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いらだちのタネ達

作者: 夜のトバリ

彼女は常に苛立ちを抱えながら生きているように見える。その原因となる事柄は多岐にわたるため、必然的に彼女のコントロール可能な範囲を既に逸脱しているのは常だ。

日本人の未婚率の増加、少子化の進行、母子家庭の貧困、政治家の腐敗、破廉恥教師の横暴、ドメスティックバイオレンス。これはマスコミが煽っている通りだ。さらに近いところだとご近所さんとの交わりの低下、自治会参加率の低迷、持ち回りの役員になりたくなくて自治会を辞めるお隣さん、報酬もないのに過度な責任を母親に負わせる子供のサッカークラブ、外出しようとドアを開けると不思議としばしば目が合う斜向かいの老人。さらに近いところでは10年引きこもりしている僕の弟に有効な解決策を示さない義父母。実母が入院したときに連絡をくれなかった実家の人たち。こういった方向への苛立ちが目立ち始めると僕は身構えないといけない。少子化とかのうちは、まあ大変だよねと相槌を打っておけばよい。しかし矛先が家族の話になると、あなたはどちらの味方か、何をしてくれたのかと次第に不安定な雲行きだ。さらに進行すると、結婚のときに言っていたことを一向に実行しなくなっているとその標的は僕に一点集中する。そうなると何を言っても無駄なのである。誘いに乗ってすこしでも口をきこものならさらにそこで揚げ足取りになる。会話の方向は既に彼女の中で確定しており、あとは僕が蟻地獄に落ち込むだけである。

あなたは昔、物書きを志していたのでしょう。言葉にしなさいと睨め付ける。ああ、そうなのですよ。僕は今でもこうして物語を書こうとしているのだからね。

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