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07

「俺の名前は、ディーン。長年、冒険者をしていたが仲間に嵌められて腕を亡くした上に借金奴隷に落とされた。後3年ほどで解放される予定だ」


腕を無くしたのは、嵌められたからなんですか!とは聞けずにいるビックリ顔の私を見てお兄さんこと、ディーンは笑いを堪えている。


「では、次は私の番ですね。ご主人様にお会いできて本当に嬉しく思っております。心安らかに日々を過ごせそうです」


心安らかに過ごせるかはまだ、保証できませんが…。


「私は、ルカ・ヴィットリオ・バルディーニと申します。奴隷になったのはお恥ずかしい話なのですが、旅の途中で同族に裏切られまして人買いに売られてしまったのです。その後、仕えた主が酷い女性でしてこの様に眼を抉り取られてしまったという訳です」


オ…オゥ。こちらも負けず劣らず酷い。


「因みに、抉り取った眼は今もその女性の部屋に飾られているそうですよ。私も後、数年で解放される予定です」


もぅ、ポカーンですよ。眼を飾るってどういう事?と私が思考の旅に出ている間に焼けたお肉がお皿にサーブされていた。


「さぁ、冷めないうちにお食べください」


ルカに言われて思考の旅から舞い戻ってお肉を頬張った。ウシュタは、普通のお肉も美味しい。カルビのように少し脂身の多い部位は軽く焼いてタレを付けて食べると臭みも気にならず美味しく食べられる。今回は、左手に炊きたてご飯をセット済みだからお肉をワンバンさせてからパクリ。更にタレと脂で茶色く汚したお米を口の中へ。


「美味しぃー。口の中が幸せぇ」


ルカがせっせと焼いてはお皿にサーブしてくれるのを一旦ストップして、二人にも食べるようにすすめる。


「この米は、甘みがあって美味いな」

「ええ、パサついておらず食べやすいです」


お茶碗のご飯を食べてディーンが驚くとルカも感心したようだ。日本のお米は美味しく品種改良されているからね。やはり甘みと粘りが特徴的だよね。きっとこの世界のお米はジャスミンライスみたいな感じだと思うからグリーンカレーとかガパオライス用に見つけたら買ってみようかな。


お腹も落ち着いてきたし、次は私の自己紹介だよね。受け入れてもらえなかったらどうしようかなって実は、ずっと考えていたんだよね。最悪、受け入れて貰えなかったら二人には何処かでお留守番していてもらってバビューンと行って来ればいっか、とか考えていたらルカに声をかけられた。


「ご主人様。一人で悩む前に私達に相談してください。今日一日ご主人様に驚かされてばかりでしたが少しも嫌ではありませんでしたよ」


ハッと顔をあげるとルカとディーンがこちらを見ていた。でも、その目に嫌悪感は無く寧ろ楽しんでいる様子が見て取れる。


「ご主人が何者であろうと俺達は、ご主人の護衛を最後まで努めようと思っている。だから安心して今、悩んでいる事を話して欲しい。まぁ、ご主人が俺達を嫌だと思うなら店に返品してくれればいい」


「お店に返そうなんて全然考えてない!違うの、二人に受け入れて貰えなかったらって考えて。でも、バビューンと行って来れば事は済むから問題無いし」


ディーンに被せるように喋り出した私は言わなくて良い事まで口を滑らせたようだ。アッ、と思った時にはとても良い笑顔で二人に話の先を促されてしまった。


「これから話すことは、他言無用で。二人には話せないように契約で縛らないといけないから、それで…ごめんなさい。先に謝っておくね」


二人に謝ると「護衛として買われる時は、大体契約で縛られるから気にすることは無い」とあっさり肯定されてしまった。


ならばと、二人に説明を始めた。


「私の名前は、涼音と言うの。でも、こちらの世界ではリンと呼んでほしいかな」


私が異世界から来た人間で日本と言う国に住んでいた事、呼んだのはこの世界の神様であり、仕事を頼まれている事。この国の聖女召喚に便乗してきたこと等を二人にした。ついでにお城での国王陛下との契約魔法についても伝えておいた。私は、2度とこの国には帰ってこれなくなるからね。


名前を『リン』と呼んでもらうのは涼音と言う響がこの世界では珍しい為。神様と相談してギルドの登録もリンにした。この国から面倒事が来たときに探し難いようにと言うのもある。


そして、私の住んでいた国では奴隷制度がなかったこと。だから、二人の事は奴隷としてではなく護衛を雇ったつもりでいる事を話して納得してもらった。


「では、リン様はご家族ともう会えないのですか?」

「うん。ちゃんとお別れしてきたし、神様がお手紙なら送れるからって言ってくれているし」


二人は、ちゃんと最後まで話を聞いてくれた。そして今は、この世界に不慣れな私を心配している。


「家族に会えなくなるのは辛いんじゃないか?まだ、こんなに小さいのに」


そこで「ん?」と違和感に気付いた。二人に出会った時から気になっていた違和感!


「ちょっと!二人共、私の事を何歳だと思ってる訳?」


ええ、とても大事なことです。

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