私は性欲(恋愛)に突き動かされている
我輩は謙介である。皆からはアホと呼ばれておる。
私はまずこの物語とも言えない散文を記すことにあたり一人紹介せねばならない人物がいる。
名前はいずみと言う。私の後輩である。
彼女との出会いは入学式が終わり部活動紹介が行われた時である。私は文芸部の部長として1年生の前で文芸部とはなんたるかという崇高な話をした。
この崇高な話は友人からはやたら難しい言葉を使っていて何をいっているのかわからんとか童貞臭が漂っていたとの評価を受けた。
この話が終わると各部活動はテントのようなものを作りそこで更に詳しく説明するもしくは作ったものを並べてみてもらうという流れになっている。
新入生は自分の興味のあるテントへ行き話を聞くといつった具合であった。
私が所属している文芸部は私一人だけでありここで部員が入らなければ廃部することが決まっていた。
私はなんとか1人でも入部させなければならないので秘策を用意していた。
ゲーム部という看板をたて、机にはファミコンを並べるのだ。文芸部というのが辛気臭いと思う輩が近年多いと感じていたので部活動を偽り入部させようと思ったのだ。だが、この作戦はゲーム部という看板をたてたところで顧問に見つかり説教を受け失敗に終わる。
説教を受けていたためか真面目に勧誘し始めた時には既に残り時間半分となっていた。
私の用意した策は顧問により粉砕されたので私ができることはもはや神に祈るのみであった。
そこえきたのが彼女である。
黒のショートヘアー、胸の膨らみが強調され私はそこから目を話すことができない。引っ込むところは引っ込んでおり曲線が美しい。
私が彼女を見て初めて抱いた感情は性的な欲求である。
かの有名な芥川龍之介はいっていた。
恋愛はただ性欲の詩的表現をうけたものである。
つまり、私が彼女に対して抱いている感情は恋愛感情である。
彼女は並べている小説を手に取り見ていた。
それから彼女は立ち去ろうとした。
"ここで勧誘しないでどうする!廃部になりたくないんだろ"
そういったのは我が息子。ズボンを破かんばかりに主張していた。
このときばかりは知的な私も下半身に脳みそがあった。
「あの」
彼女は振り替える。
「興味ありますか?」
「まあ、少しだけ。色々なところを見て最終的なことは決めたいと思っています。」
「少し我が部の説明聞いていきませんか?」
私は必死に説明をした。
彼女が他も見て決めようと言っていたので他の部活を見て回る時間を与えないように必死に説明した。
そのかいあってか彼女は無事に文芸部へと入部することになった。
入部したときに彼女にこのときのことを聞いてみたら
"先輩の何が明らかに膨れ上がってて気持ち悪かった。でも、必死に廃部になりたくないと説明する先輩を見て入ることに決めた。身の危険を少なからず感じていたので先輩が何かしてきたときのために防犯ベルを買いましたね。"と言った。
そういう彼女はいまだに部活に来るときは防犯ベルを片手に持っている。
彼女が入部してからは毎日部活が楽しみでならなかった。
彼女は主に部室で小説を読み、私は三文文を書き散らかした。
たまに、彼女は私の書き散らかした文章を見に来て読んでいた。
会話は少なかったが楽しいひとときであった。
さて、ここまでが彼女と私の邂逅である。
私が書いたこの散文の序章部分である。
ここから私の執筆する物語の本筋である。
私と彼女は他愛のない部活動を経て着実に愛を育んだ。
恐らく私の一方的な愛だと思うが。
ちなみに私がこのときに設定していた目標は彼女を抱くことであった。
知的な私にあるべきでない野蛮なことだとは思うが、下半身の脳みそが言うことを聞かないのでしょうがない。
そんな二人の元に訪れたのが文化祭である。
文化祭はこの文芸部にとって成果を発表する場である。
彼女と相談し何を発表するのかを決めた。
最初はそもそもこの文芸部が発表することを彼女は知らなかった。
「文章なんて書けないですよ。私は読む専門です。」
「ならん。この文化祭は文芸部にとっては唯一の発表の場。歴代の先輩方は必ず発表してきた。例外はない。」
「去年は先輩どんなもの書いたんですか?」
「あっ?あぁ。忘れた」
私が去年発表した本は、
ヤリチンと言われる輩にインタビューをしてどういった行動がモテるのか。また、どうしたらベットインできるのかを調べまとめた文献だ。
当時"童貞が書いたテクニック本"として伝説になった。
私は童貞とは誰にも言っていないのだがなぜそうなったのか。
「むぅ」
彼女は顔を膨らませている。
可愛い。
「では、一緒に作るか?」
彼女は考えてからそうしますと言った。
私と彼女はそれから何を書くかを話し合った。
私はいくつか提案したがどれも脚下された。
私はこのときのことを彼女に聞くと、
"先輩が出すものはすべて小難しいかしょうもない物でしたね。さすがは伝説の【童貞が書いたテクニック本】の作者ですね"と言った。
最終的には有名な作品を自分なりに書き直すということになった。
彼女は筒井康隆の短編、私は坂口安吾の短編を自分なりに書いた。
彼女はもとの小説の文章をそのまま書こうとすることがあり私は何回か注意した。私はもとの小説の原型が無くなることがしばしばありそこを指摘された。
その作業は中々に楽しかった。
私と彼女は会話が増えた。
彼女といるのがこの上なく楽しい。
彼女はLINEを教えて下さいと言う。
家でも文章を考えてみたいからだと。私は天にも上がるほど気持ちが高ぶり雄叫びを上げた。このときも下半身で物事を考えて動いていたと思う。
彼女は雄叫びを聞くとかなり引いていた。
そしてLINEなどで互いにアドバイスを送りあった。
そして私は決行することに決めた。
それは、他人であればなんともないことだが私にとっては勇気のいること。
LINEはこちらからあまり何かメッセージを送ることがなかった。私が硬派を気取っているからというのもあるが気にしすぎていたからであろう。
私はスマホを取り出し文字を入力した。
今回ばかりはきちんと上の脳みそを使い。
"文化祭二日目は午後から店を畳んで店を見て回りませんか?"
そしてokされて見て回ることになったら伝えよう。
「入部してくれてありがとう」と。
これが私の書き散らかした物語である。
これからが書くべき物語だろうと思うものがいるかもしれないが、見て回ることすらokされるかもわからないしそれにまたそれは別の物語だろうと思う。
明日から文化祭だ。3年生の私はこの文化祭が終わると退部したも同然になる。アホはアホなりに頑張ろうそう思った。
終わり。
終わりと書いていてなんだがその後の話を書く。
いわばエピローグであろう。
結局okされて文化祭を見て回った。一緒に出店の焼きそばを食べたり催し物を見たり楽しかった。
私は文化祭が終わったあとは引退した立場となり部室には顔を出さなくなった。家に帰り勉強の日々だと思っていたが、彼女から連絡がきた。
"もう、部室には来ないのですか?"
私はそれから部室で、彼女の隣で、勉強に励んでいる。