【映画】デジャヴと試写会
『デジャヴ』
デンゼル・ワシントン主演。
500人以上が死亡するフェリー爆発事故。
デンゼル・ワ……ATF捜査官がFBI特別捜査班に捜査協力する。
近くで発見された女性の遺体が爆発事故に関与していると分かる。
女性の行動を追う為に賛否両論の監視カメラタイム。
唐突に行われるジャンルの変更。
エッ、アレッ? マジ??
完。
映画の特別試写会に行ったことはあるでしょうか。
「スパイダー」「セブン」「交渉人」「ナインスゲート」「ボーンコレクター」「サブウェイ123」「評決のとき」「シークレット・ウィンドウ」「クリムゾンリバー」。
応募する内容に偏りがあるというのはさておき、ことごとく試写会に当たったことがありません。
物欲センサーは存在する。映画館の選んだ座席で心理分析はできる。
以上、根拠のない持論です。
なお「当選しなかったのは年齢制限にかかっていたのでは……?」と思い当ったのは近年のこと。
そんな悲しみの中。
持つべきものはサスペンス好きの映画友達。
「あんまりメジャーな映画じゃないんだけど」と言われて飛びつきましたもちろん。
試写会! 初試写会! デンゼル・ワシントン!!
監督や俳優陣は来ませんでしたが、とにかく満足していました。
公開より少し早めに見られるのは、それだけで嬉しいものです。
なにせ日本、「微妙なラインのB級サスペンスだと来るか来ないかすら不明!」という僻地。
例えばブラックダリアとか。例えばゾディアックとか。
超有名作品でも1年、2年の遅れはあたりまえ!
そんな中で一足早く見られるだなんて「来た! 見た! 勝った!」も同然。
で、当日。
迷いました。
高架下とか、昔懐かしスタイルのシアターって息をするようにそこに存在しているんです。
景観に溶け込むように、静かに、穏やかに。
そこがまた好きなんですけれども。
だが見つからねぇ。
本当にこの辺なのか。
見あたらねぇぞ。
「サスペンスは最初の10分が肝だというのに」
「舞台挨拶中ですって入館拒否されたらどうしよう」
「いやだー!」
走る、走る。全力で走る。
悲鳴をあげる腓腹筋。
坂道で文系は言う。
「わたしをおいて先にいくんだ」
チケット持った体育会系が振り返る。
「分かった先に行ってるね!」
「マジで?」
絶望する文系。
「坂の上に映画館があったら係員の人に言って待っててもらうし、無かったら戻ってくるから!」
ドレスアップした体育会系の後ろ姿に涙する。
おお、友よ。疑ってごめん。許してくれ。今日の主役はデンゼルじゃない。君だ。
戻って来る体育会系。坂道、下りは早い。
「こっちじゃなかった! 一本向こうの通りだったー!」
「待ってぇぇぇぇ!」
下りは早い。本当に早い。
迸る汗。靴擦れのため血塗れの足。
ぎょっとした顔の係員。
ぶんどるようにもぎとった記念品。
開幕スライディング飛び込み。
夕暮れの青春。
「正直、走ったことしか覚えてない」
「同じく」
内容よりも坂道全力で駆けぬけた記憶。
試写会って楽しいですね。