真絵の好きな人
公園のベンチに座ると真絵は、オレの肩に
もたれかかってきた。
かわいいじゃん!
真絵って付き合うと意外と甘えん坊なんじ
ゃん。
真絵の肩を抱き寄せキスをしようとした。
…つ、ついにこの時がきた。
目を閉じた真絵。
あと数センチでくちびるってところで真絵
がいきなり吹き出した。
「ふはははっ。どこまでやるんだよっ」
って…
はい⁈
どう言う事⁉︎
「えっ…なに⁉︎」
「もー、わたし今年こそ騙されないんだから
ね!今日エープリルフールじゃん」
「あぁ…」
マジかー‼︎
だからさっき怪しい笑みを浮かべたのか…
「残念だなぁ。真絵ひっかかると思ったのに
なー」
慌ててそんな言葉をはいた。
「残念でした〜。演技でーす‼︎」
って真絵は、笑った。
ハァ〜…
振り出しに戻ってしまった。
どおりで上手くいき過ぎだと思ったわ…
だがオレは諦めない!
というか…
少し焦っている。
なぜなら高校の男どもが真絵を狙っている
のだ。
しかし‼︎ぜってー渡さない。
「なー、雄信」
「なんだよ」
クラスの男子小林くんが話しかけてきた。
「真絵ちゃんオレに紹介してよ〜」
「だからー…そういうの自分でなんとなしろ
よ」
「…だって真絵ちゃん、話しかけてもごめん
なさい。急いでいるのでってどっかいっち
まうんだよ」
「あー…まぁ、あんまり男と話すの得意じゃ
ないって言ってたなー」
「でもさ、雄信といる時だけ真絵ちゃんニコ
ニコじゃん」
…それは、オレを男として見てないんじゃ
ないのか…
安心しきってんじゃないか⁈
ハハハ…
放課後
「なー、真絵」
「ん?」
「クラスの男友達が真絵と話したいって言っ
てるんだけどさ、今度話してやってもらえ
ないかな?」
「…えっ、何はなすの?」
「なんだろ?でもきっと向こうから話ふって
くれんだろ…。」
「そうなんだ…雄信は、それでいいの?」
「へ?オレ?オレはー…」
「あぁ、ううん。なんでもない…」
真絵…今の質問って…
あー…
オレはやっぱり意気地なしなんだよな…。
このまま真絵がオレのクラスメイトと意気
投合して付き合いだしたら一生後悔すんじ
ゃね?オレ。
…やっぱ…
やっぱ…
「なぁ、真絵」
「えっ、何?雄信」
「やっぱり小林くんのとこ行くなよ」
「え…?どうしたの?」
「だって真絵がいないとやっぱさみしいって
かさ…」
「さみしい?」
「…うん」
「それは、幼馴染として?」
「あー…幼馴染ってか…なんつーか…」
「はっきり言ってよ。雄信」
「あの…オレほんとはずっと真絵が…真絵が
し、心配なんだ」
「はぁ?心配って…心配って何よ⁈わたしが
聞きたいのはそんな言葉じゃないー」
「うっ、コホン」
…あ、小林くん。
「あー、小林くん…」
「あんまり真絵ちゃん来ないから見にきたら
さ…お取り込み中っすね。」
「ごめん。オレが引き留めてた…」
「ううん。そういう事ならおれの出る幕ねー
っすね。無理に紹介してとか悪かったよ。
じゃ、お幸せに」
小林くんは、行ってしまった。
「い、いま小林くんお幸せにって言ったよね
?」
「うん…」
「どういう意味だろ?」
きっとさっきの会話でオレが真絵を好きだ
って思われたよな…。
ま、実際そうだし。
でも、真絵のやつ鈍感だよなー…。
オレがはっきり言わないのが悪いんだけど
な。
言ったところで振られるんだろうけど…。
そして休日
いつものように真絵とゲームをしていた。
「なぁ、真絵」
「えー?何?」
ゲームをしながら真絵が返事をした。
「真絵さ、この間カッコいいって有名な及川
くんに告白されたよな?」
「あ…知ってたんだ。」
「うん。何で断ったの?」
「じ、実は…好きな人いるんだ」
「えっ⁈マジ⁉︎だれ⁇」
「んー…まず人にものを聞くなら自分からお
っしゃいな」
「あー…そうきますか…。んー。オレは…」
「もしかして、同じクラスの蒼井さんとか…
?」
「あー、そうそう。そんな感じ」
オレは適当に答えた。
だって早く真絵の好きな人知りたくて。
「えっ…やっぱりそうだったんだ…。」
「そんなんどうだっていいじゃん。オレ言っ
たんだし、真絵も教えてよ」
すると真絵は…
瞳にたくさんの涙を浮かべて
「わたし…ふられたの」
って言いながらポロポロ泣いた。
え…
真絵
いつのまに…
オレは、慌ててティッシュを渡した。
「ごめんな。真絵。」
泣きながらフルフルと首を振る真絵…。
だれだよ‼︎
真絵のことふったやろー‼︎
真絵がこんなにも泣いてるってのに。
オレは、思わず泣いている真絵を抱きしめ
た。
「真絵…辛かったな。」
それからしばらく泣いていた真絵だったが
「ありがとう。もう大丈夫」
って言いながら帰って行った。
続く。