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本日は、3話投稿しています。
本日は、晴天也。
昨日は、宣言通りダラダラと過ごしたから今日の体調は絶好調だ。気付かぬうちに疲れは溜まってたんだね。ダラダラ大事!
「今日こそは『月の丘』到着をめざす!」
気合いを入れるような感じで言ってますが、問題なく余裕で到着する予定です。
「まぁ、そろそろ到着するだろ」
はい、知ってます。ディーンさん追い撃ちは不要です。
ピコン♪
―700m先
―目的地付近です
うっ、ナビさんまで追い打ち不要ですぅ!
と、まぁふざけながらもバビューンとかっ飛ばしている訳ですがお昼を先程済ませた私たちの向かう先には『丘』ではなく『断崖絶壁』がそびえ立っております。
「眼の錯覚で無ければ目の前は壁なんですけど」
月の丘もとい断崖絶壁が迫って来ている。そして壁の手前には昨日の雨で増水した川が結構な勢いで流れている。
「おや?あそこにあるのは月の雫ではありませんか」
珍しくテンション高めのルカが指差す先には、増水した川の中。よく見ると水草の先にホワッと青白く光る花が咲いている。それが川底一面に咲いているのだ。
「増水の割に水が澄んでいると思ったら妖精の生息地か」
二人がフムフムと話し合っている隣で川の中を覗き込んでいた私だが、説明プリーズ!
「ああ、すみません。少々興奮してしまって」
と、前置きをしたルカの説明によると
この『月の雫』、実は相当レアな水草だそうで。まず、お目にかかれない貴重な薬草との事。
そして『月の雫』の群生地にはいくつかの条件がある。
まず、妖精の生息地であること。
なんと妖精がお世話をしているらしい。らしいと言うのは、誰も確認出来ていないが言い伝えがあるとか無いとか。実にフワッとしているが、実際に妖精が棲息する場所にひっそりと生えている事が多いらしい。
次に月の光が当たる場所にあること。
それは簡単なのでは?と思ったのだけど考えてみてほしい。
基本、自然豊かなこの世界。どこもかしこも森の中は、木が鬱蒼と生い茂り。元の世界で言うところの原生林に近い様相を呈している。つまり、太陽の光よりも弱い月の光が地表近くまで届く場所は実に少ないのだ。
そして、川の上にも木の枝が覆いかぶさっている所も多く見かけたので水の中まで月の光が届くところは更に少ないと言えるだろう。
「と言う訳で、この『月の雫』は大変貴重で、高額で取引されるSSランクの薬草だと言うことです」
成るほど、SSランクの薬草とは二人が興奮する訳だ。
「ちなみに、妖精が採取した『月の雫』はSSSランクにランクアップする。値段は、5倍以上に跳ね上がる」
フォォォ。精霊による採取とかどんな恩恵?流石に無理だよねぇ。と三人で苦笑いしていると、絶壁の上から声が掛かった。
「いつまでそこで川を眺めているの?早く上がって来なさいよ」
リリーンと鈴を転がすような音色が響くと、頭の中に直接声が響いてビックリした。
「何いまの!」
慌てて上を見上げると、濃紺の薄布に金色の刺繍が美しいドレスをきた女性が手招いている。透き通るような肌に深い藍の濡れた瞳、ポッテリとした唇、そして小柄ながらグラマラスな体型。
「ハッ。女神様!」
「違う!『月の丘』の守人よ!早く上がっていらっしゃいよ」
オゥ、美人は怒ると怖いわぁ~。
ピコン♪
−コレヨリ、上昇致します
−ご注意下さい
さて、移動用ロッドに座り直すとエレベーター宜しく真上に上昇しはじめるのを見て「うん。異世界何でもありだな」と一人、静かに納得したのだった。