ちょっと攻めてみた
「雄信後悔してるならまだ間に合うんじゃな
いの?」
思わず雄信の恋を応援してしまった。
だって雄信が落ち込んでる姿なんてみたく
ない…
雄信には、笑って過ごしてもらいたいから。
「いや、後悔はしてない」
「じゃあ何?」
「オレさ、意気地なしなんだよなー」
「え?意気地なし…?」
「うん」
…意気地なし?
どう言う事だろ。
「雄信は、意気地なしじゃないよ?いつもわ
たしの事守ってくれるし。それに、…」
って…
え…
雄信がいきなり壁ドンしてきた。
えと…
「ゆ、雄信…ここ満員電車じゃない…よ?」
いつもは電車で顔を背ける雄信。
だけど今日の雄信は、こんな近くなのに…
こんな至近距離でじっとわたしを見つめて
いる。
わたしは、恥ずかしくて慌てて顔をそむけ
た。
「うん。わかってる。真絵…オレさ」
雄信は、壁ドンしながらわたしに顎クイし
ながらどんどん近づいてくる。
「え…なっ何⁈」
キィ
ガタっ
ドアが開く音がして雄信が慌ててわたしか
ら離れた。
「にゃー」
…なんだ。にゃん吉。
「あー、にゃん吉かよ〜。マジ焦ったわー」
「にゃん吉ー、どうした〜⁈」
わたしは、雄信のさっきの行動にびっくり
して思わずにゃん吉にすがってしまった。
「オレ今日はもう帰るわ」
「あっ…うん。わかった。じゃ」
「おう。じゃ」
パタンとドアが閉まった途端ベッドに顔を
うずめた。
っくッ…
なんだったの⁉︎
さっき雄信わたしに何しようとしてた訳⁉︎
壁ドンからの顎クイとか本でしか読んだ事
ないっていうのに。
でも…
その先ってやっぱり…
雄信わたしにキスしようとした?
だとしたら…わたし達両思い⁇
次の日
「あっ、おはよう。雄信」
「おっ、おっす」
………
気まずいじゃん。
何話したらいいのさ。
「いい天気だねっ」
「うん。だな。」
…
「あー…ねぇ、雄信」
「ん?」
「あのさ…あのね」
「うん。どうした?」
「昨日の…あの…壁ドンからの顎クイの後っ
てさ…」
「…あー、あれか。あれな。要するに真絵は
さ、おかわり欲しいんだな。わかったよ」
そう言いながらまた通学途中の壁に手をつ
いてわたしに壁ドン。
そして顎クイ…
その先に待っているもの。
キス…。
どんどん雄信の顔が近づいてくる。
くる…くる。
わたしは、目を閉じた。
そしたらいきなり
ピンって軽くデコピンされた。
ーえっー
えぇーッ‼︎
壁ドン顎クイの次はデコピン⁉︎
何それー⁉︎
「いいか、真絵。壁ドン顎クイの次はデコピ
ンだ。覚えたか?」
「はっ?何それ」
「真絵は、よからぬ事を想像したんだろ。ク
クッ。ヘンタ〜イ」
「はぁ〜?そ、そんな事思ってませーんだ」
「ふ〜ん。どうだかぁ」
「もう!雄信なんか置いてってやるんだから
ね」
小走りで走り出すと…
ガシッ
「待てよ。真絵」
わたしの手を掴む雄信。
「えっ、雄信…」
まさかやっぱりここからラブな展開に…
と思ったら
「オレが先ー」
って雄信が走り出した…。
雄信…。
やっぱり雄信には、わたしなんかただの幼
馴染なのかもしれない…。
「ほら、遅れんぞ」
そう言いながら雄信は、手を差し伸べてく
れた。そして、優しくわたしの手を引いて
走った。
雄信…
わからないよ。
一体わたしの事どう思ってるのー⁈
ちょっと雄信に攻めてみよっかな…。
「ねー、雄信」
立ち止まってキスの顔をした。
振り向いた雄信は、
「ん?ん⁉︎真絵…」
って言って雄信は…
雄信は、まさかのハグをしてきた。
えっ…
なんでハグ⁇
「ゆ、雄信…」
「真絵…欲求不満なんだな。」
「はぁ〜っ⁉︎」
わたしは、慌てて雄信から離れた。
「何よ⁉︎欲求不満ってさ‼︎」
「えっ、じゃあ何でオレとキスなんかしよう
としたんだよ。」
「えっと…それは…それは‼︎練習台だし」
「はぁ〜⁇キスの練習をオレですんな」
「じゃあ、誰とすんのさ」
「にゃん吉としろ」
「も〜、雄信のばか」
「バカはおまえだ。行くぞ、真絵。遅刻する
ぞ」
「はーい…。」
あーあ…。
失敗だ。
雄信…
わたしをただの幼馴染じゃなくてひとりの
女性としてみてよ〜…。
続く。