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宰相の憂鬱Ⅱ

本日は、3話投稿しています。

「何で私がそんな事しなきゃいけないのよ!嫌よ、修行なんて何処の武道家よ」


聖女召喚から一夜明け、聖女様にこれからについてお話した。


まず、神殿に移って頂き聖女としての修行をして頂くこと。それから、聖遺物の綻びを修復をして頂くこと。修復には数年かかりそうなことを丁寧に説明した。


その結果が、先程の言葉だった。


「残念ながら、聖女様のステータスは現在[聖女見習い]なのです。聖遺物の綻びを修復するには、大聖女ほどのクラスでなければいけないのですが」


すっかり気分を害した様子の聖女様を王子殿下が宥めている。


「よく聞いて。私の妃として貴方と結婚する為にも大聖女の称号が必要なんだよ?私の為にも頑張ってくれるかい」


お嬢様方に大人気の甘い微笑みに聖女様もサッと頬を赤くするとコクッと頷いた。お2人の間もこの一晩でグッと近付いたようですし。これで、我が国も安泰だろうか。


神殿まで聖女様をエスコートする王子殿下に正に願いを託し、魔道士団長の元へと私は急いだ。


―――――――――


「手掛かり無しか…」


魔道士団長には、引き続き転移陣と召喚陣について調べてもらっていた。


「転移陣については、城門の監視用の魔道具も調べましたが。城門の外であった為に魔力検知にも反応しなかった様でして」


城門や城をぐるりと囲む城壁にはありとあらゆる魔法陣が張り巡らされている。その1つが魔力検知だ。


基本的に城内での魔法の使用は厳しく制限されている。規定外の魔力を感知すると直ぐに魔道士が取り締まる事になっている。


転移魔法も城内では禁止されている魔法の1つだが、今回は城門の外から国内の何処かへ。と言う転移であった為、魔力検知が作動しなかったと言う訳だ。


「召喚陣に残っていた魔力の残骸については、分析中ですので結果が出次第ご報告致します。それから、騎士団にこの部屋と周辺に設置されている魔導監視システムを確認してもらいましたが。不審者は見つかっていないようです」


「そうか…何か進展があったら直ぐに知らせてくれ。宜しく頼むぞ」


魔導士団長の部屋を出ると騎士団長がこちらへ足早にやって来るのが見えた。


「騎士団長、何か進展があったか?」


「今の所、黒髪黒目の女性について国境の警備からは連絡ありません。それから、国内の警備にもそれらしい情報はありませんでした」


どういう事だ。黒髪黒目の女は目立つはずだと踏んだのだが、情報皆無。


「まさか、髪色を変えたか?」


その呟きに騎士団長も「それも想定して捜査をさせています」との返答。出来る騎士団長であるからその位は、想定して動いてくれているだろう。


「とすると、目の色も変えられるのか」


流石にコレにはお手上げだ。大して用の無い女だと思ってあまり顔を覚えていない。


「ハァ。すまんが私は、あの女の顔を全く覚えていない。城の兵達にあの女の似顔絵を作らせてくれ」


騎士団長はひとつ頷くと去っていった。


『全てが後手に回っている』


初動は悪くなかっただろう。

向こうが1枚も2枚も上手であるのがシャクではあるが。あの女の尻尾を一切掴ませないコチラに居る協力者とやらも腕が良いのだろう。現状、お手上げである。


ならば、私に出来る事と言えばー。


「聖女さまのやる気をどうすべきかだな」


深く溜息を吐くと自分の執務室へ向かいながら良い案が無いかと悩むのだった。若い娘のやる気など、どうすれば良いか分かるはずもないがな…。ウチは、息子ばかりだからな。


聖女様の移動先を教会から神殿に変更しました。

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