新ハーレムメンバー爆誕!!
次の日、職業についての調べものをして、少量実験用に素材なんかを買って夕方部屋へ帰り着いた。
ソフィアが3人分のクレープをうきうきしながら用意していて、あとは紅茶を入れるだけになっている。
ダークはまだ戻ってないようで、適当に今日調べた話をしながら待っていると玄関のほうから帰ってきた気配がする。
「ホントニダイジョウブデスカー?」
「だいじょーぶだいじょーぶ、すぐすむから、ちょっとだけだから」
他に人がいるようなのでソフィアと一緒に玄関へ行くと、扉を開けてダークが帰ってきた。腕の中に女の子を抱きかかえて。
年齢にしては小さいダークよりもさらに小さい。8才から10才といったところのザ・幼女。茶色いぱっちりした目と腰まである大分多い黒い髪の毛を後ろで一つの三つ編みに結っている。
「ただいまー。」
「ダーク・・・おまえついに・・・」
「いい子だから元の場所へ戻してきなさい?」
とりあえず、警察につかまりたくないので自首でもすすめてみようかと引いた目で見ていたら女の子が口を開いた。
「わ・・・」
「「わ?」」
「わたしはこうみえて26才なのですーーー!!あなたたちよりお姉さんなのですよーーー!!!!」
ダークに抱きかかえられながら女の子は叫んだ。どうやらただ脱出できないだけのようだ。
「と、、とりあえず、お上がりください。」
ダークは抱きかかえたまま靴をぬいで部屋に入り、女の子?お姉さん?を膝の上に乗せて椅子に座った。
「ダーク・・・あとで変わりなさい。」
ソフィアが羨ましそうに交渉している。
テーブルの上にはすでに3つのクレープが用意されている。紅茶を4つ入れて、オレの分のクレープを女の子に差し出す。女の子にスイーツを差し出すのは紳士の嗜みである。
「こ・・これは!王都住民でも手に入れるのが大変なサロン・ノワールのクレープじゃないですかー!」
たぶん開店時間のせいで普通に働いてる人は買いに行けないだけだと思う。数も少ないみたいだけど。
「それで、どういう経緯でこうなったの?」
紅茶を一口飲んで落ち着いてから話を振ると、美味しそうに少しずつクレープを食べながらなんでこうなったか本人も分からないけれど・・と経緯を話してくれた。
「わたしはドワーフのダリニア=ガーガリオンといいますー。こう見えて”26才!”のお姉さんなんですよー。うーーんどこから話したものか。」
「自己紹介がてら最初からお願いします。」
「それならーー、えーっとウチの家計はドワーフの中では珍しくはないのですけど、鍛冶師の家系でですねーわたしも子供の頃から鍛冶師になりたくて手伝いをしたり勉強したりしていたのですー。」
「ふんふん。」
「ドワーフは他の種族よりは鍛冶とか物作りの恩恵をもらえる事が多くてですねー。わたしも期待していたのですがーわたしが授かった恩恵は”クラフター”という恩恵でしたー。」
「ふむふむ。」
「”クラフター”は物作り全般が出来るっていう恩恵でですねー、鍛冶も出来るわけですよー。恩恵がまったく関係なかったら諦めもついたのですがーーー、一応鍛冶も出来るのでそのまま鍛冶師を目指しましたー。知り合いのドワーフの鍛冶工房にお願いしてー、見習いで雇ってもらいましてー、修行を頑張ったのですがー、”クラフター”は本職の鍛冶師とか剣鍛冶とか鎧鍛冶とかと比べると出来る物が大分劣ってしまいましてですねーーー。あとから入ってきた見習い達がずんずん一人前になって見習いじゃなくなっていってわたしは見習いを卒業できませんでしたー。」
凄い辛そうに話しているのにクレープを食べる手は止まらなかった。
「それでもですねー家事とか店番とかやりながら地道に修行してたんですがー、腕は一向にあがらず・・・ほとんど諦めてたときにー、新しい神託が張り出されたのですよー。こんなわたしでもー”クラフター”でもー恩恵のレベルが上がれば見習いを抜け出せるかもしれないとー。最後の希望にかけてですねー、引き留める親方を振り切って一度退職しましてー冒険者になったのですー。」
内容も話も悲しみに満ちているのに、話し方と絵ずらでまったくシリアスが仕事をしない。
ダリニアさんはクレープを食べ終えてしまって、世界が終わったような顔をしている。
だが、そんなことでは他の2人は自分のクレープを分ける事はないだろう。仕方なくカバンから非常用に買っておいたクッキーの袋を取り出し差し出すと世界が始まったような笑顔でクッキーをかじり始める。
まだクレープを食べ終えていない2人も1枚づつ自分の分を勝手に確保している。
ダークが紅茶を飲みながら口をはさむ。
「冒険者ギルドで集めた情報だと、今鍛冶師に限らずに生産職がLVを上げる為にダンジョンに行くのが流行っているらしいよ。戦闘できないし、学校を出てないからホントはダメなんだけど、神託を優先して、ちゃんとした冒険者のPTに入るならダンジョンに行けるようにしたみたい。大抵は懇意にしている冒険者PTに頼んだり、依頼としてお金を払ってLVあげを手伝ってもらったり。PTにはいっていれば戦闘しなくてもちゃんとLVは上がるみたい。」
「わたしはー顔見知り程度ならともかく、懇意にしてる冒険者とかいませんしー、強い冒険者に依頼を出せるほどのお金もないのでー、冒険者登録をしてもらってPT募集をかけて入れてくれるPTをギルドで探して・・待っていたのですよー。ギルドの酒場でお酒を飲みながら待っていたのですがー、26才女性をみて何組かきたPTはわたしをみるとーーーー。ゴメンネーっていいながら帰っていったのですよーーーーーーー!!。」
「そこで我がみつけて速攻連れてきた。気配も消して連れ去った所は誰にも見られていない。大丈夫。」
「ダークさんんがー”ちょっとだけだからーさきっぽだけだからー”とか言いながらわたしを抱えてーここに連れてきてくれたのですー。」
えーーー。ほんとに大丈夫なのー?
「全うな冒険者は避けてたみたいだし、そのままだと人攫いでもしそうなヤツらが声をかけそうだったから。」
確かに喜々としてPTに入れようとしたら周りの目はヤバイことになるだろうから、たとえ26才でも躊躇したのだろう。邪神側のスパイとまでいかなくても手下みたいなヤツも増えてるし、無頼毎日に書いてあった確認された邪神恩恵には奴隷商人とかいうのもあったらしいから危ないのは大分危なかったのだろう。
「そんな事よりもなによりも、我の恩恵がびんびん反応している絶対に逃してはならないと。」
!・・・ダークの恩恵の目利きは鑑定などは出来ないが価値があるかないかは分かる。それは、必ずしも金銭的な価値だけではなく、ダークに、このPTにとって代えがたい価値を見出すのだ。たとえ他人には無価値には思えても、この力はダーク本人の価値観や精神性によって評価される為間違いはないのだ。
そして、”クラフター”・・・。
おもむろにソフィアにごにょごにょお願いをして、カバンの中から材料を取り出す
「ここに、野菜とお肉と牛乳と鍋があるじゃろ?」
「じゃろ??」
「ありますねー」
「”ギャダム”してみて。」
「え??????」
「はいぎゃーだーむーー」
「え、え、えっと・・”ギャダム・・”」
素材が、鍋が光を放って一瞬後には、鍋の中に美味しそうなシチューが出来ていた。ほかほかだ。
「えええええーーーーー。」
一口小皿で味見をしてみると肉も野菜も何時間も煮込んだようにほろほろでとろとろだ。
「なるほど。」
正面のダークの膝上に座る外見幼女に丁寧にお願いする。
「依頼とか一時とかではなくて、正式にウチのPTに加入してください。オレ達にはあなたの力が必要です。」
「い、いいんですかー?わたし戦えませんよー?」
「ウチは戦闘力だけなら魔王でも勇者でも殺せますから大丈夫ですよー。恩恵のLVもすぐに上がるでしょう。」
「ま?魔王はともかく・・・そういう事なら是非おねがいしますー。伝手もないし、さっきの人攫い云々はちょっと心配になってきましたのでー。」
「ありがとうございます。それで、申し訳ないのですが一つ・・いや2つお願いがありまして。」
途中でソフィアが扇で机をたたいたので要望があるのだろう。お願いを2つにしておいた。
「ハッ!もしかしてーえっちなやつですかー!これでもおねえさんなのでーちょっと興味はあったりしますがーPTメンバーでそういうのはいけないと思うのですよーーー。」
とんだ淫乱ドワーフが顔を出したが、とりあえずスルーだ。反応すると他の2人がこわい。
「いえいえ。実はですね・・・こう見えてこの3人は対人コミュニケーション能力が低くてですね。」
「えっ?実は??」
「そう見えないかもしれませんが、実は。あんまり知らない人と喋りたくないのですよ。買い物とか必要な事は喋りますよ?」
「は、はぁ。」
「それでですね、ダリニアさんには是非PTリーダーをお願いしたいのです。色々問題もありまして、基本冒険者ギルドとか寄り付きたくないのですが、そういう訳にもいかないので。」
「ええええわたしリーダーとかむりですよーー。新加入なのにー。」
「大丈夫です。リーダーといっても名前だけですし、今のリーダーはくじ引きでダークですがなにもしていません。ギルドの受付嬢と話したり、代表を求められたら話だけ聞いてきてくれればみんなで対応する事になっています。」
「ええええー」
「年上のお姉さんとして!是非!」
「!!!そ、そうですね。みんな未成年では心配な事もあるでしょう!おねえさんが!リーダーになってあげますー。でもなにかあったら助けてくださいねー。」
「ありがとうございます。よろしくお願いしますね。それでもう一軒ですが・・」
ソフィアが畳んだ扇でお姉さん幼女を指す。
「あなたの名前は今からシルヴィアーナよ。わたくしはソフィア=カーバンクル。よろしくね、シルヴィお姉さま。」
「我はダーク=シャドウ=シャイニング。光と闇を使役する者。よろしく、シルヴィおねぇちゃん」
「オレはアルク=カーバンクル。とりあえず作ってくれたシチューで夕食を食べながら詳しい話をしよう。いろいろ知ってもらわないとならない事があるから。これからよろしくな、シルヴィ。」
「ええええーーーーーーー。」
こうしておねえさん扱いがちょっと嬉しいシルヴィアーナさんが仲間になった。ハーレムメンバーとか言ったら殺されそうだから言えない。外見年齢的に彼女になってもらうのもちょっと世間体が厳しい。おならの彼女との運命の出会いが待ち遠しいぜ。




