鉄壁のジルコニア(笑)
世間で宝石の世代だ<勇者>だと盛り上がっているけれど、この神さまのいる世界のルールを分かっているととても喜んでいられない状況ではあるのだ
まず問題は<勇者>である
つまり、魔族側にも<魔王>が間違いなく生まれている
<英雄>も大分まずい、きっと魔物の大群が押し寄せたりしてどこかの街が壊滅か壊滅寸前になるのだ
でないと<英雄>が”英雄の仕事”が出来ない
調和という節理に満たされた世界はもちろん絶対に運命が決まっているとかいう訳ではないけれど(混沌も内包しているのだから)ある程度内容なんか気にせずに最後に調和がとれていればいいのだから
どうなるかは分からないけど多分勇者と魔王が相打ちとかになって落ち着くのだろう
けれど、英雄が英雄になる為に滅ぼされる街の人の命は神の中では死んでも最後には調和がとれる採算のうちに消費されてしまうだろう
強い加護が人類にたくさん出てきたら魔族のほうにも四天王とか強い伝説の魔獣とかでてきてそうだ
イヤなのはメタ的な読みをすると世界の異物であるオレを戦争や災害なんかのついでに排除しようとしてるんじゃないかと勘繰っちゃうんだよなぁ
今も神の力はそこらへんに満ちているけどオレのまわりには寄ってこない、つまり直接排除が出来ないからどうせ最後は調和する争いをちょっと大きくしてついでに死んでくれないかなとか雑に思われてそう
それで死ぬ一般の人達はたまったもんじゃないけれど、ただぐーたら寝ながらちょっと隠れた実力者ムーブがしたいだけのオレも死にたくないし、どうしたもんかなぁ
ぼーっと考え事をしていると目の前に青髪のジルコニア君が立っていた
いつの間にか周りは5メートルほどの空間が開けられていて準備は完了しているようだ
ならば特訓の成果を見せる時だ
「オレはアルク・・・アルク=カーバンクル・・・・眠りのめがみゃに愛された哀れな男だ・・・」
噛んだ
ソフィが><の顔でバッテンを作っている
ブラック=シャドウが物凄いドヤ顔で2番煎じのこちらをあざ笑っている
腕立て伏せはさっきから1回も進んでいない
「なんだかわかんねぇケド、睡眠?の加護でいいのか? オレサマはジルコニア=ダンブル!<全耐性>の加護を持つ”鉄壁のジルコニア”とはオレサマのことだ!どんな属性の魔法も!物理攻撃も!お前の得意な状態異常も!オレサマには効かないぜ!」
武器を持っていないのでどうやらガチガチのタンクのようだ、体内に神の力が渦巻いてるから常時発動型の加護みたいだなー
オレはフッと笑って右手を差し出す
ジルコニアもニヤリと笑ってガシっとオレの手を取る
そしてジルコニアはその場で崩れ落ち寝始めた
まぁ無効じゃなくて耐性だから効かないワケじゃないし、そもそも握手した時送り込んだオレの力は神の力が勝手に逃げていくので耐性とか関係ないのだ
周りがちょっとざわざわしてるけど、いい感じに実は強いムーブができて内心大分嬉しい
やっぱコレだよ!異世界転生したらこうでなくっちゃ!
崩れ落ちた鉄壁(笑)の前で目をつぶりクツクツと笑っているとゲンコツが落ちてきた
「模擬戦は開始の合図があってから始めだ!以後注意するように!しかしモンスターとの戦いに開始の合図などもちろんない!いかなる時も平常心で警戒を怠る事のないように!」
周りの生徒達が真剣な顔でうなずいている、頭は痛かったがそんなことでは眠気は覚めないそういうスキルだからね
寝ているジルコニアをブラウマン先生がひきずっていってそこらへんに転がした
「アルク!こいつはどれくらいで起きる?!」
「たぶん、すぐに起きると思いますよー」
「んがっ!」
送り込んだ眠りの力が抜けると<全耐性>が効いてきたらしくてすぐに目を覚ました
自分が眠っていた事に気が付いたのかちょっとびっくりした顔でこちらを凝視する
「・・・やるじゃねぇか、オレサマの負けだ」
ジルコニアをスルーしてブラウマン先生がぷるぷる震えている腕立て中のブラックの所まで歩いていき、
オレと同じようにゲンコツを落とした
「今回はコレで許してやるが、遅刻はしないように!次はブラックとルルグだ!前へ!」




