鉄壁のジルコニア(笑)リターンズ
「少し、遊んできますわね」
ソフィアがそう言ってゆっくりと前へ進み出る。
今日の服装はオレがおこずかいを貯めてなんとか買った黒い布を母親に頑張って説明して作ってもらった一張羅のゴスロリ風ワンピースだ。
金髪碧眼によく似合い、一見お嬢様に見える。
ジルコニア君と向かい合うと口元の広げた扇子を畳み突きつけながら名乗る。
「真名はアナタごときに名乗る事はないわ・・・今世の名はソフィア=カーバンクル、<冒険者><魔法剣>を賜った、アナタが成すすべもなく敗北したアルク=カーバンクルの妹よ」
「魔法剣・・・剣に属性魔法をつけるヤツか・・オレサマの<全耐性>に通せるモンなら通してみやがれ!」
「始め!」
ブラウマン先生の開始の合図でジルコニア君は盾を構えてどっからでもこいの状態だ。
ジルコニア君の<魔法剣>の解釈は正しい。ああ見えて結構スキルの事を勉強しているようだ。
確かに加護をもらった時はそんな感じだったんだけどさ、オレがいろいろプロデュースしたワケですよ。
前世が吸血鬼の真祖にふさわしい<魔法剣>を。
そもそも持ってるの扇子で子供の頃のおもちゃの愛剣でも木剣でもない。
別に剣なんていらない。<魔法剣>と<魔法>と<剣>とその他なんでもかんでも神の力を凝縮させるソフィアの才能はソフィアの思うように魔法剣を作ってくれる。
「”宝物庫”」
扇子を突き付けたままソフィアが呟くと空間に20本近い”剣”が出現する。
光だったり水だったり単純なエネルギーだったり・・・さっき使い切ったので火はなかったけど多種多様な魔法の剣が一斉にジルコニア君に向けて飛んでいく。
驚愕の顔を浮かべたジルコニア君は一瞬で3メートルくらい吹っ飛んだ。
オレは寝っ転がりながらウンウンうなずく。
まんまパクリだがカッコイイものはカッコイイのだ。異世界だからきっと大丈夫。
後ろでなんかブラックがうおおおおみたいなうめき声をあげている。そうだろう、カッコイイだろう。
「それまで!」
ブラウマン先生の終了の合図だ。ジルコニア君は意識はあるようで呻いている。<全耐性>がなかったらヤバげなダメージだが、一応<全耐性>こみでアレでも手加減しているのである。
子供の頃手加減が出来なくてオレを殺しかけてから一応反省はしたらしく、頑張って手加減できるように特訓したのだ。
集まった神の力が見えるオレは絶妙なコントロールにGJを送りたい気分だ。
ソフィアがゆったりとした足取りでオレの隣に戻ってくるとブラウマン先生に手を挙げる女の子がいる。
緑髪のウェーブのかかったボブカットでタレ目の癒し系っぽい。服装もシスターみたいだ。
「ブラウマン先生、私は戦闘系の加護ではないので模擬戦は結構です。ちょうどいいのでココで自己紹介をしてよろしいでしょうか?」
「回復してやってくれ!」
ここまで大体は導いている通りなのだろうブラウマン先生は指示を出す。
「私はリリー=ジャンシール。<せいしょくしゃ><回復魔法>の加護を授かりました。力不足ではありますが、皆様のケガなどは私にお任せ下さい。」
リリーはジルコニア君の顔のあたりに座り込み、なんと膝枕で頭をかかえると頬をなでなでし始めた。
「いたいのいたいのとんでけ~」
ジルコニア君の全身が緑色の光にうっすら包まれ痛みだ大分ひいたようだ。
ジルコニア君は顔を真っ赤にしながら起き上がると空を見上げながら礼を言っている
「アリガトヨ」
「ダメージが大きくて私の今の力では癒しきれていません。痛みは引いているでしょうけど、ちゃんと治療もしてくださいね。」
微笑みながらリリーも立ち上がるとフォローも忘れない。
ルルグ君が親の仇に出会った時のような顔でジルコニア君を睨んでいる。
オレはリリーに<聖職者>も<せいしょくしゃ>も<性職者>も神の力が集まっているのが見えて一人ウンウンうなずいている。言わないけど。
「ジルコニア!盾職というのはただ敵の攻撃を受け止めるだけでは三流だ!大型の魔物の攻撃や魔獣の突進など、人には受け止めきれない攻撃が山ほどある!攻撃の力を受け流したり、時にはちゃんと回避もして、しかし仲間には攻撃を通さない立ち回りをしてようやく一人前だ!鉄壁だけでは強くなれないぞ!<全耐性>も優秀だが<無効>ではない!状態異常やデバフなどかからないなどと決めつけると仲間が死ぬぞ!」
「ハイ!!」
まぁソフィの魔法剣は受け流したり回避したりできないケドネ。ガンバレ。
「リリーは回復職だが戦闘をしなくもいいワケではない!最低限バックラーなどの盾で自分の身を守る訓練を積むように!ダンジョンや戦闘に安全地帯などない!仲間を回復する前に自分が死んだら戦えない回復職などお荷物になる!他の魔法職と一緒に立ち回りも学べ!」
「は~い」
ダンジョンには一部セーフティゾーンがあるらしいけどね。そういう事ではないのだろう。
「回復魔法は接触しなくても掛けられるはずだ!呪文もヒールでいい!戦闘中に長い呪文は回復が間に合わない恐れがある!」
「は~い」
リリーはてへぺろで笑っている。知っていてやっていたのだろうから今のは周りのみんなへの説明だな。
ルルグが驚愕の顔をした後、歯を食いしばっている。自分もやってもらえると思っていたのだろう。
ルルグ戦の後リリーも冷めた目で見てたからムリだぞ。
「では!最後にヴィルヘルムと・・・そうだなアルクも戦ってはいないからな。アルク!前へ!」




