もらったスキルと世界の現実
恩恵の事を聞いた両親は一転大喜びだ
当たりはずれはあるだろうけど、まさか恩恵をもらえないなんて事は想定もしてなかっただろうしどうやら結構困惑というかどうしていいか分からなくて困っていたようだ
寝ていた妹を叩き起こし、用意してあったのにお蔵入りしていたケーキをテーブルにのせ頭にパーティーハット(三角錐のアレだ)をかぶり両手を挙げてにこやかに叫ぶ
「「おめでとーー」」
スキルはもらったがこの世界の神からではなく、むしろこの世界に眠りの神とかいるのか?なんかいそうだなとか考えながら喜んでいる両親にちょっと申し訳なく思う、しかし本当の事(異世界転生)とか話せないし外から見る分には多分違いなんか分かるわけがないのでこの設定で進む事にする
「それで・・眠りの神さまの恩恵とは?」
父さんがゴクリと喉をならしながら興味津々に聞いてくる
母さんは隣でウンウンうなずいている・・・このパーティーのシナリオは昨夜のうちに完成しているようだ
妹はなんか半分寝てる状態でむしゃむしゃとロボットのように一定のリズムでケーキを口に運んでいる
もしかしたら半分どころか目を開けたまま寝ていて、ケーキを食べる心のないロボットになってしまったのかもしれないくらい反応はない
おなかがすいていて、さらに眠いボクはケーキを食べながら神妙に真実を話す
「ずーっと眠くて、むしろ何日でも寝ていられる恩恵だね・・・そのまま寝てると餓死するみたいだからご飯とトイレは起きるよ」
「なるほど!・・な るほド?」
おっとシナリオのリアクションフローチャートを外れたらしいぞ
「・・・スキル学校にいけばきっといい職業も見つかるわ、がんばるのよ」
ウンウンうなずいていた母上は一瞬うなずきを止めたが、さすがのシナリオライター力でさらっと流す
「教会のほうには明日にでも私が恩恵の事を伝えて登録してもらってくるわね」
母さんがシナリオの再構築を完了したようでうんうんうなずきながら言ってくれたのでありがたく全てまかせる
「ありがとー登録よろしくねーーもう眠くて限界なんでねまs-ーーーー」
ケーキで糖分を摂取したので眠気が限界っぽい
ふらふら立ち上がると部屋へと歩いていく 後ろから母さんが声をかけてくる
「アルクちゃん、最悪無職でずっと寝ててもソフィアちゃんが一生介護するって言ってたから気にしないで寝てても大丈夫よー」
気にするわ!!でも眠いので寝る!おのれスキルめーーzz
妹は心をなくしたロボットのようにケーキを食べ終えると無言で部屋に帰って寝たらしい・・やっぱ寝てたんじゃねーか!
さて、スキル学校に行くまでにもらったスキルのコントロールを特訓するのだ!
なんか試験みたいなのもあるらしいから異世界転生あるあるで無双して可愛い彼女をgetだぜ!
スキルの特訓は寝る事だ!非常に外聞は悪いが!彼女getの為なら鬼にでもなまけもの(動物)にでも怠け者(ダメ人間)にでもなってやる!
まぁ実際の所、推定地球の神さまからもらったスキルは<眠れる森の美女>というスキルで効果は”眠くなる”である
この世界の恩恵やスキルと同じように(そう聞いているだけで本当かはもう分からないのだけれど)魂に刻まれてスキルの効果なんかを教えてくれる
他の世界の神さまからもらったスキルの為、なんというか付随してこの世界の理のような知識も入ってきた
びっくり仰天のこの世界のいろいろである
それを知らないともらったスキルが十全に使えないからだ
まず、この世界を作った神さま・・数多の神々と世界を作った創造神みたいなのがいるらしい
創造神はなんというか一周まわってこだわりの強い神だったらしい
いわく、完全なる世界など進歩がない、不完全な世界などいずれ滅びる、完全と不完全が混在しながら”完全に調和した世界”というよくわからないモノを作ったらしい
”不完全”な 人、生物、魔物、植物、それ以外の石や鉱物など命すらない万物
全てに神がその世界に存在する意味と価値を与え不完全なものしかない世界を完全な調和で永遠に回す
そう、実は神の恩恵はそこらへんの石にすら宿っていて、まったく意味のない存在ですら世界に存在する事が完全なる調和には必要な事なのだ
って魂から教わったが神の視点はさすがにワケがわからなかった
1週間ほど内容の理解に努めているとサポート機能が働いたらしく、世界の現実が見えるようになった
この世界の空気中というか空間中というかいたるところになにか光の塊のようなものが無数に漂っている
それこそが、もちろん普通は目には見えないけれども神の力らしい
神の力は常日頃から絶えず人や動物や石ころなんかに吸収?されて世界の全てを神の力で満たしている
よく見ると中に黒っぽい光なんかも紛れていてそれらが邪神の力らしい
神の力や邪神の力は濃度というか分布の偏りがあるようで邪神の力が多い場所では魔物が強くなるようだ
もちろん、神さまも邪神も創造神が作った、世界の全てが超精密なゼンマイ仕掛けの時計のように全てを内包した状態で調和がとれていればそれでいいらしいので邪神も必要なのだ!
って魂が力説してきたので理解はあきらめた
まぁ世界の事なんざ彼女を作る事に比べたらどうでもいいのだ
そういうものだと認識すればいい
あと神の力が見えるのはフツーにジャマだったので魂にお願いしていい感じに調整してもらった
世界の事はさておき、長年の謎が解けた事がある
そう、ギャダムだ!
料理の時切ったり焼いたりはなんとなく地球と同じなはずなのに料理途中でなんか光輝いたかと思うと料理が出来ているのだ!
母さんは料理の恩恵やスキルはもっていないと言っていた
しかし数多の神の力はフツーに体の中に存在し、料理の素材にも存在し空気中にも存在するのだ
恩恵やスキルをある程度使いこなすと無意識に神の力から料理の神の力を抽出して疑似スキルのようなものが使えるようになるらしい
ギャダムを使うタイミングはその時の周りの料理の神の力の分布みたいなもので変わるらしいのでうまく集まったら使えるみたいだ
つまり、ギャダムとは料理でもなんでもなく料理の途中で神さまがいい具合に”調和”してくれるのだ
そりゃあ恩恵受けてない妹の料理がアレな訳だよ・・
これが・・・世界の・・・・・げんじつ
まぁ神さまの力が見えるようになったから気が付いた原理みたいなもので、周りのみんなはなにも気にせずギャダムしている(もちろんギャダムできない奥様もいるようだがフツーに料理を作ればいいのである)美味しい料理ができればそれでいいのだ
後、ソフィの<魔法剣>を見せてもらったが恐ろしいほどの神さまの力があたりから根こそぎ集められて光っていた
あの時神の力が見えなかったにもかかわらず光っていたのは見間違いではなかったようだ
なんか出力のコントロールが難しいとか言いながら岩を砕いていた・・おもちゃの剣で。
魂から世界の姿を教えられて、じゃあそれが自分のスキルになんの関係があるんだよ!
って思って周りを見渡せば見えていなかった現実も見えてくる
なんでボクの周りには神の力が一切ないんだろうね・・・




