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異世界に通じる道(2)

「え、どれ??」


「だ・か・ら!異世界だよ!異世界!

おう、うん、全ての辻褄が合った!それだよ!流石だな、トウちゃん!いやー自称天才化学者は伊達じゃないなー。そうと決まれば、次はアレだ!ラノベとかでよく有る異世界とのゲートだな?いや魔法陣のがいいのか?とりあえず、トラックに突っ込んでみて、、」

「ちょ、ちょっと待ってダイ!いやとりあえず待って!お願い!一回座ろう?ね?」


 大道の直情径行をよく知る幼馴染は、まずは椅子に座らせた。

 こうしないと本当にトラックに突っ込みかねないのが、大道の性格なのを熟知している藤花からすると、決して油断出来ない状況なのである。


「あのね。君がこの上なく一直線なのを知りながら、いやバカなのを知りながら、不用意な例えをした事を先ずは詫びるよ。しかしだ、その上でだ。例え話だってぐらい解るだろ?そんなんで今後どうやって生きていけるのか本気で心配になるよ。」


  常の学者風な口調を取り戻し、ゆっくりと藤花は大道に話しかける。


「大体、なんの辻褄が合ったんだい?」

「おかしいとは思ってたんだ。。。」

「何が?」


「最近、文香が冷たい!話す機会が少ない!なんか髪型とか大人っぽくなってる!休みの日に買い物誘っても友達との約束ばかりで付き合ってくれない!」

「はぁ?フミ?、、、で、なんで異世界?」


 藤花は半ば呆れながら、椅子に深く沈み込み、上を向きながら訊ねる。


「これは、、、異世界からの精神干渉に違いない!きっと召喚前に召喚者のこの世界への未練を薄くする為の事前準備だったんじゃないかと!」


 背もたれを大きく傾けて、両足を前に伸ばした姿勢のまま藤花が根気よく訊ねる。


「何がないかと。だよ、、。いーかい大道部員。中学の時とは違い君も柔道部じゃないほぼ帰宅部な化学部員。フミはテニス部で、リア充生活真っ最中。少しぐらい会わなくても不思議じゃない。それに、ウチのテニス部って上の大学のテニスサークルと繋がり強いから休みの日もよく誘われるでしょ?フミも上の世代と付き合い増えれば、髪型やファッションもそりゃ自然と変わるんじゃない?」


「でもな、、だってな、、あ、そうだ!そうだ!

あのな、文香に俺、告白して振られた!」


  その大道の思い出したかのような発言に、藤花はばね仕掛けのように反らしていた身体を振り戻し、大道の肩にその細い両手を叩き置いて、


「は!?告白した?いつ?ダイが?フミに?」


 普段の藤花からすると倍する声のボリュームで訪ねた、と言うより叫んだ。


「んだよ、そうだよ!一昨日の放課後!でも文香に断られるなんて、思ってもいなかったからさ、、って久しぶりにダイって呼んでくれたな!」

「そんな事はどうでもいいの!断った?フミだって、、」と言い掛けて藤花は同じ幼馴染の文香を思い浮かべる。


 保育園からの長い付き合いの三人。


 小学生の頃迄は、その中で目立って大人しかったのが文香だ。


 小学生の頃から他の子に比べて頭一つ以上背が高く、力も強かった為、悪ガキグループからも畏怖されていた大道。

容姿も今風では無いが太い眉に大きな瞳。一見強面になりそうなその風貌を打ち消すのは、屈託のその笑顔の多さ。徒党は組まないが誰にでも大きな声で話をし、どこにでも顔を出し、何にでも関わろうとする。中学の頃始めた柔道ではその体格の良さも有り、直ぐに地域の有望選手となった程だ。同学年では本人が理解しているより、かなりの有名人。


 大道程では無いが女子の中では背が高く、長い艶やかな髪に人目を引く容姿を持ち、成績は常にトップだったのが藤花。

 中学で、更にそのスタイルの良さにこそ磨きがかかったのだが、自分磨きには全く無頓着な為、校内一の残念な美少女の称号を得ていた。そして高校では在籍0人の廃部予定だった化学部に入部し、旧校舎に爆音と、閃光、異臭を繰り広げる怪しげな実験を繰り返している。結果、違う意味で有名人に。


 橘文香はそんな二人と比べるとずっと地味な印象だった。


 勉強も運動もそこそこそつなく出来るが目立つ程では無い。

 容姿はどちらかと言えば幼い感じで、肩までの少し栗色した癖っ毛。平均より低い身長と合わさって三人で歩くと兄妹姉妹にさえ見えた。

 中学ではその人懐っこさから友人も増え、高校に入るとテニス部に入部。チャら、、社交性が高い友人に囲まれてリア充グループの一員となっている。


 世間一般の幼馴染ーズ達と同じく、成長するに従いお互いの趣味趣向は離れていったのだが、この三人、三人だけで集まると今でも何故か仲が良い。昔からの他の友人からは「完成された関係」と揶揄される程に。


 藤花が見てきた限り、文香は大道に対して好意はずっと持っていたはず。

 ただ、それが恋愛の好意なのか、ずっと前に立ってくれていた、兄の様な存在に対する家族的な敬慕なのか?長い付き合いだが、そのような恋愛談議をお互いの間でした事も無く、藤花自身も疎い事から判断はつかないのであるが、、。



「そうかー、、断れたの、、で、あの、酷な事を聞くようだけど、何て断られたの?」


さあさあ、いざいざ異世界、、

は、ハイファンタジー、、


つ、次こそは、、


感想、評価お待ちしております。

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