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さて、なにから説明しようか。

物事には順序ってやつがあって、その順序どおりにすれば大体のことはうまくいくはずなのだ。

だから、今の俺の状況に対する説明も順序どおりにしなければならない。


そう思ったんだけど……これ、無理じゃね?


だってさ、信じられるか?

ただの高校生の俺が気づいたら異世界にきてたなんて誰も信じられるわけないだろ?

ジョーシキ的に考えて夢だろ夢! それかタチの悪いジョークだ。そうさ、これが現実ならきっとどこかにドッキリカメラが控えているんだ。

テレビ局に踊らされた家族やら友人やらがカメラ越しに俺が戸惑う様を見て現在進行形でニヤニヤと笑っているんだ。

そうに違いない。


「国王様、お早く……皆が戸惑っております」


俺の隣にいた腹黒メイドのメアリーが慇懃無礼に頭を下げる。

白と黒を基調としたゴシックなメイド服。それだけでもお腹いっぱいなのに彼女から発せられたセリフには“国王様“という単語。


彼女の言う通り俺はこの異世界でなぜか国王になってしまったのだ。


目の前にはたくさんの大臣やこの国、アストリア王国を代表する権力者たち。

彼らはみな俺という新王が戴冠するのをいまかいまかと待ちわびている。


小さくため息をついていると玉座を挟んで向かい側にクソ姫がニヤニヤとこちらを見つめていた。

そうだ、すべてはあのクソ姫のせいなのだ。

見た目はきらびやかでおしとやかな少女。流れるような金紗の髪はシャンプーのCMみたいになめやかで人の目を惹きつける。

10人の男子のうち全てが花丸をあげたくなるような美貌とかまってあげたくなるような頰。

彼女はまごうことなき美少女だ。

健全高校生男子である俺でさえ惑わしてしまうほどに美少女なのだ。


そして、この彼女より半ば無理やり契約させられたことによって俺は王になるのだ。

憎いし、腹がたつ。なにがお兄ちゃんだクソヤロー。俺みたいないたいけな高校生男子を誑かしやがって。

もう美少女なんか信じられない。

そう思うほどに俺は全ての元凶であるクソ姫に怒っていた。


ああ、思い出すだけでも腹がたつ。

昨日まで俺はごくごく普通の高校生だったのに。


そうして俺はつい昨日のことを思い出した。

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