セルフプロデュース
「オレはアルク=カーバンクル!よろしくな!」
普段眠くて半分しか開いていない目を全開にして、さわやかな笑顔(自称)ではきはき(自称)言ってみる
オレの対面には椅子に座ったソフィアが能面のような無表情の前で手をバッテンしてNGをだしている
ここは家のダイニングだ
たしかに今日はスキル学校の入学の日ではあるが、同級生との初対面の日でもある
もしかしたら将来の彼女とか将来の嫁がその中にいないとも限らないのだ!
可能性・・・いい言葉だ。
つまり、自己紹介で一発かましてやろうと1週間前から寝ながらいろいろ考えた結果一周まわって最初のセリフとあいなったのだ・・
それを予行演習で妹に自信満々に披露したところお気にめさなかったようである
「ちょっと普通すぎたかー」
もちろん目も笑顔もセリフも3秒しか持たないので元にもどった
妹はナニも言わず首を横に振っている・・無表情で。
まぁ初対面の印象は大事ではあるけれど、すぐ元の状態に戻るから取り繕っても意味ないしなぁ
居住まいを正してテイク2だ
「オッス!オラアルク!つえーヤツはどいつだ!」
妹がとてつもなく酸っぱいモノを食べた時のような顔でバッテンと首振りのダブルモーションをとっている
地球ジョークは通用しないようだ
こういう時は一周まわる前の最初に考えたヤツがしっくりくるハズである
テイク3
「オレはアルク・・・アルク=カーバンクル・・・・眠りの女神に愛された哀れな男だ・・・」
目は半眼で(いつも通り)眠そうな表情で(いつも通り)気だるそうな声で(眠いだけ)つぶやく
オレカッコイイ!
妹は5秒ほど目をつぶり黙考してからゆっくりと両手の平で小さな〇を作った
ギリギリ及第点だったらしい
2年の月日はあっという間ではあったのだけれど、自分も妹も体はあまり成長しなかったが精神的にはぐんぐん成長してもはや大人の域だ
具体的には自分を”オレ”と言うように改めた、そのほうがかっこいいからだ
そして12才という年齢がオレの中の中二心をむくむくと育て上げる
ついでにソフィアにもいろいろ教え込んでお嬢様言葉をラーニングさせた
我が家はフツーに一般家庭で父は公務員だが、なんちゃってお嬢様言葉を喋る前世が吸血鬼の真祖の姫のなんじゃってお嬢様が爆誕した・・オレGJ!
「おにいさま」
ソフィアが涼やかに笑ってお嬢様っぽい雰囲気で
「時間もありませんし、めんどくさいので、もうソレで行きましょう」
オレの渾身の自己紹介を流した
あれ以上かっこよくとか文才がないから思いつかないし、及第点ならまぁいいだろう
住んでる町はそこそこ大き目で教会もスキル学校も街中にあるから楽だ、家から通える
周りの農村なんかから出てきた子は寮のようなモノもあるらしい
むしろ家から通えても自立の為に寮生活が推奨されている
寮生活と青春もちょっと羨ましいけれど、男と人付き合いするのもめんどうだし普段は寝てるのでオレは家から通うのだ!
スキル学校は学校とは名前がついていてもその実、職業訓練所みたいなものだ
なので制服とかはない、動きやすい恰好で出かける準備も出来ている
いつものように眠そうにソフィアに声をかける
「輝かしい未来へ出発するぞー」
「よろしくてよ」




