回る回る回る回る回れ!
ウニ!
イクラ
イカ
マグロ ハマチ
ウニ!
エビ イカ
ウニ!
大トロ お茶
ウニ!
ウニ! ウニ!
「お父さんウニ食べすぎ~」
美味しいお寿司に舌鼓を打ちながら、楽しい外食で家族団らんの時を過ごす。
「お前らも遠慮するなよ? お父さん昨日イーカんじに競馬で勝ったんだから、お金ならイクラでもあるぞ~♪」
私の話など聞かずに一心不乱に寿司を頬張る子ども達。
「ねぇ、あなた……本当に大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫! 昨日インド人の後輩と競馬で大穴来たから財布がぶ厚いぶ厚い! 何なら帰りにケーキも買ってやるぞ!」
「それなら良いんだけど……」
嫁は何を気にしているのか、イカやタコばかり食べている。
「父ちゃんウニ沢山頼んじゃうぞ~!」
次々と口へ運ばれるウニの山。至福の味だ!
「ねえねえ! お父さんアレ何?」
子どもが指差した先にはメニュー表があり、そこには―――
『ウニ 時価』
と書かれていた。
「……………………」
青ざめる俺。そして財布。
「大将……今、イクラだい?」
チラリと伝票を見る大将。
「87000円になりやす」
「ぶっ―――!!」
思わず口にしたお茶を吹き出した俺。これはヤバい!
「お父さん汚い!」
「あなた!」
「お前たち! 一度ストップだ!!」
慌てて財布の中身を確認する俺。ひーふーみー…………危ない! ギリギリセーフだ!
「大将! お愛想お願い!!」
「えーっ! もうお終い!?」
子ども達からブーイングが吹き荒れるが背に腹はかえられない。ここは大人しく撤退だ!
「そう言えばあなた……帰りにケーキが何とかって……」
「ヒーッ! ごめんなしゃーい!!」
俺は必死で謝って帰路に着いた。楽しい休日が無様な結果になってしまった……。
来週からまた頑張って得意先を回らないとな……とほほ。
読んで頂きましてありがとうございました!