⁈
オレのクラスに真絵をこんなにも悲しませ
るやつがいるなんて。
ったくどこのどいつだ‼︎
教室に入りジーっと男子を見回した。
う〜ん…わからない…。
そしてとうとう放課後になってしまった…
教室で一人考えていたら廊下で
「せーんせいっ」
って真絵の声がした。
あ…
数学の先生オレのクラスの担任。
もしかして真絵…
先生と仲いいし、もしかしたら好きな人っ
て先生⁉︎
オレは勢いよく教室から出た。
そして先生に言い放った。
「先生‼︎放課後生徒をたぶらかすなんていけ
ませんよ‼︎」
って。
すると先生
「たぶらかしてなんかないよ〜。数学わから
ないって言うから教えてあげたんだよ」
と、困り顔で答えてきた。
「うん。そうだよ。雄信、どうした?」
「あっ…失礼しました。」
なんだ。おれの勘違いか…
「いいんだよ。雄信くん。それにしても青春
ってやつは、いいなあ」
ワハハハ
先生は、オレたちの頭をポンッとしてニコ
ニコしながら行ってしまった。
「わりぃ。真絵、先生の事…てっきり…」
「ん?先生の事何?」
「真絵が、先生を好きなのかと思ってさ」
「あー…、先生かぁ」
遠くを見つめる真絵。
あー、オレは真絵に何をしてやれるんだろ
う。
「真絵…」
「え、何?」
「失恋を忘れるには新しい恋だ‼︎」
「は?何それ」
「だってそうだろ?真絵さ、もうこの際…」
「あー、雄信くーん。ノート‼︎」
蒼井さん…
そうだ。ノート返さなきゃ。
「あっ、じゃわたし今日寄るところあるから、
先帰る。」
真絵は、慌ただしく帰ってしまった…。
また、失敗…。
蒼井さんにノートを返し忘れていたので返
して一人で帰る事にした。
真絵いないとつまんねーなー。
一人でトボトボ歩いていると真絵の好きな
シュークリームが安売りしていた。
最近真絵元気ないし、シュークリームでも
買ってってやるか。
真絵もう帰ってるかな…。
ピンポーン
「はぁい」
元気な声でお母さんが出てきた。
「あら、雄信くん!真絵なら部屋にいるから
どうぞごゆっくり〜」
「あ、じゃおじゃまします」
コンコン。
「何、お母さん。買い物行ったんじゃなかっ
たの?」
「あ、オレ」
「ゆ、雄信?」
慌てた様子で部屋のドアを開ける真絵。
「おっす!もう用事済んだのか?」
「あー…うん。雄信は、蒼井さんともういい
の?」
「あー、ノート返しただけだし」
「そんなんじゃ、進展しないよ?」
「え、進展?」
「だって蒼井さんの事好きなんでしょ?」
「あー、あれは流れってかさ…ほんとは好き
じゃないし」
「は⁉︎流れ⁉︎どう言う事⁉︎」
「えっ、そんなすごい剣幕で…どうした?真
絵」
「どうしたもこうしたもないよ‼︎じゃあ雄信
は、いったいだれが好きなのよ⁈」
「えっ、オレ?オレはー…。あのさ、真絵」
「なに」
「真絵がだれに失恋したのか知らないけど、
もうその人忘れなよ。オレが真絵を大事に
するから、だからそいつ諦めてオレにしな
よ」
「え、雄信…」
「ま、オレなんかじゃ頼りないかもしれない
けどさ、オレ真絵のこと大切にするから」
「雄信…わたしの好きな人って雄信なの」
「えっ⁉︎どう言うこと⁇」
「ずっと好きだったよ!なのに雄信蒼井さん
の事好きとか言うから…だからわたし、失
恋したと思って。なのに雄信、適当に好き
な人答えたりして。」
「ごめん‼︎真絵の好きなやつ早く聞きたくて
適当に答えた。ほんとごめん‼︎」
「なら、わたしたち両思い?」
「うん。」
「いつから?」
「オレは、ずっと好きだったよ」
「わたしも」
やっと通じ合えた。
「真絵、好きだよ」
「うん。わたしも雄信が大好き」
えらい遠回りしてしまったがようやくお互
いの気持ちが通じ合えた。
ギュ〜。
真絵を優しく包み込んだ。
それに応えるように真絵もオレにギュ〜っ
としてくれた。
そして、ようやく真絵にキスをする事がで
きた。
何度も何度もキスをした。
続く。