満員電車
「ねぇ、雄信」
「何?真絵」
「好きだよ…」
つ、ついに…
言っちゃった。
どんな返しがくる⁇
なんて思ってたら…
雄信、
「えっ…実はオレも…」
なんて言い出すじゃん。
実はオレも何?
流されて言ってる?
そんなのヤダヤダー。
ストーップ‼︎
やめやめー‼︎
「なに?嘘でしょ⁈雄信私のこと好きなの?
マジ⁈えっ、いつからー⁇」
思わずこんな事を口にしてしまった。
「はっ⁉︎ウソだよ。真絵に合わせただけだろ
ーが。バーカ」
コツン
幼馴染の雄信が優しく私の頭をこついた。
あー…ノリ…的な?
自分からふっかけといて落ち込む…
何してんだろ。
わたし…
「ほら、ゲームの続きやろーぜ」
「う、うん」
あー……自分からふっかけたくせに焦った
よ、、、。
何事もなかったかのようにゲームに集中し
た。
雄信もそれからその事には触れない…。
ただひたすらゲームを続けた。
私達は、バイトが休みの日よくこうして雄
信の部屋でゲームをしている。
ずっと私は、雄信が好きだけどなんだか今
更なわけで…
結局告白できないまま高校生になっていた。
わたしたちは、同じ高校。
だからいつも一緒に登校している。
どちらから誘ったわけでもないけど、なん
だかいつも一緒に通っているのであった。
「ねー、雄信。今日も電車混んでるかなー」
「あぁ、混んでるだろーな」
「やだなぁー」
「だな。」
私は、やだなぁなんて言いながらも本当は
混んでますようにって密かに願っていた。
だって…だって電車が混んでると雄信が私
を満員電車から守ってくれるから。
そしてやっぱり満員電車だ。
ぎゅうぎゅうの中雄信がわたしを両手でガ
ードしてくれている。
「ゆ、雄信…ち、近くない⁈」
「もう少しの辛抱だ」
「う、うん…」
毎度ドキドキする。
こ、これは電車じゃなかったらもうキスの
一歩手前。
雄信…
いつのまにこんなに背伸びたのよ。
顔だってずいぶん大人びてさ。
じーっ。
思わず顔を背けてる雄信を見つめてしまっ
ていた。
すると雄信、
「何?」
って顔を背けながら聞いて来た。
わっ。
ずっと見てたの気づかれてた。
「あー…ううん。なんでもない」
「あっそう」
って言ったまま雄信は、わたしをかばいつ
つ顔を背けたまま外を見ていた。
満員電車でわたしと雄信は、たまにハグ状
態だし、壁ドンみたいにもなったりしてと
にかく朝からドキドキハラハラなのだ。
雄信は、私から顔を背けるようにいつも立
っている。
正面向いたら…向いたらきっと…キスの距
離
だから雄信は、顔を背けるのだ。
その横顔がまた、たまらない。
このまま抱きついちゃいたいくらいだ。
そんな勇気ありませんが…。
…雄信
電車から降りて大きなため息をついた。
「あー…つっかれたー、、」
ハァ。
「電車マジ混みすぎだよなー」
「でも、雄信は私とイチャイチャできて本当
は、嬉しいくせに」
「ばっ、バーカ。んなわけねーよ」
クスクス。
ほんとは、素直にありがとうって言えばい
いのに、わたしったらいつもこんな事ばっ
かり言ってしまう…
とにかく雄信は、なんだかんだで優しいの
だ。
わたしは、ドキドキハラハラだけど雄信は
実際どう思ってわたしをいつも守っていて
くれるのだろう。
電車から降りてため息をつく。満員電車が
嫌なのではなくて、緊張からの解放からく
るため息だ。
もうバクバクでいつも呼吸が乱れまくりだ。
私がこんなに雄信を大好きだと言うのに、
雄信はいつもクール顔だ。
雄信…
雄信は、正直私のことどう思っているのよ
ー⁉︎
放課後
ザーザー降りの雨。
「あー…雨じゃん」
「真絵、傘ねーの⁈」
ほんとは、あるけどウソついてみた、、
「うん…忘れた」
「しゃーねーな、ほら入れよ」
雄信…
「えっ、相合い傘じゃん。雄信ほんと私のこ
と好きだなぁー」
「はい⁇そんな事言うなら入れてやんねー」
「あっ、ウソウソ。ごめんなさい…」
「ほら、入れよ。結局なんだかんだで真絵が
オレのこと好きなんだから」
「はい⁇なんですかー⁈」
なんていいながら歩いていたら、
「ほら、肩濡れてんじゃん」
って言いながら雄信は、私の肩を抱き寄せ
て来た。
うわっ…
雄信…いきなり肩とか抱き寄せないでよ。
びっくりじゃん。
ありがとうなんて言えたらいいのに…
なのにわたしは、
「雄信ー。グイグイくるな〜。そんな急にわ
たしを抱き寄せるなんてー。いやらしい」
って言ってしまった。
そんな事言いながらも実は心の中では…
や、やめてよ…心臓バクバクだからって思
っていた。
「は?何言ってんだよ。おまえすぐ風邪ひく
からだろ」
なんてそっけない返事。
「あー。そうね…」
こうして、わたしだけがいつもドキドキし
ながら雄信と登下校するのでありました。
たまに電車がそこまで混んでいない時があ
る。
…残念ー。
なんて思ってたらいきなり雄信が
「あー、残念ー。電車空いてるし、雄信がわ
たしのこと今日は、守ってくれないじゃー
んって思っただろ?」
なんて言ってきた。
えっ…雄信。
エスパーなわけ⁉︎
んなわけないよね⁈
「ば、ばか雄信!んなわけないじゃん。むし
ろ雄信がガッカリなんじゃないのぉ?」
なんて茶化してしまった。
「んなわけねーし」
なんてクールな顔で返事された。
なんでわたしはいっつも素直になれないん
だろう…。
バカだなぁ。わたし。
うん!そうだよ?くらい返せればよかった
のにな。
でも、毎日雄信と一緒だからそれだけで充
分。
そう思っていた。
…でも、なんの前触れもなくそんな日常が
脅かされる日が来るなんて。
その日は、いつものように普通の朝だった。
さっきまでは。
しかし、とある人により日常が急変しよう
としている。
「あのー…」
一人の女性が話しかけてきた。
続く。