ゴブリンとはなんぞや?
近くの森に10人が移動している。
近くといっても歩いて1時間ちょいかかる距離だ。ゴブリンがいる森がすぐ近くにあったら大変だしね。
途中までは王都方面の街道を通り、途中で北の方へ向けて道を外れて小さい丘を2つくらい超えると見えてくる森が今回の行先だ。正式にはなんか名前があったはずだけど、みんな初心者の森と呼んでいる。毎年学校の新人の教育に使われるかららしい。
1時間もあるので、ふらふらと最後尾を歩きながらゴブリンについて考える。まだ直接見たことはないのだけど。
さすがに10才そこらの子供だけで街の外へは行かせてもらえない。門番は見張ってるしね。
一応冒険者を目指す為に図書館でお勉強もちょっとはしたのだ。無頼毎日にはゴブリンの生態とかさすがに載ってなかったのだ。
最初に名前を聞いたときは??だった。地球のファンタジー生物がなんでこの世界にいるねん!と。
ただ、名前だけ同じで外見とかまったく別の生き物の可能性もあったのでいろいろと図書館で調べた。
”よく分かる!ゴブリン大図鑑!”という本があって挿絵付で解説が書いてあった。しかも、ちゃんとした研究者(もちろん加護持ち)の考察内容が書いてあり、かなりゴブリンについて詳しくなった。
本によると、ゴブリンは外見もオレが知っているゴブリンだった。緑色の薄汚れた肌に子供くらいの背丈で醜悪な顔と匂い、悪食で女性を見ると襲い掛かる(性的に)。なんでやねん!と一人心でツッコミをいれたが、カレーがあったり文化がかぶってたり、かと思えば聞いたこともない名詞が日常会話で出てきたり、そういうものだと思ってスルーするのが賢明である。
ただし、ゴブリンの中身についてはこの世界のオリジナルだった。厳密には生き物ですらなかったのだ。
なぜゴブリンの研究なんかしたんだろうと最初は思ったものだが、弱くていくらでも数がいて生け捕りにしやすく、実験観察が簡単と魔物研究のとりかかりとして最適だったため、かなりいろいろな実験と結果が大図鑑にのっていた。
実験結果、観察内容の概略はこんな感じだ。
ゴブリンはなにもない空間から急に現れる
ゴブリンの子供、雌は確認されていない
悪食でなんでも食べるが、同じゴブリンは死体でも食べない
逆に何も食べなくても餓死しない
研究している期間に寿命で死んだ個体はいない
人族の女性を襲い交尾をするが、生殖能力はなく子供はできない
大図鑑にはそういう生態だと書いてあったが、オレにはなんとなく分かった。
多分ゴブリンは<ゴブリンの神>の力が集まって雄の成体のゴブリンがPOPするのだ。錆びた鉈や小刀などいかにもゴブリンが持っていそうな武器まで含めてその場に構成される。生物じゃないし生殖で増える事もなく、<ゴブリンの神>の啓示に従い人を殺し、食べなくても死なないのに常に飢餓状態で、発情して人の女性に襲い掛かる。街中でゴブリンの神の力とか見た事がないので、森の中とか人里離れた場所で延々とゴブリンが生産され続けるのだろう。ゴブリンは弱く、討伐も金額が最低限だが、放っておくと際限なく増え続けて森からあふれて街に突撃してくるらしい。だからギルドは常設依頼を出しながらたまにゴブリン大討伐をやったりするらしい。でも狩りつくしたと思ってもいつの間にか増えているやっかいな魔物。それがゴブリン。
ゴブリン大図鑑が面白かったので他を探してみたが、ゴブリンほど詳しい本はなかった。なので、人類の敵対種族について調べてみた。おそらく魔物はみんなゴブリンと同じような感じでバランスがとられているのだろう。
人類、とはいうがエルフドワーフ獣人なんかもこの世界にはいる。らしい。それぞれ国を持っていて行き来もするし、敵対種族もいるので協力している。この街にはいないので見た事はないけれど。
敵対種族は邪神、魔神の眷属で魔族、魔物、魔獣、別枠で普通の獣がいる。
魔がついている種族は全て体内に魔石をもっている。獣に邪神が取り付いて魔獣になる。魔族は魔物、魔獣を操る事ができる。魔王は別に魔族の王様ではなく人類の勇者と同じで先陣を切って自ら人類を滅ぼしにくる。魔王城とかないらしい。
大雑把にそんな事が書いてあった。
そんなこんなで森の境界あたりで一度止まり、ブラウマン先生の授業が始まった。




