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ライバル登場

 一人の女性が話しかけてきた。

「あのー」

 

 振り向くとわたしよりも背が低いかわいい

 巻き髪の高校生が立っていた。

 か、かわいい…

 

「あのー、彼女さん。ハンカチ落としました

 よ?」

 えっ、彼女さんって…

 わたし⁉︎

 

「あっ、ありがとう。確かにわたしのハンカ

 チだ。ってか、わたしこの人の彼女じゃな

 いんですよ」

「えっ、違うんですかぁ〜?いつもおふたり

 仲がいいなと思ってみていたんです」

「あぁ、そうなんだ。守ってくれるけどぜん

 っぜん恋人とかじゃないんで」

「わぁ〜、ならよかったー。じゃあ失礼しま

 す」

 ペコリとお辞儀をしてその可愛らしい女性

 は、行ってしまった。

 

 …さっきよかったって言わなかった?

 ん⁇どう言う事⁈

 

「真絵、ハンカチ落とすとか…相変わらず成

 長しないな。」

「あー、そうだよね。でも昔よりは落とし物

 減ったし」

「まー、確かに。小学校の頃はいっつも落と

 し物箱に真絵の物入ってたもんなー」

「もー、そうやっていっつも昔の事言うー」

「そのうち真絵自体が落とし物箱に入るんじ

 ゃねーかって思ってたわ」

「ひっどー」

 あはは

 

 いたずらに笑う雄信の笑顔にわたしはいつ

 もドキッとさせられる。

 

 それにしても、さっきの人可愛かったな…。

 しかも彼女じゃないって言ったら、喜んで

 たように見えたな…

 

「ねぇ、雄信。さっきの人可愛かったね」

「あー、真絵よりかわいいな」

「………」

 思わず絶句してしまった。

 すると雄信が言葉を失ったわたしに向かっ

 て

「ウソだよ」

 って笑ってわたしの頭をポンってした。

 

 ほんとにそれ冗談?

 信じていいんだよね。

 雄信…

 

 なら、わたしかわいい⁇

 かわいいなら雄信のものにしてよって言い

 たい。

 でも、わたしの口から出た言葉は、

「そんなの当たり前。わたしは世界一の美人

 なんですもの」

 だった…。

 わたし…バカすぎ。

 

「フッ、真絵昔っからそのセリフすきだな」

 雄信は、笑った。

 

 あーあー。

 いつになったら素直になれるんだろ…わた

 し…。

 

 それから数日後


 駅でわたしのハンカチを拾ってくれたかわ

 いい女の人が向こうから歩いて来た。

 

「あ〜、おはよー」

 にっこり笑顔で挨拶をしてくれた。

「あ、どうも」

 わたしは、ペコリとお辞儀をした。

 雄信も

「ウッス」

 って言った。

 

 そして

「またね」

 ってにこやかに過ぎて行った。

 

 雄信今どんな顔してる⁉︎

 あのこを目で追ってる⁈

 

 …怖くて雄信を見ることができなかった。

 

 それからもたまにその子とすれ違う。

 その度に胸がチクリと痛くなる。

 

 

 もしかしたら…

 いや、きっとあの子雄信の事好きだよね…

 

 最近は、

「おはよ〜」

 って言いながら雄信にボディタッチをして

 きてる。

 

 …雄信が誰かの彼女になっちゃうかもしれ

 ない。

 

 どんどん雄信とあのこの距離が縮まってい

 る気がする…

 

 どうしよう。

 告白してみる?

 でも、ただの幼馴染としかみてないって言

 われたらどうする?

 幼馴染だからずっと一緒に居たけどもう、

 限界って言われちゃうかもしれない…

 それにオレお前みたいな強がりよりあの子

 守りたいからって言われちゃう?

 

 

 告白なんかしたらこの幼馴染の関係も終わ

 ってしまうかもしれない。

 

 雄信…。

 ずっと雄信のそばに居たかった。

 

 あの子は、わたしよりもずっと素直でかわ

 いい。

 よく話しかけてくれるし、いつもニコニコ

 だ。

 それにあの子、幼馴染なんて羨ましいって

 かわいく微笑んだ。

 素直でかわいいんだからもう勝ち目なんて

 まるでない。

 

 

 それからしばらくして…

 ついにあの子が雄信を奪いにやってきた。

 

「ちょっと幼馴染くんと話してもいいかな」

 って言い雄信と行ってしまった。

 

 …明日からもう雄信に守ってもらえなくな

 るんだな。

 

 さよなら。

 雄信

 

 家に帰りたくさん泣いた。

 雄信…

 行かないでよ雄信…

 

 泣き疲れていつのまにか寝ていた。

 雄信があの子と手を繋いでどこか遠くに行

 ってしまう夢をみていた。

 

 目を覚ますと涙で髪がぬれていた。

 優しく誰かが拭いてくれた…

 

 ー…え…ー⁇

 

「真絵、どんな夢みてたんだよ」

「えっ、雄信…なんでいるの?」

「あー、なんか真絵が気になって…で来てみ

 たら寝ながら泣いてるし。」

「え…気になってって何?わたしなんか変だ

 った?」

「あ、なんか落ち込んでるってかさ」

「落ち込んでなんかないよー…ちょっと数学

 の点数が悪かっただけ」

「は…?マジ⁉︎」

「…うん。それだけ」

「それで寝ながら泣く?」

「夢は…また別。パンダのおじさんに笹の葉

 分けてもらえなかった夢見てただけ。でも、

 パンダのおじさんほんとはいい奴だし」

「は?パンダのおじさんって…」

「もう、いいじゃん。それよりあの子と付き

 合うことになったんでしょ?その報告?」

「えっ、付き合わねーよ。」

「な、なんで⁉︎」

「なんでって…なんでも」

「ふーん」

 

 ほんと⁉︎付き合わないんだ。

 よかった。

 雄信…なら明日からも一緒だよね⁉︎

 ずっとずっと一緒がいいって言いたい…

 でも…そんな事言えるわけがない。

 そのかわり…

 

「雄信バカだなぁ、あんなかわいい子振るな

 んてさー」

 なんて言ってしまった。

 

 フッて雄信は、笑った。

 そして

「オレは、ほんとバカなんだよなぁ」

 って言った。

 

 もったいない事したって後悔してるのかな

 雄信。

 なんで断ったんだろう…。

 

「雄信後悔してるならまだ間に合うんじゃな

 いの?」


 なんて思わず雄信の恋を応援してしまった。

 

 

 続く。

 

 

 

 

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