かみさまがいるせかいについてのいろいろ
2話目です
さて、神様からチートスキルをもらって無双!そして女の子にもてもてになり、奴隷の女の子からご主人様とか呼ばれちゃうのだ!計画の前にこの世界の常識というものを整理しておこう。
冒頭でも途中でも言ってみたが、この世界には神様がいるらしい。
世界の常識を調べ始めたとき、まず最初に分かった事だ。何のことはなく、通常のご家庭で子供に教育をする際に最初に教える事だからである。そういえば前世を思い出す前にも何度かそれらしい話を聞かされた事があるような気がする。子供なのでちゃんと聞いていたとは言い難いが、世間では何度も都度子供達に神様の存在を伝え、敬うように教育する。
最初、前世を思い出した僕は正直うさんくさいとしか感じなかった。だがしかし、である。
その教育は前世の宗教のような怪しいモノではなく、神様が本当にいて恩恵を実際に受けている人々にとっては実利に即した、子供が将来困らない為の実に現実的な教育だった訳である。
ちなみに、そういった現実的な問題から全ての人々は神様を敬っており、宗教みたいなモノはないようだ。
偽物の神様なんて崇めたって信者は集まらないし、神様を敬ってはいるけれど、この世界の神様は恩恵をくれるけれど捧げものや信仰心などを求めない。しいて言えばこの世界の歯車の一つとして生きる事が与えられる恩恵に報いる事になるらしい。話だけを聞くとやはりうさんくさく感じてしまうのは前世の記録の中で出てくる”いい人もいるけれど、悪い人も沢山いるよね”という意識の抵抗感で、普通に子供の頃から教育された人々は魔法なんかと同じで”そういうもの”だという意識が強すぎて疑っている人はいないっぽい。
まぁ、ファンタジー風な世界で宗教の権力が強いとか、ありがちだけど厄介な事はなく、むしろ日本の大多数である無宗教(多宗教)のように自分達に都合がいいものはすべて取り入れる、信じてる、けど宗教にのめり込むのは違うよね、みたいな空気が近いかもしれない。実におちつく塩梅である。
そしてここからが本題の”神様が与えてくれる恩恵”の話になる訳である。
調べていくと、神様はたくさんいるらしい。八百万の神々みたいなモノで力の大小はあるけれど実にくだらない神様もいるとの事で例として聞いた中で一番どうなんだろうと思ったのは”おならの神様”である。しかし、現実におならの神様から恩恵を与えられた人がいるのだからそんなバカなと笑う事など出来ない。おならに関する与えられた恩恵で(どんなものかは想像もつかないけれど)その人は世界の歯車として生きて行くのだから・・・。いやまぁ必ずしもそれで生活しなければならないって訳ではないのだけれど、その話はもうちょっと後でまとめよう。
さて、現代知識チートに夢破れOTZだった僕は次の手を考えついた。異世界転生によくある転生する際真っ白い部屋で神様にあって、チートスキルをもらって、いろいろあって、彼女が出来る!
これだ!・・・だが思い返しても神様に会った記憶も神様の手違いで事故で死んだ記憶もなく、だからその案に思い至った時点でチートスキルはおろか特別な才能や身体能力やステータスなんかもなかった為、この計画は立てた瞬間頓挫した。もちろん言ってみた。大きな声で「ステータスオープン!!」と。
その時はたまたま妹が作った料理を食べさせに部屋に来ていて、実際現実逃避の考え事をしていたら思いついた案だったのだ。今日の料理はヴェチレッチョというらしくデザートやお菓子の類らしいがダムンするのが難しかったといいながらスプーンに乗った物体を口の中に突っ込んでくる。
美味しいか聞かれた瞬間に立ち上がり「ステータスオープン!」と叫んだ僕をみて、しばし呆然とした(そんな表情もかわいい)妹は”頭がおかしくなるほど美味しかったのね・・・”とか”やっぱり隠し味が大事よね”とかよく分からない事をつぶやいていたのだけれど、結局ステータスはオープンしなかった。彼女も出来なかった。できるわけがないのである。
まぁチートスキルはなかったけれど、諦めるのはまだ早い。親が子供に神様の事を教育すると、次に教える事がある。
10才の誕生日、昼12時ちょうどに、全ての人々に神様が恩恵を与えてくれる。
どうやらその時に頭の中に神様の声を聞いて、恩恵を与えられて、”神様はいる”というのがこの世界で最も重要な真実だと思われているらしい。
だが、神様はともかく、彼女が欲しい僕としては恩恵の中身のほうが気になって調べまくった。
そして分かった事はさっき出てきたようにみんな”神様”ってひとくくりに敬ってはいるけれど実際は星の数ほどの神様がいるらしい事と、恩恵はその中のどの神様がくれるのかランダムらしいという事。
まさにガチャである。おならの神様はやめてほしい。
宗教の話のときに少しでてきたが、ようするに人に自分の信じている神様をすすめても他の人はその人の神様を信じていて、そんな世界では宗教とか意味がないのである。<神官>とかもいるしひとまとめにした神様を敬う宗教的なものはもちろんあるが、個々の神様の信者が集まったとしてもその神様の信者しか集まらないのは前世では”金”を集めるシステムと化していた宗教のようにはならない。なにしろ拡大しようがないのだから。
いや、話がそれてきているので戻そう。
そんな中に最もポピュラーな神様で”職業神”ってのがいるらしい。職業に関する神様をまとめている神様で恩恵のうちの8割くらいは、この神様が選ばれる。だが安心してはいけない。”職業神”に選ばれた人は”職業神”がとりまとめている神の中からランダムで、職業の恩恵を授けられる。
<医者><農民><服屋><靴屋><貴族>そして<娼婦(娼夫)>なんてのもあるらしい。
この恩恵のすごい所は恩恵を授かった瞬間、その職業に関する知識やある程度の経験や感覚などが魂にきざまれて、努力しなくても手に入るという事だ。
さらに恩恵の職業に実際につくと、さまざまな事がうまくいく。<料理人>なんかは普通の人の料理よりなぜか美味しく作れる。<娼婦>でさえも恩恵を授かった瞬間から体は成長して、なにもしなくても美しく(エロく)なっていく。もちろん恩恵を授かってもその職業につかなくても誰も文句は言わないが、恩恵に従い、職業につくと大体は”うまくいく”のである。もちろん同じ職業を授かっても個人の努力等で実力に差は出るし、なにも努力をしなければその職業を授かっていない人に追い抜かれる事すらある。
ランダム故にたとえば小さな村なんかで<医者>がかならずいる訳でもなく、必要な職業もあるのでなりたい人が努力して恩恵と別の職業に就く事もある。
一般人で<貴族>なんかを授かった人はそれだけで貴族になれる訳ではもちろんないけれど、統治能力や発展の恩恵が大きく、だいたい本当の大貴族に雇われて町なんかの統治をする。その後の努力と町の発展などで本当の貴族に取り立ててもらったりする。
なんとなくではあるが世界は恩恵を中心に安定している。
そうそう、この世界には魔物がいて、それを退治する冒険者のような職業もちゃんとある。
<剣士><魔法使い><僧侶>など定番ではあるが、恩恵の力はすさまじく、<魔法使い>を授かるだけで魔法がつかえるようになってしまう。もちろん基本的なものだけで上を目指すには努力しなければならないが、他の技能なんかと違い魔法は職業やスキル関係がつかないとそもそも使えないのだ。ランダムの中では危険ではあるけれど、やはり憧れるのである。魔法使ってみたい・・・。
そんな大多数を占める”職業神”に恩恵をもらえなかった残り2割の人々は、今度は全ての神からのランダムで”スキル”を授かる。職業神にまとめられているさまざまな神様を含めて、全てだ。
まさに闇鍋ガチャである。
おならの神様ももちろん、おならの職業なんてニッチなものは存在せず(個人的にはあってもいいと思うのだが、女の子限定で)なにかしらのスキルを神様から直接授けられたらしい。個人的に興味があったため頑張って調べに調べた。子供だったのでなんとかなったが大人がしつこく聞いて回ったら逮捕一直線である。無垢な子供のふりをしながらしつこく聞きまわり、能力の内容は分からなかったが(彼女は生涯誰にも漏らさないのだろう)スキルの名前は判明した。<鑑定>のスキルなんてものもあって、子供が恩恵を授かると、全て国に情報が管理される為隠すことなどできないのである。
その名も<おならぷー>。気になってしょうがない。彼女になってもらえないだろうか。
おならの事はともかく、このスキルというのは職業の恩恵よりも癖が強く、しかし強力なものが多い。
たとえば<靴屋>の職業を授かった人はもちろん靴を作れば才能をみせるのだろうが、靴の神様にスキルをもらった場合<靴作成>みたいなスキルになる事が多い。<靴屋>は店の経営や材料の調達、営業など靴屋の運営に幅広い知識と靴作りの腕がもらえるが、スキル<靴作成>の場合、靴を作る事に特化している。靴っぽいものならなんでも作れて(鉄の靴やガラスの靴など実用など関係なく)靴屋には出せない履いていないかと思い込んでしまうほどの完成度に至れるのだ。
もちろん、スキルを使いこなす努力は必要で、しかも<靴屋>と違いその靴には利益とか材料費とかいった概念はまったくなく、スキルをもっているからといって職業につけるかというとそうでもなかったりする。強いのは強いのだが・・・。
同じ神様からスキルをもらっても必ず同じスキルになる訳でもないらしいし、そもそもランダムな神様の中には正直なんでいるのか分からない神様も多くて、そんな神様が授けるスキルは効果なんかはやはり魂に刻まれて本人には分かるものの、それをどうやって実生活に生かしていくかはさっぱりわからないスキルが多い。そんなクセが強いスキルをもらったけれど使い方が思いつかない人達の為の救済措置みたいなものがちゃんとある。スキルを授かった人は全員地域ごとではあるけれど12歳になると”スキル学校”に通う事になっている。遠い場合寮まである。その学校で3年間<教師>の指導をうけスキルの使い方を模索し、またはスキルを使う事を諦めて努力して知識などを身に着けたりして将来に備えるのだ。
ちなみに職業の恩恵を受けた子供は12才まで一般常識など教育を受けて12才から見習いのような感じで働きにでる。15才で一応の成人となり正式に雇ってもらい、いつか自分の店を持つ為に腕を磨くわけだ。
ざっくりとした恩恵の一般常識と、かき集めた情報により、確かに僕だけのチートスキルみたいなものはなかったものの、10才になれば僕にも恩恵が与えられる。きっと<無限収納>みたいな特別なやつで注目を浴びて頓挫した計画は再び動きだすのだろう。
なにせ僕は、異世界転生者なのだから。




