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本日は、2話投稿しています。
金色の魔法陣は、朝方に太陽が登ると空気にスゥッと溶けるように消えてしまった。
「夢オチ?」
ポツリと呟いた私の声にディアーナがフフフッと笑ってポンポンと背中を叩いた。
「月のマテリアルは、夜に力を発揮するのよ。日中は目立たないけど、夜になればまた魔法陣は見えるわ」
安心して。と言ってギュッと抱きしめてくれるのは、ディアーナも不安だからじゃないかな?コレは夢なのでは···と。
「お二人とも。昨日は、月の雫採取からマテリアルの修復。朝まで魔法陣の観測と来れば、疲労が溜まっているはずですよ。体を休めてもう一度、夜に確認したら良いではないですか」
ルカに御尤もな事を言われてしまった。
「ほら、リン。風呂沸かしてあるから入って疲れを取ってから寝ろ」
ディーンの少しぶっきら棒な優しさが沁みる〜。
「そうね。久しぶりにぐっすり寝るとするわね」
ディアーナも安心して寝てほしいな。
「あぁ、ウトウトして。しょうがないですねぇ」
その辺りで私の記憶は、ブチリと切れている。ええ、寝落ちしたようです。
「天の川が消えたのは夢か幻か···」
自分でも頭が少々混乱してますが、窓の外は夕焼け?朝焼け?どちらでしょう。
「お風呂、沸いてますよ。スッキリしてきたらどうですか?」
ルカに声をかけられチラリと見た時計は4時半。
「え?寝過ぎじゃない?」
夕方の4時半です。ザッと10時間は寝ました。
「疲れたんですよ。マテリアルを修復した上に覚醒させたんですから。魔力もかなり使ったんじゃないですか?」
えっと、覚醒とか魔力使ったとか実感ないんだけど。むしろ良好?
「え?もしかしてあんなに魔力使っといて自覚無しかよ。どんだけ魔力あんだよ」
「エェ〜。確かに疲れたけどさぁ。どっちかって言うと、妖精さん達と薬草採取の方で疲れた感が」
ディーンに言い返すと「マジかよ」って顔で見られました。クスン、お風呂入ってこよ。
――――― ――――― ―――――
「ディーン。リンの魔力量については、外で話題にしないようにして下さいね。未曾有の厄災が降り掛かる恐れがあります」
「あぁ、あそこまで無自覚とは思わなかったからな。注意して見てやったほうがいいな」
リンがお風呂に入りに行った後、キッチリとディーンには釘をさしましたから問題ないでしょう。彼もリンの魔力量の異常さと無自覚について危険だと分かっているようですしね。
おや?早々とリンがお風呂から上がってきしたね。
「ねぇねぇ、ディーン。ヤバイかも!私の魔力、今48万くらいなんだけど、全回復すると80万超えるんだけど」
ディーン、何という藪をつついてくれたのでしょう。
「リン、大事な話です。貴方の魔力量は、魔導師と呼ばれる我々の遥か上。まさに神の領域と言っても良いレベルにあります。無闇矢鱈に話してはいけませんよ。ウッカリも許されません」
笑顔でお伝えしたつもりですが、何故かガクガクと首を縦に振られましたね。まぁ、コレだけ言っておけばウッカリ喋る事も無いでしょう。
えぇ、これは大事な事ですから。
――――― ――――― ―――――
「お腹空いた。二人ともちゃんとご飯食べた?」
私が寝てたからって朝昼の食事抜いてないよね?
「ちゃんと朝昼食べましたよ。リンの分は何時でも食べられるように用意してありますよ」
ルカの声にキッチンを覗くと、クラムチャウダーがお鍋でホカホカと湯気をあげていい匂いを漂わせていた。
「クラムチャウダー久しぶり。最高だよ」
これに、お気に入りの食パンとコーヒーを淹れてゆっくり食べることにしよう。
窓の外は、夕闇に包まれ始めたようだ。




